表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第2話 吹奏楽部の今後を決めます

吹奏楽部の入部は、無事に受理された。

水曜日には、もう活動してもよいと倉田先生から言われた。


▪▪▪


その日の放課後になった。

私は、音楽室へ向かう。


音楽室へ入ると、志穂子の姿があった。


「そこの机に、座って貰えるかしら」

そう志穂子が言い、私は席に着く。


「改めまして、吹奏楽部顧問の鈴木志穂子です。よろしくね」


「私は、1年2組の佐々川華帆と言います。よろしくお願いします」


「さてと。挨拶は済ませたし、今日は吹奏楽部の今後を考えましょうか」


(適当にやる訳にも、いかないよねぇ)

いざ入ってみたのは良いものの、今後についてあまり深く考えていなかった。


「とりあえずは、どこか発表が出来る場が欲しいわね。活動をやっている、という宣伝も兼ねて」

私の表情を読み取った志穂子が、そう言う。


「そうなれば……手っ取り早いのは、文化祭である『野谷祭』ですかね?」

その言葉に、志穂子は頷く。


(そうなれば)


もう一つの問題が出てきた。

二人だけで演奏は十分(じゅうぶん)に出来ない為、『人数合わせ』が必要になる。


その旨を、志穂子に伝える。


「そうね……とりあえず今回はここまでにして、お互いに演奏が出来る人物を確保する必要があるわね」

その言葉に、私は頷いた。


▪▪▪


翌日の休憩時間。


「……なつさん、この通り!」


私は、同級生の樹縞なつさんに頭を下げていた。


中学生の時の同級生であり、中学の部活は吹奏楽部に所属していたのを知っていた。

私が唯一、頼める存在だったのだ。


「あ、頭を上げてください、華帆さん」

慌てた様子で、なつは言う。


「私、なつさんにしか頼めなくて」


頭を少し上げて、申し訳無さそうに私は返す。

その言葉に、なつは考える。


「分かりました、私で良ければ請け負います。ただ、私は茶道同好会に所属しているから、そっちの顧問の先生に話を通してからになるけど、いいかな」


「……うん、ありがとう……!」


その時、授業前の鐘が鳴った。


▫▫▫


授業が終わり、教室の移動をしようと思った時だ。


「……あ、あのぉ」


誰かが、話しかけた。

振り向くと、小柄の子が居る。


「確か、3組の網瀬(あみせ)さん?」

私がそう言うと、彼女は頷く。


彼女は、網瀬(あみせ)智尋(ちひろ)という子だ。

3組の子だが、クラス混合の授業でたまに顔を合わす。


「吹奏楽部の話を、ちょっと耳に挟みました。私、趣味で楽器を演奏しています……手助けが出来ると、思いましたので……声を、かけました」


「良いんですか?」

私がそう返すと、智尋は頷く。


「ありがとうございます、網瀬さん……!」


▪▪▪


放課後、私は音楽室へ向かう。

中に入ると、志穂子が生徒二人と話しているのが見えた。


「あら、お疲れさま」

私に気が付いた志穂子が、言う。


「貴女が吹部のぶちょーさんねっ!頼もしそうっ!」

生徒の一人が、そう言ってくる。


「は、はあ」


「ちょっと、ちょっと……みえりん?後輩が困惑しているじゃないの」

もう一人がツッコミを入れる。


「……おっと、ごめんごめん。あたい、3年1組の棚辺(たなべ)みえりと言いますよん。以後よろしくっ!」

みえりが言う。


「で、私はみえりんと同じクラスの水谷羽胡(はこ)と言います。吹部に新入部員が入ったと聞いて、私達に出来ることが無いかって、先生に聞いていたところです」

羽胡が、続いて言う。


「二人共、元々演奏をやっていた経験があるらしくてね。華帆さんが良ければ、二人に協力をって思っていてね」

志穂子が後ろから言う。


「じ、じゃあ……よろしくお願いします」

二人は頷いた。


「それじゃあ、練習が決まったらまた声をかけるわね」

志穂子が言う。


「ほんじゃ、またお邪魔しますね」

みえりが言い、先輩二人は音楽室を出た。


▫▫▫


「あ、そうだ」

二人を見届けた後、志穂子に演奏を手伝える人物を見つけたと伝える。


「そう、分かったわ。6人ならやれそうね」

志穂子の言葉に、私は頷く。


「さて、今日お話したいのが……部費の件なんだけどね」


どうやら、部費として1万円を配給されるとの事だ。


「この部費は、どうするんですか?」

私は気になって、聞いてみる。


「楽曲の楽譜に充てようと考えているわ。部室(あそこ)にある楽譜は、数年前の物だから……最近の楽曲にした方がと思っていてね」


そう言いつつ、志穂子は楽譜の資料を取り出す。

私は中を覗くと、楽譜は一つ3000円程度で買えるみたいだ。


「楽曲の選別は、部長である華帆さんに頼みたいのよ」


その言葉に、私は目を見開く。

「私で……良いんですか?」


「ええ、貴女の方がこのご時世の音楽を分かっている、そう思っているからね。部費を全部楽譜に充てる事は可能だから、三曲分お願い出来るかしら」


「……は、はいっ!」


「それじゃあ、明日から本格的な練習をしましょうか」

志穂子の言葉に、私は頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 部員集めは大変です(((uдu*)ゥンゥン 私も経験あるから分かります とゆうか、自分から手伝いたいと申し出てくれる人が! 吹奏楽部、未来はきっと明るいですよ! にしても楽譜て 高い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