66 《水の魂を共に抱き》(9)
相変わらずドアを支えて(自動開閉なのに)、優しく手を添えて紳士的にエスコートをしてくれるライさんと、真凛さんの大きな車の後部座席に乗り込んだ。
「これは、本当にいい車だね~」
とライさんが、うらやましそうに褒める。
「ありがとうございます。花梨たちの家族ともしょっちゅうドライブに行くものですから」
「そうだったね、楽しそうだよね」
「さ、そんなことよりも。どうぞ、私に気を遣ってなんていないで、お二人でお話しください。のんびりしていると、あっという間に夏美の家に到着してしまいますよ?」
「ありがとう、真凛」
「ありがとうございます」
と、ハモるように言ったあと、すぐにラインハルトが口を開く。
「夏美は...、え~と、何かあったの?」
「え?」
「頑張りすぎている気が、ちょっとしてしまったんだ。気のせいならいいんだけど」
「頑張るのは、悪いことですか?」
「いや、悪いことじゃない。それに、僕に優しく気遣いをしてくれているから、とても嬉しいけど」
「ライさんが喜んでくださっているなら、良かったです!」
ライさんは、ちょっと困ったような顔をした。
「頑張りすぎて息切れしないように、ほどほどにね。
ところで、12日は、大丈夫?何時ごろお店が終わるの?」
「お店というより、、早番で上がれる日なんです。5時半くらいには勤務が終わるので」
「へぇ、それは良かった。少し早く帰れるって、お得気分だね」
「それに、その次の日から2連続でお休みなんです。今からもう、とても楽しみで」
「何か予定は、入れてあるの?」
「ううん、最近忙しかったのと、もしかしたら、遥と真凛さんに呼び出しをされるかもしれないと、空けてはあるんです。衣装の話、まだ保留にしているものもあったので」
「衣装合わせ?女性の衣装は華やかだからいいね。楽しみだなぁ、披露してもらえる時が」
「はい、でも、私はセンスがないので、ほとんど任せきりで申し訳ないんですけれど」
「もしも、そのついででもいいから、時間が合えば12日以外でも練習をしてもらえる?
もちろん、僕も仕事が入ると、キャンセルするかもしれないから、無理にとは言わないけれども」
「はい、また連絡してください。私も、練習はしたいんです。今日、私の方がミスだらけでしたよね?」
「ううん、そんなことないよ。夏美は本当にカンがいいから、助かっているんだよ。じゃ、夏美の方の話を聞きたいな」
「ありがとうございます。宝珠のことなんですけど」
「うん、その話が聞きたい」
「私、あの、昔親戚のお婆さまに聞いたのですが、もしも宝珠を神社とか神さまに返さなくてはならないとしたら、ライさんは私に返してくれるって、以前言ってくれてましたよね?」
「うん、ただもちろん大切なものだから、夏美が正当な権利者じゃないと、渡せないかもしれないな」
「え?そんなこと言っていましたっけ?」
「うん、だって他に、夏美以外にもしも正当な権利者がいたら困るでしょう?
正当な権利者で、宝珠の力をコントロールできるということを証明してくれたら、夏美を信じて渡すことにする」
夏美は、心の中でちょっとむっとしてしまった。
「あの~。そんなに条件が付いていましたっけ?」
「不満...?あのさ、説明しようか、まず...」
「あ、説明はいいです。あの時は、細かいことまで決めていなかったですもんね」
半分いらいらしたまま、ライさんを遮ってしまった。
「あのさ、夏美...」
「ごめんなさい、あの...。遮ったりして。ちょっとライさんの考えたのと似ているかどうか、私に言わせてもらってもいいですか?
