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第15話

「殺人行為って記憶に残るのよ。殺人をした人は、その記憶を抱えて生活をしなければならない。それはかなり辛くてね。あの女性みたいに愛情いっぱいの表情はできないわ。むしろ怪しいのは、女性と一緒にいる女の子よ。何か取り返しのつかない事をしてしまった表情だもの」

 小川は、美智子の話に矛盾を感じて言う。

「でも、あの女の子は笑顔で本の棚にある児童小説を見てますよ」

「サインをした時は、そうじゃなかったわ。今笑っているのは、忘れたい事があるからよ。きっと母親は娘の変化に気づいて、元気づけようとして娘が好きな児童小説エリアに連れて来たんだわ」

 箕浦と小川は、互いの顔を合わせて黙って頷いた。二人の心の中には「二人は親子じゃない」という思いがある。

 美智子は、横長の眼鏡のズレを直しながら児童小説エリアにいる三樹をじっと見ている。

「違う。あの二人、親子じゃない。離れ過ぎ。親子の距離じゃない。お手伝いさんとお嬢様って感じ。多分そう」

 箕浦の表情が引き締まった。美智子と視線を絡ませる。

「沼川先生は、なんでここにいるんですか? サイン会場にいなくていいんですか?」

「今、休憩時間なの」

 サラリと答えた美智子と、顔を引きつらせている箕浦を見て、小川は苦笑している。

 箕浦は念の押すようにさっき口にした言葉を繰り返えした。

「仕事中とか 殺人事件とか、何も言ってないんですがね」

 美智子は真面目な顔で話す箕浦を見ていたが、急に視線を変えて家政婦を指さした。

「あ! あの二人、移動するみたい」

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