第1話
人は、危険な事だと分かっていても試しに行う時がある。
危険の大小に関わらず試した結果、何事もなければ大丈夫だと錯覚し、また行いたくなる。
そう。人は命に関わる危険な事も、1度大丈夫だと思えば、次からは危険を承知で行えるのだ。
危険を感じる感覚が麻痺してしまうといってもいい。
それは大人も子供も同じで、危険が生じるまで行いを続けてしまう。
危険が生じたあと、麻痺した感覚が戻り思い知る。
取り返しがつかない事態になった。――と。
――生きていれば。
東京都新宿区左門町に暮らす姉妹もそうだった。
姉は14歳。妹は11歳。
なぜ姉妹として二人は生まれたのか?
なぜ姉になったのか?
なぜ妹になったのか?
二人ともショートヘアーでよく似ていると言われる。
互いの姿が違っていればともかく、似たもの同士が姉妹として生まれる必要があったのか?
一人っ子で生まれていたら、今どんな暮らしをしていたのか?
8畳の部屋。姉妹だから半分の4畳しか使えない。
二つの勉強机の間にある背の高い幅の広い本棚。勉強に集中するようにと両親が作った姉妹を隔てる境界線。
姉妹とは別れなければならないものなのか?
妹は勉強机からカッターナイフを取り出した。刃を押し出せばカチカチと音がする。
刃物は怖い。絶対にほかの人に刃を向けてはいけない。両親からそう教えられている。




