ゲーム最中の一部分
物語のどっかの部分です。
こんなことを書いてますよ。という感じなので
「なんでこんなことになるんだよ」
その場について地面をたたく男性。
そんな座り込む男性に近づくのは大きさにして1メートルもあるであろうウサギ。
さらに浮遊する球体のボールにしがみつく形で乗っている
「おやおやどうしました。鈴木さん、次は貴方の番ですよ。」
「俺は。俺はこんなことに納得していない!誓約書にだって書いてなかったじゃないか!」
「フフ...それはおかしなことを言いますね。ちゃんと止まったマスに従う、と書いている誓約書にサインしてもらいましたよ。」
「ああ、それはしたさ。でもこんなことをやらないといけないなんて思うわけないじゃないか。」
「それは知ろうとしなかったあなたが悪いのでは?
あなたはちゃんとわかったといってサインしたはずですから。さぁあとが使えていますサイコロをふってください」
そういうと大きなさいころのクッションがフワフワと飛んできて鈴木の前に置かれる。
「お、俺はもうい」
「嫌だなんて言うんじゃねえぞ。言ったよなぁ、途中棄権は殺すって。実際にお前も見たはずだ。いいのか」
それはとてもかわいらしい見た目をしているウサギの声ではなかった。ドスのきいた身震いするような声だ。
「うっ。うっ。」
大粒の涙を流しながら鈴木はサイコロを持ちながら立ち上がる
「そうそう、それでいいんですよ。」
かわいらしい声に戻ったウサギは機嫌がよさそうだ。
ガクガクと震える足を何とかしながらもう投げ遣りにサイコロをぶん投げる
コロコロと回り出目は3。
「3ですねー。おお、これは運がいい。もう一度サイコロを振り出目の数×3ポイントを貰えますよ鈴木さんは-3ポイントですから最低の1が出ても返済できますね。」
「ほ、ほんとに?」
「ええ嘘は言いません。さ、振ってください」
そういうと次は鈴木の目の前にサイコロが現れる。そのままサイコロを振り出目は5。
「おめでとうございます。鈴木様は見事マイナスからプラスに転じ12となります。」
手を叩いて祝福するウサギ、もふもふとした毛が生えているため人間のようにパチパチという音は鳴らない
鈴木の着ている薄いベストのようなものの真ん中、付けられているゼッケンには赤文字の3ポイントの文字が緑色の12ポイントと書き換わった。
「うおおー!」
そこには涙を垂れ流しにした人の姿はなく両手を上にあげ歓喜の涙を流して喜ぶ男がいる
「良かったですね。鈴木様。それでは次の番ある南様の」
「あ、ちょっと待ってくれ。」
「何でしょうか、鈴木様。」
立ち去ろうとするウサギを止める
「次の俺の番までは飲み食いしてもいいんだよな。」
「これは失念しておりました、鈴木様は借ポイントもなくなりましたし。確かに注文することが可能ですね。時間も問題ないですし。」
そういうとウサギは片方の手を球体に突っ込んで何かを取りだし鈴木に渡す。
「ではコレ、メニューです。次の番が来るまでの時間潰しにゲームをしたいのならこちらのカタログに載っています。」
「じゃあ、コレとこれとこれもこの辺りも。借金していた時は何も買えなかったからな。1日なにも食ってねえ、タダでもらえる水しか口に入れてなかったからな。あ、でも支払いはどうなるんだ?」
「問題ありませんよ。1食につき1ポイントとなっておりますどんなものをどれだけ頼もうがこの注文は1ポイントしか頂きません。
ではこれは頼まれたものになります。テーブルとイスはサービスになります。それでは1ポイント頂戴致します」
ポンッ!と手を叩くと鈴木の目の前にテーブルと一脚の椅子が現れる、テーブルの上には頼んだものがあり、出来立ちなのかホカホカと湯気が立っている。
「いただきまーす。」
「それでは失礼します。では次は南様の番になります。」
もう用事がないと分かったウサギは次の番の人のもとに向かう。
「俺も3をだせばいいんだよな。」
「鈴木様と同じマスということならそうなりますね。張り切ってどうぞ―!」
次である南は鈴木の近くで一部始終を見ていた。なので南の出目は狙い通り3。鈴木と同じマス狙い。だがサイコロの出目は2だった。
「南様1ポイントゲットです、しかし借ポイントが3ポイントありますので南様の持ち金は-2ポイントとなります。」
「・・・。」
南は自分の服に書かれている赤色の数字を見る。1つ先のマスにいる男は緑の11ポイント。
自分のゼッケンの文字は変わらず赤色。なんだ、この差は。
「それでは次は」
「あーすまねぇ。ちょっといいか。」
「何でしょうか鈴木様。」
食べる手を止め立ち上がって近づいてくる鈴木。
「俺がこいつの昼食を肩代わりってのはできるのか?」
「できますが、鈴木様が南様の出費を負担すると?」
「そいつの態度次第だな」
南は驚いた様子で鈴木を見る。そして近づき懇願する
「お願いします。どこでマイナスを食らうかわからないんです。それにもう二日も食べてなくて。だからどうか、どうか」
頭を地面に擦り付けて土下座する南に鈴木はこの上ない高揚感を覚える。
明らかに自分が上に立っている感覚。何て素晴らしいんだ!そしてニヤリと笑い目の前の南を見下す。
