07 ひとやすみ
お勉強は、ひとやすみ。
今は、クロから指摘があった本拠地について思案中。
「お母さん、なにか考えごと?」
さすがはマクラちゃん、家族の悩みは見過ごせない根っからのお母さん気質。
マクラは、ちゃんとしたおうちとかって欲しくなったりしたことってあるのかなという私の問いに、可愛らしく小首を傾げた後で、
「おうち、あったら楽しいかもっ」
ほう。
「お父さんとヘリヤお姉さんがいる宿屋さんもおうちだし、ニケルちゃんのおうちも、ミスキお姉さんたちのおうちも、アランおじさんたちのおうちも、ロイおじさんたちのおうちも、ツァイシャ女王さまのお城も、ぜんぶマクラのおうちだよってみんなが言ってくれるの」
「もちろん幌馬車シブマの中のお部屋も大好きだよ」
「でもやっぱり、お母さんたちとずっと一緒に暮らせるおうち、あったらうれしいなっ」
よっしゃ決めたよマクラちゃん。
チームモノカのリーダーとして、家族のために最高のおうちをみんなにご用意いたしましょう!
「お母さん、楽しそうっ」
任せろマクラ、この秘崎萌乃果、家族のためならひと肌どころかすっぽんぽんまで脱いじゃうよっ。
「風邪ひかないでねっ」
おうよ、なんとかは風邪ひかないのは生まれた時から実証済みだぜっ。
「ひとりでがんばらないで、ちゃんとみんなでお話し合いしようねっ」
くぅっ、泣けるぜ。
うちのマクラちゃんってば、なんでこんなにお母さんなんでしょ。
「たぶんリーダーがモノカだからですよっ」
なんだいノルシェ、母娘の感動の名場面に茶々を入れてはいけないよ。
「確かに、マクラお母さんが暴走娘モノカの手綱を引き締めるっていう感動の名場面でしたねっ」
なんだねアイネ、母娘の立ち位置を逆転させるなんて、そんな茶番劇どこにあったんだい。
「モノカ一家の家庭内ヒエラルキーは、シジミの未分類生命体としてのハイスペック脳細胞でも序列不確定、なの」
なんだよシジミ、すぐに人を数値化してランキングするのはキミの悪いクセだよ。 胸部データとかさ。
「みんな落ち着こっ。 はい、お茶」
マクラ茶、うめぇ。
はい、落ち着きました。
「それでは今から『第一回チームモノカ本拠地決めちゃうよ』会議を始めまーす」
ぱちぱちぱち、拍手はそれなり。