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My² Gene〜血を喰らう獣〜  作者: 泥色の卵
第1章 後編 神に仇なす者たち
21/83

雷獣

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【登場人物】


 ▼採掘場


 [ルト・ウォール]

 19歳の女性。男勝り。髪はボサボサで鬱陶しいのでポニーテールにしている。基本的にタンクトップと作業衣ズボンで過ごしている。


 ▼国際教団

 [胤減(インゲン)

  ソラル教を信仰する国際教団の教祖。


 [神儡(シンライ)

  胤減(インゲン)の弟子。


 [神途(シント)

  胤減(インゲン)の弟子。鉱山での労働を仕切っている。

  殷獣を放って自分が討伐するという自作自演でこの星の英雄になろうと画策する。


 [サヨ・キヌガサ]

 19歳の女性。ルトと共に過ごしていたが、実は国際教団の高位幹部だった。


 [ジュイス・ブランドー]

 低ランク労働者集団のリーダー。暴力をもって他の労働者を支配している。

 女性を襲ったり、物資を奪ったりと悪行を尽くす。


 [モウラ・ムケシュ]

 背が高く恰幅の良い国際教団の高官。自信家で豪快な性格。


 [ハウラ・ロラン]

 前回の生贄として捧げられたはずの中年女性。実際は死んでおらず、国際教団の一員だった。


 ▼四帝直轄惑星間遊撃捜査隊

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 薄金髪の青年。ルトを度々助ける謎の青年。

 明るい性格。電撃を操る。


 [バリス・スピア]

 紫髪で天を衝くようなツンツン頭。

 元医者で毒の遺伝子能力を持つ。


 [水王 涙流華]

 没落した名家、水王家の次期当主となる女性の侍。

 青い髪色でポニーテールにしている。性格はキツめ。

 水の遺伝子能力者。


 [ラルト・ローズ]

 没落した名家、ローズ家の出自。元政府軍中佐。

 白い長髪に黒のスーツを着ている。炎の遺伝子能力者。

 水王涙流華とは犬猿の仲。 


 [レモン・ポンポン]

 濃いピンク色のアフロをした褐色の巨漢。元々は芸能界に身を置いていた。

 伝説のエンターテイナーと呼ばれる。体格のわりに超ビビりで戦闘経験もほぼない。

 遺伝子能力も発現していない。

 

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【お知らせ】

 表紙続々更新中!


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挿絵(By みてみん)



