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My² Gene〜血を喰らう獣〜  作者: 泥色の卵
第2章 前編 殷獣調査・討伐作戦
34/83

連合討伐部隊


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【登場人物】

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。

 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。

 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 [バリス・スピア]

 元軍医で、毒の能力を持つ医者。

 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。

 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。


 [水王(スオウ) 涙流華(ルルカ)

 元名家・水王(スオウ)家の侍で、水の遺伝子能力者。

 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。


 [ラルト・ローズ]

 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。

 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。

 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 [レモン・ポンポン]

 褐色高身長、彫の深い濃い顔にアフロがトレンドマークの伝説のエンターテイナー。

 娯星テロ事件の後、プラズマと涙流華に強制的に同行させられる。ガタイの割にビビり。


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【お知らせ】

 訂正 :マイヤードは少佐ではなく

少尉でした……


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挿絵(By みてみん)




〜研星・宇宙港〜



研星(けんせい)ってのは結構な近代星だな」

 バリスは立ち並ぶ研究所らしき建物を見渡し独り言を言っている。


「俺たちが向かうのはあの一番でかい建物だ」

 ラルトが電子マップを片手に指差す。


 落ち着いた2人とは対照的にプラズマ、涙流華、レモンは指を差しては走り、3人ではしゃいでいる。


 そうして目的地まで進んでいくと、10階はあるであろうビルに辿り着いた。


 そのビルの入口前には“研星会研究所付属ビル”という看板石碑が建てられている。


 建物内に入ると受付に案内され、エレベーターで上階の大部屋に連れていかれる。


「こんちわーー!」

 プラズマが勢いよく扉を開けると、部屋には既に数人の者達が集まっていた。


 一斉に注目を浴びるプラズマ。

 その中からプラズマ達に駆け寄ってくる人影があった。

「ラルトさん!」


「マイヤード!」


 かつてラルトと行動を共にしていた政府軍少尉だった男。

 そしてついこの間、崇神星の事後処理で来た政府軍の一人として会ったばかりだった。


「またお前か! ってことはまさか…」

 ラルトの予想通りマイヤードの影に隠れて近寄ってくる少女がいた。


 その人物にプラズマは声を上げる!

「34歳の人!」


「やかましい!! 殷獣に喰わせるぞ!」

 ピンク色の髪をした少女…ではなく、政府軍中将であるアイリス・ローン34歳は吠えた。


「またマイヤードと同じペアなんですね」

 ラルトは元上官であるアイリスの機嫌を直すため、話題を変えた。


「そう。マイヤード少将とこの私。今この実力派若手ペアが上から結構推されてるのよ」

 アイリスは腰に手を当てると鼻高々にそう言った。


 しかしプラズマはまたも彼女を逆撫でする。

「若手!?」


 アイリスの自慢気な顔は一瞬にして崩れ、鬼のような顔になる。

「こいつ…! 舐めやがって…【鬼神(きしん)】の力ここで見せてやろうか…?」

 ラルトは慌ててプラズマに肘鉄を入れた。


 そしてラルトは“ん?”と一つ引っかかったように声を上げた。

「あれ、マイヤード少将? 少尉ですよね?」

 ラルトはアイリスに尋ねた。


 ラルトがまだ政府軍にいた数ヶ月前、マイヤードの階級は少尉だった。

 流石にこの短期間で少尉から少将に上がることなんてないだろう。ラルトはそう思っていたのだが…


 アイリスとマイヤードは顔を見合わせると、マイヤードが答えた。

「俺、少将になりました」


「嘘だろ!? 早すぎだろ!」


「私この前会った時言ってたけどね」


 驚くラルトにマイヤードはスピード出世の理由を説明する。

「そりゃ、上級大将(デーモン)大将(ボルボン)中佐(ラルト)が抜ければ少尉だった僕が繰り上がりに繰り上がって少将までなりますよ!」


 ラルトが政府軍を辞めるきっかけとなった政府軍高官離反事件。

 政府軍のNo.3、No.4が殷生(いんせい)師団という犯罪組織の一員だったことが判明し、プラズマやラルトと対峙したことがあった。


 その事件によって政府軍将校には3つの空席が出来たため、それを埋めるように繰り上がりで昇進している者が多かった。

 アイリスやマイヤードもその一人だ。


「それもそうだな」

 ラルトは笑いながら答える。


「お前もこの作戦に呼ばれてたんだな」


「ええ、大元帥直々に。政府軍からは2人です」


 すると大元帥のブラスト・オールがロビーに現れる。

「今回はお集まりいただき心から感謝いたします。政府軍大元帥のブラスト・オールです」


 彼の傍にいるメガネをかけた秘書のような女性が呼びかけた。

「みなさん、お集まりいただきありがとうございます。ここにお越しの方は確認できましたので始めさせていただきます」


 皆思い思いの位置にいたが、自然と大元帥の周りに集まっていった。


「自己紹介も兼ね、所属とお名前をお願いします。では政府軍から時計回りに」


 秘書官のその言葉にアイリスが一歩前に出た。

「政府軍中将アイリス・ローンです。良い人探してます」

 そう言って彼女はぺこっと頭を下げる。


 強者として有名だからか、傍から見れば少女にしか見えないのだが誰一人驚いている者はいない。


「政府軍少将、ジョン・マイヤードです」

 元気よく挨拶するマイヤード。笑顔が眩しい。



 すると彼の横に立っていた2メートルはありそうな巨漢が前へ出た。

 まるで野獣のような無精髭を蓄え、短いボサボサの髪を生やした中年の男だ。ファーの付いたジャンパーを着ている。

「政府直轄治安維持隊、十闘士(じゅっとうし)のアドルフ・グスタフだ」


 その影からひょこっと顔を出した20歳ほどの華奢な女性も自己紹介を始める。

「同じく政府直轄機関治安維持隊の(ウェイ)月華(ユエホァ)です!」


 マイヤードと同じく非常に元気が良い。

 彼女は旗袍(チーパオ)と呼ばるマンダリネ族の伝統的なドレスを着ている。

 そして髪はお団子にしてまとめており、その上からカバーをつけていた。


 きょろきょろと辺りを見回すプラズマ。自分の番であることを悟る。

 プラズマは能天気な様子で自己紹介を始めた。

IMIC(遊撃捜査隊)のパーマーっす。よろしくおねぁしゃす!」


 そんな緊張感のない様子を見た十闘士のアドルフはオールを問い詰めた。

「おい、オール。こんな素人入れて大丈夫なのか」

 


「大丈夫です、心配には及びません。彼自身の活躍は目にしてますし、元激戦区での軍医、水王家の軍団長に、政府軍ならご存知の【獄炎】がいますから。」


「【獄炎】か、よく我々政府側の前に来れたものだ」


 アドルフは政府軍を離脱したラルトを睨むと、吐き捨てるようにそう言った。

 ラルトは柄にもなく肩を(すく)めている。

 その話を終わらせるかのようにバリスが口を開いた。

「IMIC、バリス・スピアです」


「同じく水王涙流華」


 若干気まずそうにラルトも続いた。

「ラルト・ローズです」


「レモン・ポンポンです」

 超有名人であるため周りの視線を集めるが、レモンの横にいる短い金髪の若い男が何食わぬ顔で自己紹介を始めた。


「Mastersから派遣されてきました。Master (マスター)LIGHT(ライト)、レクス・テイルと申します」



To be continued.....

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