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(4)9月3日放課後 生徒自治会会議室 PART1

 授業が終わって廊下を歩いて行くとSHRを終えて帰宅したり部活に向かう生徒たちの喧噪が聞こえてくる。


 今日は放課後に文化祭実行委員会に顔を出し進捗を確認する日だった。ミフユはオブザーバーとして決定事項の確認など当たっていた。これを会長としてやっていた大村先輩。浪人する事なく進学されて良かったと思うし、その点は負けずに頑張ろうと思う。


 そして加美&高山コンビが良い仕事していて特に言う事もなかったんだけど、この日に限ってはそうでもなかった。

 生徒自治会・文化祭実行委員会の合同会議に当てられていた生徒自治会の会議室の引き戸を開くと10歳に届かないぐらいのデニムのハーフパンツ姿の女子小学生がいたのだ。

 その子は加美さんに「お姉さんのようにポニテも悪くないけどこれぐらいなら三つ編みもいい」とか言われながら三つ編みにしてもらっていた。


 は?、あんた、ここで一体何してんのよ。口がへの字になってるよねえと思いつつ問い質す。


「えーと、どういうこと?なんでミアキがいるの?」


三つ編み完成したようで加美さんが手を止めると言った。


「私がメッセでお願いして来てもらいました。小学生向けのマーケティングリサーチです。在学生で小学生の弟さん、妹さんがいる人で連絡が取れる人がミアキちゃんしか思い当たらなくて」


そりゃあ、早々いないでしょう。高校生で小学生の弟や妹がいる人なんてミフユ自身以外で周りにいた記憶はない。あ、一人例外がいた。「妹ってたまに面倒かなあ」って言うと「そんな事はないだろ?可愛いものじゃないか」と言い出した事でミフユも知る事になった日向くんがいた。でも彼の妹さんはまだ赤ちゃんだし……ってそういう話をしてるんじゃなかった。


「でも私に言ってくれてもいいよね。ミアキ、あんたも私に何故言わない?」


いたずらっ子は動じない。


「それじゃ面白くないから。もとより加美お姉ちゃんから私へのお願いなんだからそこまでお姉ちゃんに言われる事じゃないと思うけど」


そう平然と笑顔で返す妹。そしてみんなは笑いをこらえつつ前会長がどう出るか様子をうかがっていた。


「……来るなとか言わないけど知らないのはバツ悪いわ」


そう言われるとこれぐらいしか言えない。このあたりで1、2年生の執行部員、実行委員達は我慢しきれなかったようでクスクスしていた。前会長の威厳も何もあったもんじゃない。


「本当にすいません」


 謝って来たのは高山実行委員長だった。会計委員会の委員長でもある。ちょっとガッシリした体格の好男子。一番心配だった加美さんともいい関係を築いていて安心して任せられる子。今回は加美さんを止める側に回るというより是非という立場で後押ししてくれたらしい。とほほ。


 なんでも実行委員会で外部来場者に優しい誘導対応など前の週の会議の後で考えていたら小学生女子が納得するならいいんじゃねとなって、現会長の加美さんがミアキにメッセしたら(いつの間にアドレス交換してたのやら)、行ってもいいけどお姉ちゃんにはその時まで秘密ねと釘を刺されてこうなったらしい。


「いいよ。別にまだ5時前だし。ミアキ個人の自由だからさ」


笑顔のミアキ。


「だよね」


はい、はい。正論に返す言葉がございません。

1、2年生達はもう我慢しきれず大爆笑してくれた。


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