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第23話

「今回は、殺人事件ではないようですし、三樹さんに逃げる意思がないので、手錠はしません。三樹さんもかなりのショックを受けています。しばらく三樹さんと一緒にいてあげて下さい」

「分かりました」

 家政婦は小川の話を聞くと、泣いている三樹を抱き締めた。

 三樹は家政婦にすがってまた大声で泣き出した。

 家政婦も一緒に泣き出す。

 門へと足を進める箕浦と小川の耳に悲痛な家政婦の泣き声が届く。お嬢様と思い何かと面倒をみてきた女の子が、実は人肉を切り刻んでいたという事実を知り、家政婦は今失意に打ちのめされているのだろう。

 箕浦は、周辺にある神社仏閣の樹林を眺めながら小川に聞いた。

「死体損壊って、懲役3年未満の実刑だったか?」

「多分そうだと思いますが、死体損壊のみの事件は、あまり例がないのですぐには思い出せないです。あ! でも、墓荒らしは、3ヶ月以上5年未満だというのは知っています。僕が箕浦さんに会う前の新人だった時に、墓荒らしの犯人を逮捕しましたので。でも三樹さんの場合は、14歳という年齢なので実刑になるかどうか。きっとご両親が腕のいい弁護士を雇うんじゃないですか」

 箕浦は日焼けで黒ずんだ鼻を膨らませて大きく息をする。

「実業家の娘だ。弁護士は必ずつくだろうな。本当は、腕のいい弁護士より、猟奇事件の知識がある専門の医師とカウンセラーが必要なんだが」

 箕浦は考え深げな表情をして言葉を続ける。

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