〜鉱山・中央空洞〜


 神途(シント)は眼前に立つ薄金髪の青年を睨みつけていた。

「お前が一番等級の高い…【雷獣】の……」

 彼は体から電撃を発しながら、その続きを叫んだ。

「サンダー・パーマー=ウラズマリーだ!!!」


 大声で叫ぶ青年、サンダー・P=ウラズマリーから“プラズマ”とよばれる彼に対し、神途は“うるさい”とばかりに顔を(しか)めた。

「名前は知っているわ。やかましい」


「それにしても余裕だな、パーマー。もう間もなく、私の弟子たちが殷獣を放つぞ」


 プラズマは自信満々な表情で神途に応えた。

「俺の仲間が止めるさ」


「なるほど。それで余裕ぶっている訳か。お前の仲間が私の弟子に勝てるとでも思っているかのような面構えだ」


「さすがは国際教団のNo.3! よく分かってんじゃん!」

 天然なのか挑発なのかプラズマは感心したようにそう発した。


 神途は分かりやすく苛立っている。

「最近数々の事件を解決したがために調子に乗ってしまっているわけだな」


「どうも」


「しかし政府も持ち上げすぎだ。たかが若造数人くらいで。我々国際教団に比べれば大したこともないのに。奴らの目は曇ったわけだ」

 神途の挑発に対してプラズマは冷静を保っている。

「お前、こんなやり方でその国際教団がデカくなると思ってんのか?」


「愚問だな。大きくなるのではない。私が大きくするのだ。これから起こることはその序章」


「お前のお師匠さんのインゲンはどうすんだ」


胤減(インゲン)様には太平の世のため、道を譲っていただく」


「ソラル教を立ち上げた直後の胤減様は凄かった。神から頂戴したと信じるに足りる程の御言葉、立ち振る舞い…」

 神途は悲しそうに語り始めた。


「“個”ではなく“多”として。一人の存在では何も変わらないが、大勢が集まることで一つの大きな存在となる」


「大勢の祈りを捧げ、皆が同じ方向を向くことで平和な世の中を作ることができる」

 それこそが胤減の歩む道だった。


「私は心酔した」

 神途は昔を懐かしむように穏やかな様子で言葉を紡いでいる。


「過去の“白い戦争”…あの戦禍で悲しみと憎しみに暮れる世を変えることができると思わされた。あの御方なら」


 約10年前、当時の政府軍トップである大元帥が反政府の旗を掲げて政府軍本部で武装蜂起した。

 同時に銀河で反政府思想に呼応した星々の首領も蜂起し始め、銀河を大きく巻き込んだ戦争へと発展した。


 その戦争は“一神(いっしん)四帝(よんてい)”という政府軍と対を成す組織によって引導が渡され、終結した。


 しかし終結後も戦争の残火によって多くのものが悲しみと怒りに暮れた。


 そんな時大きく民の心を動かしたのが胤減の率いていた国際教団…ソラル教だった。

 “個”ではなく“多”。その考えに多くのものが手を取り合い、戦後を乗り切った。


 その時すでに胤減の元についていた神途だったが、あの時をきっかけに心酔した。

 この人についていけば、いずれ平和な世の中を作れると。


「しかし、ここ最近の胤減様ではもう無理だ。認知症が進んでいる。正しい判断ができていない」


「兄弟子の神儡(シンライ)なんてもっとダメだ。泰平の世のことなど微塵も考えていない」


 プラズマは悲しみに満ちた神途に尋ねた。

「なら、この計画はインゲンもシンライも知らないのか?」


「当たり前だ。胤減(インゲン)様はこのような強行的なやり方を知れば必ず私を止める」

 そして神途は眉間にシワを寄せて続きを話した。

神儡(シンライ)は私に覇権を握られないように邪魔を入れる」


 神途は力強く目を見開くと、手を前に掲げて拳を握った。

「私は世界を救う救世主となる。殷獣と私の力でな」


「テレポートさせられないように気をつけねぇとな」

 プラズマが先ほど見た限りでは、神途の力は転移の類。

 発動条件こそ分からないが、遠方に転移させられれば神途は止められない。


 しかしプラズマの言葉に神途は薄ら笑いを浮かべている。

「私の力はただの転移ではない。神の如き力だ」


「そうかよ!」

 プラズマは小手調べの意味も込めて神途に向けて電撃を放つ。

 神途は能力を使わず、左に飛んで回避した。


「どうした!? やっぱ触れないとテレポートさせれないか?」

 見破った。プラズマはそう確信して笑みを浮かべた。


 神途は無表情のまま、走っている。

 プラズマが移動先を予測して再度電撃を放った。

「ほらほら! テレポート使わねえのかよ!」

 

 神途は迫り来る電撃に向けて右手の人差し指をかざした。

 すると彼の指先に触れた瞬間、プラズマの目の前に電撃が現れ、再度神途の方向へと向かっていく。


 その間に神途は走り、余裕を持って回避した。


「やっぱ触れたらテレポートかよ」

 プラズマは神途の能力を見破り、笑っていた。


「テレポート…か」

 神途は深みのある笑い声を上げる。

 プラズマと神途は先程の攻防で最初の立ち位置からほぼ真逆の位置になっていた。


 神途は手を自身に当てると一瞬にして姿を消す。


 そしてプラズマの左側に現れると、両手を彼に向けた。

鉄唱(てっしょう)!」

 神途は煉術(れんじゅつ)で鉄球を放つ。


「くそっ!」

 避けきれないと判断したプラズマは咄嗟に背を向け頭を下げて守った。

 鉄球はプラズマの左肩から肩甲骨付近にかけて命中し、彼は数メートル吹き飛ばされた。


 しかしすぐさま立ち上がると、自身を電撃化して間合いを取る。


「ってぇ……肩外れちまった…」

 プラズマは苦悶の表情を浮かべながらも、右手で左手を思い切り引っ張った。


「あ〜……ふぅ……」

 彼は自身で肩を無理やりはめたのだ。痛みからか深く息を吐いている。


「どうした? テレポートだなんだと言っていた割には対応ができていないな」

 神途の言葉にプラズマは反論した。

「想像すんのと、実際やるのじゃ全然違ぇんだよ!!」


 “痛ってえ”と呟くプラズマに神途は鼻で笑いながら問いかける。

()()()()でいいのか?」


「は?」


 次の瞬間、再度神途の姿が消える。

 そして今度はプラズマの背後に現れた。


「またテレポ…!」

 プラズマが振り返るよりも早く、神途は彼の背に触れた。

 そして神途はすぐさま間合いを取る。


 その時だった。

「痛ってぇぇ!」


 プラズマの左肩付近に先ほど感じた痛みが(はし)る。

 まさかと思い、彼が左肩に触れるとまた肩が外れていたのだ。


 “そんなはずはない”。

 プラズマはそう考えていた。

 なぜなら、今神途が触れたのは背中…しかも右側だ。殴られたわけでもなく、触れられただけ。


 それなのに何故また左肩が外れたのか。

 彼は考えを巡らせる。


「言っただろう? 神の如き力だと」

 神途は口角を上げてそう告げた。


「さあ来い。私を止めるのだろう? 【雷獣】よ」



To be continued.....








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