「分かってないな南さんよぉ。頼むならそれなりの態度ってものがあるだろ。『鈴木様、お願いします』って言いながら靴を舐めてきれいにしな。」
「え、そ。それは」
「嫌ならいいぜ。三日目も水で耐えるんだな。」
「ま、待ってください!わかりました」
―すでに二人とも自分の番を終えており次が来るまで自由なのでマスの行き来をしても問題はない―
鈴木の足元に行き跪いて舌を出し靴をなめながら
「鈴木様、お願いします。鈴木様、お願いします。」
舐めては懇願。舐めては懇願。
それを数回すると鈴木は右足と左足を入れ換える。南は同じように繰り返す。
「よしよし。いいだろう。おい、ドッグフードを出してくれ」
「ドッグ..フード..。」
やり取りを終始ニヤニヤしてみていたウサギは鈴木に言われ手を叩き、ドッグフードをなにもない空中から出現させる。
「これだけでよろしいのですか?他に頼もうと頼ままいと1ポイントしか頂戴しませんが?」
「そうだな猫缶も頼む。あとは無料の水でいい」
「了解しました」
受け取った鈴木はドサッと南の前に投げ捨てる
「ほら、食えよ。俺様からの施しだ、大事に食べるんだな」
「あ、ありがとうございます。」
おおよそ人間が食べるものではない。が、それでも空腹には勝てない。犬用、猫用に作られているのであって人間が食べられないわけではない。そう考えまだ食べれそうな缶詰めの方から食べる。
開けてみると美味しそうな匂いが漂う。箸はないので指でつまみ口にいれる。薄味だが柔らかく食べれないことはない。それを水で無理矢理胃に流し込む。あとで腹痛になろうが知ったことではない。空腹で居続ける方がしんどいのだ。
「そういえば、カタログを見ていて見つけたんだがレッドアイテムってのはなんだ」
ウサギはカタログの件のページを開いて説明を始める
「はい、そちらは大量のポイントと引き換えにものすごい効果を持つアイテムと交換できます。例えば最低の1ポイントのこのアイテムですと持ちポイントがマイナスになってもアイテムを使うことで食事ができます。要は一食分の食券ですね。
鈴木様の持ちポイントでは交換できませんが30ポイントで死を一回回避できる券もあります。」
「ふん、買えないのは分かっているさ。」
カタログを捲りながらちらりと横眼で南を見ると美味しそうに猫缶をつまんで食べていた。こちらも食事中なのだ。食欲が失せないように見るのをやめた
「なら7ポイントのこのアイテムはどうだ。聞こえないように小声で頼む。」
「はい、そちらは・・・」
「よし、じゃあそれを買うぞ。」
「了解しました、では。」
ポン!と手を叩ーうと犬にでもつけるような首輪が出てくる。
「注文されたもの確かに。鈴木様の持ちポイントは3となります。
私は次の方のもとへ行きますがかまいませんか?」
「ああ、ご苦労。言っていいぞ」
ウサギがその場からいなくなりとりあえず鈴木は自分の昼食を終える、そして首輪をもって南に近づく。
香ばしい匂いと共にボリボリと音がする。どうやらドッグフードを食べているようだ
「おい、こっちを向け。こいつを自分でつけろ」
「え、でもこれって犬の首輪、ですよね」
「普通の首輪だ。」
「いや、普通じゃないでしょ、7ポイントなんでしょ!絶対何かあるじゃないですか」
「これをつけるのは人としての尊厳を侮辱するようなものだ。だから高かっただけだ。ただのアクセサリーだ。飯をおごっただろ。つけろ」
「わ、わかりましたよ。」
鈴木から首輪を貰い自分の首にはめる。なんという屈辱的行為。
首輪がしっかりついていることを確認した鈴木は大笑いする。
「ダハハハハ。マジでつけやがった。それはな隷属の首輪だそうだ。」
「隷..属...。」
「簡単にいったら俺の奴隷だ。命令を聞くペットだ」
「そ、そんな。」
ガチャガチャと首輪を外そうとするが取れることはない
「無駄だ。専用の鍵を使わねえと外せねえよ。さてと、テストしてみるか。」
そういうと鈴木はドッグフードを数粒地面に落とし踏んで粉々にする。
「命令だ。これをきれいに片付けろ。手を使うんじゃねえぞ、舐めてきれいにするんだ」
「か、身体が」
南の身体は本人の意思とは無関係に勝手に地面に座り込んでしまう。そして口を開け舌で粉々のそれを舐めとっていく。
口の中には一緒に入ったであろう砂もありじゃりじゃりと音がする
「どうだ、味は。美味いって言え」
「お、美味しいです。」
そういいながらきれいに舐めとっていく。一度舐めたところも二回、三回と舐めてきれいにしていく。鈴木がきれいと判断するまでか、はたまた別の何かの判断なのか何度も何度も念入りに...。悔しくて反抗しようにも身体は舐める行為をやめない。
「ハハハハハ!ほんとに言ってやがる。しかも涙を流しながら」
テーブルをバンバンと叩いて笑いあげる鈴木。
「次はこれを投げるからその場所にいって食べるんだぞ。あ、行くときはワンって言えよ」
ドッグフードを今度は遠くに投げる。南の身体は起き上がりそれに向かって走り始める
「ワン!」
自分の番が来るまで南をおもちゃにする鈴木だった
自分が優位にたつと変わる人っていますよね。
そういう人間の黒い部分も作者の自分の考えですが書いていこうと思います。
次回から第一話になります