第11話
門の前で箕浦たちが肩を並べていると、家政婦が姉の三樹を連れて玄関から出て来た。
同僚の刑事がすぐに家政婦に気づいて声を掛ける。
「どこに行くんですか?」
「買い物です。この子がかわいそうで、息抜きをさせてあげたくて」
三樹は怯えた表情で箕浦たちを見ている。
同僚の刑事がどう返事をしようか悩んでいると、箕浦が同僚の刑事に聞いた。
「昨日あの二人が身につけていたものは全て回収済みか?」
「回収済みです」
「二人の指紋は?」
「とりました」
同僚刑事の返事を聞くと、箕浦は首を外へ向けた。
「なら、行かせてやれ」
「分かりました。前田さん。携帯電話を持っています?」
同僚の刑事が家政婦に聞くと、家政婦は持っていた手提げバッグから携帯電話を取り出す。
「その携帯電話で必ず居所は分かるようにして置いて下さい」
「分かりました。では、行ってきます」
家政婦は同僚の刑事に頷くと、車の助手席に三樹を座らせた、車のキーを手提げバッグから出して運転席に乗り込んで車を発進させた。
箕浦は同僚の刑事に聞く。
「壁に寄せて留めてある普通乗用車は覆面パトカーか?」
「はい。そうです」
同僚の刑事が返事をしたのと同時に、箕浦は道端にあった覆面パトカーに向って走り出した。
「小川。追いかけるぞ」
「分かりました」
小川も走り出す。
同僚の刑事は焦った表情で言う。
「自分はどうやって署に戻ればいいんですか?」




