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My² Gene〜血を喰らう獣〜  作者: 泥色の卵
第1章 後編 神に仇なす者たち
13/83

猛毒

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡


【登場人物】


 ▼採掘場


 [ルト・ウォール]

 19歳の女性。男勝り。髪はボサボサで鬱陶しいのでポニーテールにしている。基本的にタンクトップと作業衣ズボンで過ごしている。


 ▼国際教団

 [胤減(インゲン)

  ソラル教を信仰する国際教団の教祖。


 [神儡(シンライ)

  胤減(インゲン)の弟子。


 [神途(シント)

  胤減(インゲン)の弟子。鉱山での労働を仕切っている。

  殷獣を放って自分が討伐するという自作自演でこの星の英雄になろうと画策する。


 [サヨ・キヌガサ]

 19歳の女性。ルトと共に過ごしていたが、実は国際教団の高位幹部だった。


 [ジュイス・ブランドー]

 低ランク労働者集団のリーダー。暴力をもって他の労働者を支配している。

 女性を襲ったり、物資を奪ったりと悪行を尽くす。


 ▼その他

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

  薄金髪の青年。ルトを度々助ける謎の青年。

  明るい性格。


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【お知らせ】

 ある程度まとまったら文章整えて公募出して

みたい!


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挿絵(By みてみん)




~鉱山・北~



 鉱山の北。山の中腹あたりの森にある洞窟。

 入口こそ狭く小さいものの、中に進むにつれてその幅、高さは大きくなる。


 神途(シント)に飛ばされたジュイス・ブランドーは体を屈めて洞窟へと入っていく。

「さて、神途(シント)様の御為(おんため)にも、早く殷獣(いんじゅう)を解放しねぇと」


 労働者の中でも低ランク層を率いるブランドー。そのほとんどがチンピラのような男達であり、自分達の欲望を暴力によって満たそうとしているような輩だった。


 そんな輩のリーダー的存在であったが、彼がチンピラたちを率いているのにも理由はあった。

 全ては神途(シント)からの指示命令だったからだ。



 ブランドーは洞窟の通路を抜けると、広い空間へと出た。

 ライトによって照らされた洞窟のその奥には、洞窟には不相応な精密機器が設置されていた。

 そして奥の壁には鉄製の巨大な壁が埋め込まれている。まるで奥に何かを押し込めているような鉄壁だった。


 ブランドーは精密機器へと歩み寄っていく。


「俺が低ランクで邪魔者を殺し続けてもう19年。やっと神途(シント)様が英雄に……世界を変える教祖となる……!」


「長かったが、新たな神途(シント)様の導く世界が、やっと……! 殷獣がこの星の…宇宙の罪を喰らい浄化する…!」


 機器のモニター前にあるひと際大きなボタン。それを押せば鉄壁は上へと持ち上げられ、中に生息する無数の殷獣が解き放たれる。


「あとは…お願いします。神途(シント)様」


 彼はそれを押下する。



 


 …つもりだったのだが、ブランドーの腕は止まり、その場に崩れ落ちた。



「思ってたより耐えたな。マジで押すんじゃねぇかってヒヤヒヤしたぜ?」


 鋭い男の声。ブランドーが視線を左に動かすと、そこには紫色の天を衝くようなツンツンの髪をした男が立っていた。


 彼は黒いTシャツに軍服ズボンのようなものを着ている。



「お……ま……」


 ブランドーはその紫髪の男を睨みつける。しかし、喉に何かがつっかえたような異物感とともに声を出すことができなくなっていた。


「麻痺毒だ。今、お前の体は麻痺してる」


 彼の言う通り、ブランドーの体は思うように動かなくなっていた。

「心配すんな。死にはしねぇ」



 しかしブランドーはゆっくりと地に手をつくと、立ち上がった。

 その様子を見た紫髪の男は驚いたように、それでいて感服したように声を上げた。

「おいおい、どういうカラクリだ? 俺の毒を瞬時に無力化したのか…?」



「お前……あの薄金髪の仲間か?」

 苦悶の表情を浮かべながらも紫髪の男を睨むブランドー。紫髪の男は“薄金髪の仲間”という言葉に反応した。


「プラズマのやつ見られてんのかよ。ったくあいつは……」

 彼の言う“プラズマ”とはサンダー・パーマー=ウラズマリーのことだった。

 サンダー・“P=ウラズマ”リーからとって“プラズマ”というあだ名で呼ばれていたのだ。


 完全に立ち上がったブランドーはその紫髪の男に尋ねた。

「お前、何をしに来た?」


 その紫髪の男はならず者のような笑みを浮かべている。

「お前らの頭を治しに来たんだよ」


「俺の頭を治しに来た!? お前なんかに俺が異常かどうかは分からないだろ」


「俺は医者だ。お前は思ってる以上に頭おかしいぞ? 素人判断でもそう思うだろうけどな」


 その言葉にブランドーは分かりやすく顔を歪めて激怒している。

「お前、国際教団を馬鹿にしてるのか?」


「いやいや、馬鹿にはしてねぇ。否定してんのさ」



 その時、ブランドーのホログラム機器が音と振動を発した。

「!?」

 彼は慌ててホログラムを開く。

神途(シント)様から?」


 ブランドーが神途から送られたメールを開くと、そこには個人情報のようなものが添付されていた。

 添付されたファイルを一つ開くと、彼が薄金髪と呼ぶ男、サンダー・パーマー=ウラズマリーの情報が載っていた。


「これは……官報?」

 それは政府から発行される公示書……銀河における強者を記したものだった。


「おいおい、今から戦闘始めるってとこだぞ…? 」

 紫髪の男は若干引いたようにブランドーを見ていた。

 崇拝しているであろう神途からのメッセージだからか、ブランドーは眼前の敵に目をくれることなく、ホログラムに見入っている。


 ブランドーが次の添付ファイルを開くと、ある情報が目に入った。

「【猛毒】……?」


 それは強者の証でもあり、政府がその者に与える二つ名だった。その者を表した単語を当てており、能力や戦闘スタイル、雰囲気などで決定されることが多かった。


 そしてブランドーが今見ている情報は“バリス・スピア”という男のもの。

 前職業は“ヴィスタ診療所”となっており、医者であることは合致していた。


 そして現職業は……


四帝(よんてい)直轄惑星間遊撃捜査隊…?」


 ブランドーは紫髪の男とホログラムを交互に見ている。

「お前がこの【猛毒】の……バリス・スピア……か」


「まぁどうせ、官報でも見てんだろ? そうだ、お前の言う通りだ」


「さて、勝手に俺の自己紹介してくれたところで、手っ取り早く麻痺ってくれよ。じゃなきゃお前を殺して止めなきゃならなくなる」

 紫髪の男…バリス・スピアは適当そうな雰囲気を醸しながらも、はっきりとした殺気を放っている。


「お前の能力で“毒”に対処できんのかもしれねぇけど、俺の“猛毒”はさっきの比じゃねぇからな」

 そう言ってスピアは右手を前へと突き出すと、手掌の前に(よもぎ)色の液状球体を作り出した。

 

「俺は殺しはしたくねぇんだ。お前ももう少し神に祈ってたいだろ? 頼むぜ?」


To be continued.....

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