大道芸人衆
旧西暦2354年、新西暦287年。
深星は殷獣が支配していた。
知能型殷獣は生み出された怒りや憎しみを人類にぶつけるべく、調査に来た政府軍などの勢力を狩り始めた。
殷獣は高い凶暴性、身体能力を有しており、深星から各星に生息地を広げて星民達を苦しめていた。
そんな中、政府軍からの要請を受け殷獣と対峙する男達がいた。
〜深星・プラズマベース拠点付近の森〜
「くそっ…」
左腕と左側の肋骨が折れているプラズマは段々と動きが鈍くなっていく。
少女のような姿をした人型殷獣はその隙を見逃すはずはなかった。
人型殷獣は手掌から赤黒い粘液を発して、プラズマの足を絡め取った。
そして勢いよく間合いを詰めると、プラズマの腹に向けて打撃を繰り出した。
「安心して…殺しはしないから…!」
「やべっ…!」
プラズマが打撃を覚悟した時だった。
音速を超える何かがプラズマと人型殷獣の間を通り抜けた。
一瞬だが乗り物のようなものに大きな十字架が載っているようだった。
それと同時に人型殷獣は敵の攻撃と思い、咄嗟に間合いを取る。
「な…なに!?」
その何かは木にぶつかると、跳ね返って倒れた。
プラズマと人型殷獣が目を凝らすとそれは…
「バイク!? と人!?」
倒れていたのは金髪のアフロ男だった。
突然現れたその男。敵か味方かもわからない登場の仕方に、人型殷獣は困惑している。
「あ、あなたこの星に何の用…?」
「知れたことだ…」
金髪アフロの男はむくりと立ち上がると、人型殷獣の方を向いた。
「銀河の平穏を守るため殷獣を倒しにきた」
すると森の中からピンク色でショートカットの女性が、プラズマの前に現れた。
「ごめんね? 変な登場の仕方で…」
その女性は金髪アフロの方に視線を向けると、バツが悪そうに肩をすくめる。
「私はジュルア…ジュルア・バーナム。今回の殷獣作戦に参加してるの。あなたは?」
「サンダー・パーマー=ウラズマリーだけど…」
プラズマは彼女の背後に立つ人型殷獣が気になって仕方がなかった。
敵に背を向けて喋り始めたということは戦闘の経験がないのか、それとも数々の戦いを潜り抜けたからこそ出る余裕なのか…彼女はそのまま続けている。
「それであっちは…」
すると遠くではあるが、森の中に低い爆音が響き始めた。
「この音…!」
人型殷獣はどこからか響く爆音に警戒心を強めている。
それもそのはず。この爆音はさっき金髪アフロの男が現れた時と似たような音だったからだ。
「仲間…?」
その重低音は周囲の木々を揺らすほどの大きさで、プラズマ達の方へと猛スピードで近づいていることが分かる。
そして…
「どっせーーーーい!!!」
木々の間からバイク2台の影が飛び出した。
そしてそのバイク2台は次々に金髪アフロの男へと突っ込んでいく。
バイク2台は金髪アフロの男を轢くと、その側にあった大樹に激突した。
そして轟音と共に大爆発を起こす。
「な…なんなの…?」
突然の予想外の展開に、さすがの人型殷獣も口をあんぐりとさせ言葉を失っていた。
「て、敵か!?」
プラズマの問いに答えたのはジュルアだった。
「あれも全部仲間よ…あいつらはああいう性格なの…」
大爆発の中から3つの人影が歩み出てくる。
金髪アフロの男を先頭に、その後ろには2人が続いていた。
1人はオレンジ色の髪の青年。
もう1人は全身水色でブーメランパンツを履いた男。
3人は爆発を背に人型殷獣へと近づいていっている。
その様子に人型殷獣は腰が引けていた。
「な、なんなの…!? あなたたちは…!?」
「なんなんだ!? あいつら!?」
プラズマも同様に驚きながら声を上げると、ジュルアが答えた。
「私たちはね、大道芸人集団“ハズミ”」
「そして私たちのリーダーが…」
ジュルアは金髪アフロの男に目を向けた。
彼は青い革製のジャケットを羽織っており、丸いサングラスをかけている。
ジュルアの声を聞いたオレンジ色の髪の男と水色の男は、アフロの男を煽り始めた。
「言ってやれよ!」「俺たちが誰なのか!」
「俺は四暮… 四暮弾だ!」
オレンジ色の髪の男は水色の男を掴み上げると、アフロの男に投げつけた。
「お前の名前は聞いてねえよ!」
To be continued.....




