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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

でんでん虫

作者: 柚安 歩津

でーんでん むーしむし かーたつーむりー


おーまえのあーたまは どーこにあるー


つのだせやりだせ あたまーだせー




ザーーーー……… ザーーーー………



ばちゃん! ばちゃ! ばちゃん!



 今日は雨がどざーっとふっています。でも、雨ガッパをつけて帰れるから、僕は雨の日が大好きです!


「……あ、でんでん虫のいそうなとこ………」


 僕は、帰り道の途中にあるアサガオがたくさん生えている所を目にして立ち止まりました。今日、教室のみんなが歌ってたでんでん虫がいるかもしれないからです。


 僕は、葉っぱの表面をくまなく探し回ってみました。でも、でんでん虫の姿は見えません。


 葉っぱをかき分けて、葉っぱの下にいないか探してみる事にしました。


ガサ…… ガサガサガサ………


 着ている雨ガッパから水が落ちて、それが葉っぱに当たって水しぶきが顔に飛んできます。とても探しづらいけれど、それでも僕は探し続けます。


ガサガサガサガサ……… ガサガサガサガサ………



「あっ!」


 葉っぱの隙間から、でんでん虫の背中が見えました。僕は、それを一気にむんずと掴み、手のひらに乗せてみました。


 僕は、とても嬉しいと思いました。いっぱい探した後に見つけたから、嬉しいんだと思います。




 すると







ギョロン ギョロン ギョロン ギョロン ギョロン





グルン グルン グルン グルン グルン グルン






 でんでん虫の頭が、とてもとても激しく回っていました。


こわいです にげたいです


 なんででんでん虫なんて取っちゃったんだろう、って思います。



プツンッ


「いたっ」


 思わず、でんでん虫を落としてしまいました。


 なんか、手のひらが痛かったので見てみたけど、ケガはしていませんでした。


 僕はでんでん虫がどうでもよくなっていました。なので、早くお家に帰ることにしました。





ザーーーー……… ザーーーー………





プルルルルル プルルルルル


 僕のお家に、電話がかかってきました。


 ママは今、アイロンがけで手が離せないみたいだから、僕が電話に出ます。


プルルルルル プルルルルル


ガチャ


「はい、もしもし」



「………………い………」


「……もしもし」


「……おまえ………い…」


「………え?」


「……お前の……せいだ…………」


「……?」


「……お前の……せいだ……………」


ガチャ

ツー ツー ツー…………


 電話は切れてしまいました。



 ピーンポーーン



 今度はインターホンが鳴りました。


 僕は玄関へ向かいます。


 正直、怖いけど、ママは手が離せないから僕が出なくちゃいけません。





ガチャン!


キィィィーーィ…………




 誰もいませんでした



 本当に誰もいないか、右、左を確認します



 階段の上にいました



 茶色いぼうしに、茶色い大きなコート



 グルグル巻かれたマフラーの下には、メガネとサングラスをしています



 カン カン と、階段を降りてきました



 逃げたくても動けません



 声を出したくても、うまく出せません



カン   カン   カン



 僕と一段しか離れてないとこまできたコートの人は、真っ黒い手袋をしていて、それを僕の目の前まで



 声を出さなきゃ



 出さなきゃ



「……………ぁ」




 出さなきゃ







「ヒァーーーーーー」





 甲高く、それでいてか細い声を上げながら、起きた


 外は、昨日とは違いすっかり晴空だ。


 僕は、安心した。


 昨日のことは、もう忘れよう。


 大好きなママの元へ向かおう。


 きっと、それがいい。



「……あら? 珍しいね、自分で早起きなん……て………」




キャアアアーーーーーーーーーーーー



「なんだ、な、なんだ、どうした!?」



「あなた……あなた……め、目が……!」



「落ち着け……! 目がどうしたんだ…………………」







「ママ、パパ」


「ボク、早起きしたよ。ほめてー、ほめてよーーーーーーー」













でーんでん むーしむし かーたつーむりー



おーまえのあーたまは どーこにあるー



つのだせやりだせ あたまーだせー








fin

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