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My² Gene〜血を喰らう獣〜  作者: 泥色の卵
第2章 前編 殷獣調査・討伐作戦
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接触


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【登場人物】

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。

 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。

 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 [バリス・スピア]

 元軍医で、毒の能力を持つ医者。

 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。

 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。


 [水王(スオウ) 涙流華(ルルカ)

 元名家・水王(スオウ)家の侍で、水の遺伝子能力者。

 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。


 [ラルト・ローズ]

 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。

 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。

 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 [レモン・ポンポン]

 褐色高身長、彫の深い濃い顔にアフロがトレンドマークの伝説のエンターテイナー。

 娯星テロ事件の後、プラズマと涙流華に強制的に同行させられる。ガタイの割にビビり。


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【お知らせ】

 あとがきのExtra Storyちょくちょく復活します。

 第一部の時は結構やってましたが…


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挿絵(By みてみん)

 



「ラルト!」

 血を流すラルトを見た涙流華が駆け寄った。


「何か飛んできやがった…途轍もない速さの何かが……!」


 涙流華は刀を抜きラルトを守るように刀を構える。


「涙流華! 左だっ!」


 涙流華は咄嗟に左に出ると刀で身を守った。


 一瞬…1秒にも満たないコンマ数秒で彼女は途轍もない速さの何かを補足すると、刀の平をその何かに向けた。


 その《速い》何かは刀とぶつかり火花を散らす。


 ラルトは慌ててホログラムを開くとプラズマに電話をかけた。

「くそっ、おい! プラズマ! 敵だ!」


「ラルト! また来るぞ!!」


 涙流華がそう叫んで1秒も経たない間に《速い》何かが上空から急降下し、凄まじい威力で地面をえぐり取る。


 それによって涙流華とラルトは体勢を崩された。


 ラルトは右手から炎を(たぎ)らせる。

「速い上にパワーもあんのか!」

 ラルトは火炎放射のように炎を放ち《速い》何かを捉えようとする。


 《速い》何かは空中を自由自在に飛び回って炎を避けるが、《速い》何かの目の前に抜刀した涙流華が姿を現した。


 しかし《速い》何かは間一髪で涙流華の太刀筋を避ける。


「避けると思っていたさ」


 《速い》何かが避けた先には何重にも強化した氷壁が張られていた。

 そして分厚い氷の壁半分くらいまで突き進んだがその後停止した。


 ラルトイラつきながら氷の壁に近づく。

「とりあえず止めたな……ったくなんなんだよ、一体!」


「今氷を塞ぐ」

 涙流華は埋まっている何かを氷で塞ぎ込んだ。

「これは…鳥か?」


「これ、鳥型の殷獣(いんじゅう)じゃねぇか…?」

 赤黒い鳥のような生き物。スズメくらいの大きさで、今も氷の中で小刻みに振動している。


 ラルトが半透明の氷内で標本状態となった鳥型の殷獣を確認していると、何かが大群で空を移動しているような轟音が鳴り響く。


「おい、これってまさか……」


 ラルトの嫌な予想は的中していた。



 涙流華はすぐさま持てる力を全て費やし自分とラルトの幅の分厚い大氷壁を作り出す。


 厚さ10メートルはある氷壁。

 空飛ぶ何かが氷壁を砕きながら突き進んでくる音が響く。

 氷壁の範囲外には赤黒い鳥のようなものが嘴から地面に次々と刺さっていき、地面をえぐり取っているのが見える。


「ラルトまずいぞ……」

 涙流華の氷壁は何十羽もの鳥型殷獣によって今にも破られそうになっていた。


「くっそ……轟唱(ごうしょう)嵐巻(らんけん)!」

 ラルトの放った風の煉術(れんじゅつ)によって土煙が舞い上がる。


 ほどなくして氷壁が割れ、ラルト達の立っていた場所にも次々と鳥型殷獣が刺さっていく。


 上空に他の個体よりも大きな鳥の殷獣が現れる。

「大したことなかったな。俺が侵入者排除の一番乗りだぜ。これは」


 土煙が晴れ、その殷獣が満悦の表情で確認するが、そこにラルト達の姿はなかった。

「なに!? どこだ! 逃げ場などなかったはず!」


「お前はしくじったんだよ。逃げられたのさあんたは。ただ《速い》だけじゃあねえ」

 姿は見えないものの、どこからか女性の声が響く。


「うるさい。お前は黙ってろ」


「おぉ怖い怖い。それより《強い》あいつが集まれってさ」


「くそっ…またか、あいつリーダーぶりやがって……」

 鳥型殷獣はその場を飛び去っていく。






「ぶへーーーー!」

 ラルトは地中から頭を出す。


「危なかったな。大丈夫か涙流…」

 ラルトが言い終わるのを待たずに涙流華が彼の上に馬乗りとなる。


「貴様! 私の顔を思い切り胸に押し当てよって!」

 涙流華の左拳がラルトの右頬にめり込んだ。


 ラルトは彼女の左腕を掴むと反論する。

「それはお前を守ろうと思ってだな!!」


「あんなに強く押し付けられたら頭が潰れるわ!!」


「ああしてなきゃ今頃レンコンみたいになってたんだぞ! ちったぁ感謝しろ!」


「貴様ただ私と密着したかっただけだろう!」


「だれがてめえみてえなゴリラ侍とくっ付きてえんだよ!」


「あ! 今のは傷ついたぞ! “れでぃ”に向かってその口の利き方はなんだ!」


 駆けつけたプラズマ、バリス、レモンがその様子を目を点にして見ていた。

「おーい、お二人さん夫婦喧嘩中申し訳ないんだが、助けに来たぞ。敵はどこだ?」


 ラルトと涙流華が口を合わせて叫ぶ。

「だれが夫婦だ!」



To be continued.....


【EXTRA STORY】


「だれが夫婦だ!」


「こいつの妻になるなど考えたくもないわ!! ろくに整理整頓もできん大雑把な男が!!」


「なら、お前が片付けりゃいいだろうが!! てめぇこそ料理作れるようになれよ!!」


「なんだと!? 貴様が作ればいいだろうが!! 今や家事は両方がやるのが“すたんだーど”だぞ!!?」


「だから尚更作れるようになれって言ってんだろ!」


「それにお前と一緒になったら、子供に小さいころから武器とか持たせて稽古とかしそうだしな!!」


「貴様はかっこつけて楽器やらを習わせてそうで虫唾が走る!! 貴様の様な男は娘に嫌われるぞ!!」


「娘が生まれるだなんてまだ分かんねぇだろうが!! 息子ならクソババアって言われるのがオチだぞ!」



「あいつら現状からは目を背けるくせに、すごい先のことは結構具体的に見てんだな……」



To be continued to Next EXTRA STORY.....?

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