21 我が家
怒涛の新居落成から落ち着きを取り戻して、
チームモノカも、以前とは少し違った日常。
「駄目でしょクロ。 またモノカさんの下着が混ざってましたよ」
「いいじゃないかササエ、どうせサイズが一緒なんだし、誰に見せるわけでもないし」
「いけませんっ。 他の誰が許しても、この私の目の前では下着のシェアは許しませんよっ」
しっかりものカップルだと思っていたのに、まさかクロが私生活駄目っ娘だったとは……
「黒でも白でも灰色でも、お医者さまは清潔感が第一なんですからねっ」
「ふぁい、ごめんなさい」
「もう、少しはマクラさんを見習いなさいっ」
自室の清掃・整頓は各自責任を持って、なのだが、一階・二階の共有スペースの管理はローテーション。
お料理班、お掃除班、お洗濯・お買い物班の三班が週替わり。
マクラとシジミとササエさんを班長にして班分けされて、家事普通組と家事駄目っ娘組がそれぞれ振り分けられております。
そしてクロは家事がこんな感じ。
ま、ササエさんに甘えてるのはバレバレなんだけどさ。
「ごめんなさいね、モノカ様。 あの人がこんな感じだと、ツァイシャ女王様からの出張依頼の件、どうしましょう」
心配しないでササエさん。 あれって甘えてるだけなんで、嫁さんがいなければそれなりに頑張るようになりますって。
「もう、モノカ様ったら」
ぎゅーっ
「ササエさんは少し、モノカを甘やかしすぎだと思うのですが」
いいじゃないかノルシェ。 こんな幸せをクロばかりに独占させておくなんて、そんなのは家長が許しませんことよ。
「ちゃんと冒険もがんばってるし、たまにはご褒美も、ねっ」
そうだねアイネ。 システマ『転送』での即応性とかメンバー選択肢の多様性とか、以前より冒険が楽しくなったよね。
「新型マツカゼが待ち遠しいのですよ、モノカ」
シジミもばんばん新型魔導具を開発しちゃって良いんだよ。 でもこのあいだみたいに大爆発するブツは勘弁な。
「お母さんっ、自分のお部屋のお掃除を後回しにばかりしてたら、お布団の下のご本、片付けちゃうからねっ」
いかんっマクラッ、アレはお子さまにはアンタッチャブルな乙女の聖域!
ってか、なんでバレたしっ。
「モノカがすっ飛んで行きましたが、ナニゴトですかっ。 ミスキさん」
「駄目ですよネルコさん、モノカさんにはちゃんと安全な隠し場所も伝授してあげないと」
「さすがはマクラお母さん、危険物は見逃しませんね。 もしやミスキさんのところの三人娘さんたちも」
「任せてください、あの娘たちのお母さんですから」
『秘物収集の道は一日にして成らずですよ、モノカ』
人がたくさん集まれば
何やらたくさん巻き起こる
乙女集合、そんな惨状
きれいなだけではありません
今日も今日とて巣作りしっぽり
不肖、秘崎萌乃果
自宅の中でも常在戦場
休まったり、休まらなかったり
「一冊、足りねぇ!」
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。




