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第14話

 箕浦と小川は、家政婦を尾行し特設会場から移動した。

 家政婦は、女性専門誌や週刊誌を見て周り、また児童小説エリアに戻ってきた。

 三樹は嬉しそうにいくつかの児童小説を持ち上げて読み比べている。児童小説エリアに戻ってきたのは、三樹が家政婦にせがんだからだろう。

 箕浦たちが家政婦と三樹を観察していると、にゅっと手が伸びてきて箕浦の背中を叩いた。

 箕浦は小川に呼ばれたと思い振り返り相手を見た瞬間、驚きざまに飛び上がった。その高さ約20センチ。

 箕浦の背中を叩いたのは、先ほど特設会場でサインをしていた美智子だった。

 箕浦は美智子を見て動揺しまくっている。

「な、何しに来た?」

「何しに来た? はないでしょう。私は、この本の世界で暮らす可憐な妖精なのに」

 美智子の口から出た突拍子もない言葉を聞いて、箕浦は頭を抱える。

 箕浦の横にいる小川は、品良く静かに笑っている。

 美智子は、箕浦の視線の先にあった家政婦を見てから箕浦に視線を戻した。

「殺人事件なの?」

 箕浦は口を横一文字に結んで、美智子と目を合わせないようにしている。

 美智子は、箕浦の態度を見てまた口を開いた。

「児童小説エリアにいる女の子を連れた女性は、殺人犯じゃないわよ」

 小川は箕浦を見る。

 箕浦も小川を見てから、美智子に向き直って口を開いた。

「俺は何も言ってないが」

「でも、仕事中なんでしょ?」

 美智子は体の向きを変えて児童小説エリアにいる家政婦を見ながら言った。

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