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My² Gene〜血を喰らう獣〜  作者: 泥色の卵
第1章 後編 神に仇なす者たち
25/83

ルト

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【登場人物】


 ▼採掘場


 [ルト・ウォール]

 19歳の女性。男勝り。髪はボサボサで鬱陶しいのでポニーテールにしている。基本的にタンクトップと作業衣ズボンで過ごしている。


 ▼国際教団

 [胤減(インゲン)

  ソラル教を信仰する国際教団の教祖。


 [神儡(シンライ)

  胤減(インゲン)の弟子。


 [神途(シント)

  胤減(インゲン)の弟子。鉱山での労働を仕切っている。

  殷獣を放って自分が討伐するという自作自演でこの星の英雄になろうと画策する。


 [サヨ・キヌガサ]

 19歳の女性。ルトと共に過ごしていたが、実は国際教団の高位幹部だった。


 [ジュイス・ブランドー]

 低ランク労働者集団のリーダー。暴力をもって他の労働者を支配している。

 女性を襲ったり、物資を奪ったりと悪行を尽くす。


 [モウラ・ムケシュ]

 背が高く恰幅の良い国際教団の高官。自信家で豪快な性格。


 [ハウラ・ロラン]

 前回の生贄として捧げられたはずの中年女性。実際は死んでおらず、国際教団の一員だった。


 ▼四帝直轄惑星間遊撃捜査隊

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 薄金髪の青年。ルトを度々助ける謎の青年。

 明るい性格。電撃を操る。


 [バリス・スピア]

 紫髪で天を衝くようなツンツン頭。

 元医者で毒の遺伝子能力を持つ。


 [水王 涙流華]

 没落した名家、水王家の次期当主となる女性の侍。

 青い髪色でポニーテールにしている。性格はキツめ。

 水の遺伝子能力者。


 [ラルト・ローズ]

 没落した名家、ローズ家の出自。元政府軍中佐。

 白い長髪に黒のスーツを着ている。炎の遺伝子能力者。

 水王涙流華とは犬猿の仲。 


 [レモン・ポンポン]

 濃いピンク色のアフロをした褐色の巨漢。元々は芸能界に身を置いていた。

 伝説のエンターテイナーと呼ばれる。体格のわりに超ビビりで戦闘経験もほぼない。

 遺伝子能力も発現していない。

 

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【お知らせ】

 2章の表紙貯金が溜まっていく。


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AGIS(エイジス)……」


克己撃摧(スペロ・ミン・メズモ)


 ルトはすぐさま水平に腕を振るった。

 彼女に飛びかかった殷獣は腕の一振りで大きく薙ぎ払われる。


 獣は背中から地面に叩きつけられると、驚いた様子で彼女の様子を窺っている。


「ほんとに力が強くなってる…」

 ルトは驚いた様子で薙ぎ払った自身の手を見つめた。続いて自身の体を隈なく観察するが、特に変わりはない。



 ルトは遺伝子能力と同調した。


 AGIS(エイジス)は政府軍人でも使用できないことは珍しくない。

 むしろ兵卒でAGIS(エイジス)が使用できる方が稀だった。


 AGIS(エイジス)が使用できる兵卒はすぐさま昇級させられ、将校への道を歩むこととなる。


 言わばAGIS(エイジス)は強者の必須条件であり、第一段階だった。


 心に及ぼす大きな影響に起因して発現することが多く、訓練だけでは修得できない。

 もちろん、十分な訓練によって自身の遺伝子能力を操作できる状態となっておく必要がある。



 つい先ほどまで自身の能力すら知らなかったルトは、それらを飛び越えてAGIS(エイジス)を修得した。


「これがAGIS(エイジス)…?」


 ルトも初等部で勉強したことはあった。

 本来なら遺伝子能力養成学校で自身の遺伝子能力を発現させ、それを訓練するカリキュラムをこなす。


 しかし崇神星(すうしんせい)の中でも、この鉱山一帯の学校では遺伝子能力に関する訓練は行なっていなかった。

 貧民層、労働者が反抗しないようにするためだ。

 そのため知識のみの教育を行っていた。


 彼女は正真正銘初めて自身の遺伝子能力を使用していることになる。

 しかも初使用がAGIS(エイジス)


 AGIS(エイジス)を修得したルトは、習得と同時にその能力を理解していた。


 神途によって広範囲に遺伝子能力が封じられている今、どうしてルトだけは使用できているのか。

 それについても能力を知り得た彼女は理解していた。


「(私に負けなければ…!)」

 そしてその能力から、ルトは勝ち筋を見出していた。


「(負けてたまるか…!!)」

 ルトは恐怖を感じながらも殷獣へと立ち向かっていく。


 彼女が目指すのは、おそらくこの奥に設置されているであろう能力を制限している機器。

 その機器に辿り着くにはこの殷獣を退ける必要がある。


 獣は低い唸り声を上げながらルトを睨みつけている。

「痛くない…私は強い…私は勝てる…!」

 ルトは自分に言い聞かせるように呟いた。


 そして気付けのために頰を強くビンタすると、それと同時に獣が再度飛びかかる。


「ひっ…!」

 獣を討ち倒す意思を固めたルトだったが、迫り来る凶暴な獣を前にして尻餅をついてしまう。


 運良く左側に傾きながら倒れたため、獣の鋭い牙が彼女の右肩を(かす)る。

「痛っ…!」


 着地した獣は素早くルトの方に向きを変えると、彼女に対し突進した。

「なに…すんのよっ!!」

 ルトは痛みから激怒し、尻餅をついたまま獣に蹴りを入れる。

 獣の顔面に蹴りが命中するが、それと同時に獣はルトの足を引っ掻いた。


 獣は大きく吹き飛ぶと、洞窟の壁に叩きつけられた。

 ルトはすぐさま引っ掻かれた箇所を確認するが、ズボンが引き裂かれているだけで怪我はない。


「よし…大丈夫…! 私がビビらなければ…!」


「私は無敵…無敵…無敵」

 ルトは()()()()()を思い出していた。



あなた()の力は、自分自身に打ち勝てば……]



「相手にも打ち勝てる…!」

 ルトはそう言って力強く拳を握る。

 獣はよろけながらも体勢を立て直すと、ルトも獣に対峙するように立ち上がった。


 ほぼ同時に走り出すルトと獣。


 獣はルトに噛み付くため飛びかかり、彼女は殴り飛ばすため拳を振りかぶった。


「(私はもう一度サヨと会うんだ! あんたなんかに時間とってらんないの!!)」


 そして…


 ルトの右拳に獣が喰らいつくが、彼女はそのまま獣を殴り飛ばす。

 獣は地面に叩きつけられると、その勢いで壁にめり込んだ。そして獣は脱力したまま沈黙する。


「勝った…」


 一瞬勝利の余韻に浸りそうになったルトだったが、すぐさま奥へと走る。


「早く壊さなきゃ…!」



To be continued.....


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