09 緊急
私が書いた候補地は、
『もっといっぱい、世界中を見てまわってから決めよう!』
というわけで、チームモノカ。
いつものごとく幌馬車ぶらり旅の準備。
さてそろそろ出発と、幌馬車シブマでうきうきモードの私たちに突然緊急連絡が。
現れたのは、リシェルさん。
「ギルド内部から冒険者の方たちの個人情報が流出したため、皆さんご注意願いますっ!」
ボケモノカード絡みの件で、例の裏組織が情報入手のためにギルド内部に手を回したみたいで、冒険者の個人情報が結構出回っちゃったとか。
私たちに連絡事項を伝えたリシェルさんは、担当している他の冒険者のところへとあっという間に『転送』して行っちゃいました。
「ミスキお姉さんたち、大丈夫かな。 お母さん」
マクラがとても心配そう。
私たちみたいな荒事オーライな冒険者はともかく、ミスキさんたちみたいな武闘派じゃない人たちはセキュリティ問題への対応は重大事。
「みんな、悪いけど旅は後回しにしてミスキさんのところへ寄ってみるね」
一同、真剣な表情でうなずいてくれました。
ありがとう、みんな。
幌馬車シブマは、ミスキさん宅へ到着。
車庫に配達魔導車システマがあるので、あの娘たちは家にいるようです。
「こんにちは」
ノックをすると、扉を半開きにしてこちらを覗くリカさん。
「良かった。 モノカさんたちだよ、みんな」
家に入ると、リカさんたちが次々と抱きついてきた。
みんな怯えており、いつもは勇気もりもりのリカさんまでも震えている。
「なにかあったのですか」
つい先日、怖い目にあったのです、と、ミスキさん。
ミスキさんの家はとてもお庭が広いけど、侵入者ではなくて覗き魔に狙われたそうだ。
敷地外の林から遠視魔導具を使って家の中を覗いていた変質者がいて、たまたま訪れてくれたメイジさんが捕縛してくれたとのこと。
用心しましょうと言っていた矢先、個人情報流出の注意喚起のお知らせが届いた。
「ギルド内が混乱しちゃってて、しばらく配達はお休みなんです」
いつもは気丈にお母さんしているミスキさんも、元気いっぱいな三人娘も、さすがに参っている。
「ミスキさんたち、良かったら私の話を聞いて」
チームモノカが本拠地探しを始めたこと、
みんなが良かったら、ミスキさんの家のそばに住みたいこと。
「モノカ様っ」
抱きついてきたミスキさんたち。
見まわすと、うちのメンバーたちも決意のまなざし。
チームモノカ、本拠地、決定。