(3)9月3日お昼休み 中央高学生食堂 PART1
授業は平常通りだけど受験科目は熱を帯びやすい。ミフユの場合、理系だったので主戦場たる数学、英語、物理、化学で頭を抱えつつも頑張っていた。AO入試や推薦入試などは晩秋から初冬には始まる。就職組も少なからずいるけど、その子達も公務員だと試験があるしどの進路の子も必死だ。
昼休み。ミフユの代の生徒自治会元執行部のメンバーが集まって昼食を食べる事が多くなった。放課後あまり顔を合わす機会がなくなって、でも話はしたいなと学食で弁当のおかず交換したりしながら食べていて、時にレシピ情報の交換に到る事もある。それぞれ目指す進路に関わる話とか聞いたら教え合ったりしている。
今日はミフユの他に三重陽子、秋山菜乃佳、日向肇、姫岡秀幸の五人が食堂の端の卓を囲んで家から持参の弁当や学食のスペシャル定食を食べていた。
「古城は受験勉強の方は大丈夫か。今日もまた文化祭実行委員会の顔出しだろ?」
日向肇がスペシャル定食のおかずに箸をのばしつつ気にして聞いた。ミフユは弁当箱の脇のお茶を手に一口飲んだ。
企画は夏休み前に終わったしあとは週1日文化祭実行委員会と生徒自治会に顔出して雑談する感じで話を聞いてあげるだけだった。そんなに手間はかからないし気晴らしにちょうどいい。
「大丈夫。週1日1時間ぐらいあの子たちの話に付き合ってたまに止めたり、たまに背中押しをしているだけだし」
心配している日向くんや陽子ちゃんも私ほどのペースではないにしろ立ち寄って同じような事をしているのは知っている。この二人にしても気晴らしなんだろうと思う。
加美さんはしっかり者(というかし過ぎな方が心配)だし、高山文化祭実行委員長は手を抜くべきところは抜いてる。ミフユは特に心配はしていなかった。
そんな会話をしていたら急に秋山菜乃佳と姫岡秀幸がなにやら喧嘩を始めた。というか秋山さんが姫岡を非難した。そして秋山さんは「もういいから!」と言うと席を立ってしまった。
あっという間の出来事。爆発的な状況の進行、そして終結。呆然とする残された私たち。