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短編

我、愛する者の為


まだ基準が分からないので指定は無しにしました(焦

多分大丈夫!








男がいた。




とても優しく、優しすぎるほどの男だった、どれだけ憎まれようが信じ続ける事が出来るような。




だがその村では除け者にされていた。




男は村一、国一、いや世界に数人といないほどの力、能力を持っていた。




さらには頭はずば抜けて良く、一瞬であらゆる物事を考える事が出来る。




男はただ一人でその村を守り続けた、そこには笑顔があったから、そのためには例え自分が恨まれようが守り続けた。




故にその村には笑顔は絶えなかった、悲しみなど在るはずがなかった。男の苦痛はその笑顔によって笑顔になるのだから。




大国が戦争の為に男を欲した。男は逆らわずにそれに従った。




逆らって、その街を攻撃させるわけにはいかなかったから。




だから男は嫌々ながらも戦いの場にでた、それが運命だとわかったのは後になってからだ。
















女がいた。




これまた優しく、性癖を除けば完璧とまでいえるような女性だった。




そして村では一番の人気者だった。




だが女の性癖だけは留まる事がなく、村中の男が一度はこの女と寝た、だが女はどの男とも二度は寝なかった。




女は運命の人を求め続け、旅人にまで手を出した。




そして女は気が付いた、待っているだけではダメだと、自分から向かって行かなくてはと。




そして女は村を出て探し始めた、運命の人を。




女はとりあえず、猛者が集まる軍隊に入った、そこで女の才能は開花し、女は最高司令官にまで上り詰めた。




今回の戦いは一つ数でごり押しの大国だった、だから猛者ばかりいるこの国からしてみれば楽に倒せる相手のはずだった。




事実戦いは圧倒的な優勢だった、だが流石は人数でごり押しの部隊、しばらく保たれて半年以上続いた。




だがその戦いに変化が生じた、戦いが拮抗し始めたのだ。




その立て役者の男の噂は女の耳まで届いた、それが運命の相手だとわかったのは後になってからだ。
















戦い初めて間もないわけだが男はこう言われるようになっていた、曰く歴戦の勇者。




司令官としては完璧、練られた策は絶対性があり、生き返ってくる兵の数は限りなく多かった。




さらには男は最前線でその武力を振るっていた。




向かってくる猛者達を悉く薙ぎ払っていった、犠牲を少なくする為には己を犠牲にする策さえ用いた。




それでも男はそれで良かった、自分が犠牲になるだけで見える事のない人にまで笑顔が届くと信じていたから。




男の名はすでに敵国に轟いている、これで少しは戦いが沈静化した。




だが、男にとって最悪とも言える、だがどこか嬉しくなれる出会いをするはめになる。




男は最初それがなにか分からなかった。




それは――――――――恋、一目惚れだった。
















女は最前線に出ていった、武にはそれなりに自信があったから。




女の武は確かにこちらの猛者達と同格かそれ以上だった、だが・・・・・・。




男の力はそれ以上だった、いや、そこにはもはや越えられない壁が在ったといってもいい。




絶対性、もう捕虜やらにまで手を出している女はそれに限りなく惹かれた。




そして思った、彼こそ――――――――運命の人だと。
















戦いは停戦に留まった、予定とは違う、こちら側にしてみれば予想外なことだ。




なにしろこっちからしてみれば相手国は数だけの弱国だったのだから。




女は停戦協議と同時に男を捜す為にその国に入った。




だがどこに言っても、誰に聞いても男の情報は得られなかった、だが女は探し続けた。
















そして男が死んだ事を女は知った。




男の最後は語られるように耳に入ってきた。




男の最後はあっけないものらしかった。




自分の力を過信して大国に一人で挑んだそうだ、そしてそれをやり遂げた後、どこかに立ち去ったという。




男が居た国の王はそれはそれは凹んでいた、その顔は何か悔やんでいるようにも見えた。




私はある覚悟を決めた、真相が知りたかったから。
















女はその手始めとして使えている国の王と体を重ね合い、そして約束を結ばせた。




『これから言う事を彼の国が聞けば、彼の国には手を出さない』と、王はそれを受諾した。




これは手始め、女は次に使者として彼の国、男が居た国に向かった。




そして約束する、




『我が国は其の国に一切の手を出しません、対価として死んだ彼の男の事を全て話して貰う』、彼の国の王は悩みそれを受諾する。




そして、最高司令官にまで上り詰めた女の勘である一つの可能性にたどり着いた。
















男が滅した国は女が使えている国に攻撃を仕掛けようとしていた。




最新兵器、強化型人造人間を投入しようとした初めての戦いだった、そしてそれは絶対に成功すると言われていた。




一体一体が女の力に匹敵していた、並の猛者ならば拮抗、もしくは敗退することになっていただろう。




その国の皇子は女を狙っていたのだ、女を奪う為に女の使える国をそのまま奪おうとしたのだ。
















ここからは推測。




男はすぐに部下、上司に口封じをしてもらったのだろう。




男の信頼度は高い、そうそう簡単に口は割らないだろう。




男は王にその事を報告したそうだ、そして同時に一人でその任務を受けさせて貰ったのだろう。




最新兵器の事は伏せた為、王は何の不安も抱かずそれを受理した、男が負けて、ましてや死ぬ事は考えてはいなかっただろう。




男は最新兵器の悉くを薙ぎ払い進んでいった、大量生産されたそれらの亡骸の上を男は心を痛めながら歩いた事だろう。




そして男は感情の一切を消してその国を形作る全ての人を殺したことだろう。




戦場では誰一人として殺さなかった男が・・・・・・だ。




女はそう考えて、男のことを想い――――――泣いた。
















男が―――――――運命の人だと確信した。
















そして戦っていた時のように一生懸命男が幸せになって欲しいと願った自分を幸せにし続けた。




そして一度だけ、年にたった一度悲しい一日を作った。




男の命日、それだけは女はどれだけ頑張っても自分を幸せに出来なかった。




だから女は必死に頑張って男の為に作った仮の墓の前で・・・・・・・・笑いながら――――――――。
















――――――泣いた。

こういう関係のものは結構すきだなぁ〜(喜


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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。「、」を活用した独特の言い回しが多く、そのリズムが心地よかったです。 国家間の戦争が語られており、短いながらもどこかスケールが大きく感じられました。 そう思ったのは、一歩引…
2011/12/03 20:14 退会済み
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