答え合わせをしてほしいんです。わがままだと思いますけど、いいですか?」
「...うん」
困った顔をしつつ、それでもライさんは優しい。
さっきから、まるで出来の悪い生徒を心配そうな顔で眺めている先生みたいなまなざしで、ライさんが見てくる気がするので、なぜか良い点を取ろうとするかのように自分の気持ちが焦ってしまっている。
ううん、それもちょっと違うかも。むっとしたり、悲しくなったり、まるでジェットコースターのように、気持ちが乱高下している。さっきまで、可愛く優しくを頑張っていたのに!
「つまり、ライさんが、『権利者』を名乗る誰かに、安易に宝珠を渡してしまったら、本物の権利者が困るからですよね。今のところ、私が反応しているけれど、もしかしたら、私に宝珠を渡してしまった後にもっとふさわしい人が現れたら、ライさんが責任を感じなくてはならない、そういうことですよね?」
「うん、そう、その通りなんだよ。
もちろん、以前言っておいたように、宝珠は悪いものではないけれども、とてもパワーがある珠だから慎重にしないとね。
機嫌が悪いと、...大変なんだ、抑え込むのに苦労したり。先日、ちょっと火傷しちゃったよ」
「ええ?大丈夫でしたか、ライさん」
「うん、身近に大切に置いているんだけど、夜中にいきなり熱を持ってしまって。僕は寝ぼけてて、すごく慌てたよ」
「もしかして、以前の、あの、真っ赤になった時みたいに?」
「うん、すごく発光していた。いつもは、癒してくれているのに全然、違うんだ。
ある意味、きれいだなって見とれて眺めてしまうくらいにね。
僕が無理やり抑えつけようとしたから、余計に火傷をしてしまうのかもしれないけどね。だって、僕が元々の正当な持ち主ではなくて、それもずっと宝珠は知っていてくれてると思っていたんだけど、しかもずっと一緒にいて、ずいぶんと仲良くなってくれている気がしていたのに、ここに来て、たまにちょっと予告なしにビカっと来るんだ。
...そうだね、まるで機嫌の悪い猫の相手をしているみたいな感じ」
「そうなんですか...」
宝珠を返してほしいと言ったけれど、自分が抑え込めるかどうか、やはり不安は大きい...。私一人の力では、やはりだめなのかもしれない。
ラインハルトは、優しく夏美を見る。
「宝珠が夏美を正当な権利者だと認めてくれたら、夏美に危害を加えたりはしないと思うけどね」
「それをどうやって証明すればいいのでしょうか?」
「さ、わからないな。その時になってみないとね。
きっと、その時になったら、自然と何か伝わってくるんじゃないかな。そして、たぶん、その時は近づいているんだと思うよ。だから、こんな不思議なことが起こり始めたんだね。そう思う。
宝珠を大切に持っていたから寂しいけれど、僕は宝珠とお別れしなければならないのかもしれないな」
そう言って、ラインハルトは少し目を伏せた。
夏美は、感じる。
ライさんのポケットの中に今日も宝珠は、ある。でも今、宝珠はライさんのポケットの中におとなしくいることを選んでいる、そう思う。
それは、ライさんには伝わっているのかいないのか、ライさんは、本当に寂しそうだ。
美津姫さまとの思い出の品としてずっと大切にしていたのに。夢で私が見たように、もしかしたら、本当に美津姫さまがライさんの命を繋ぎとめるために、渡したのかもしれない大切なものだけれど。
でも、...ごめんなさい、宝を返していくというのが、ご先祖様のミッションみたいなので、きちんとライさんから返してもらって、元のどこか、湖だろうか、龍神様のご都合に合わせて返さないといけないのだから...。
「ごめんなさい、それでも...もしも私の聞いた話が本当だとしたら、神さまに宝を返さなくてはならないといけないみたいなんです」
「うん、わかった。その話はきちんとしたいから、12日にしよう。ゆっくり時間をとって謎解き委員会のミーティングをやろう。その時、先日途中までしか話していない、僕の話も聞いてもらいたいな」
「あ、そうですね、私も宝珠の話を今度こそちゃんとしたいんです。
じゃ、ライさんの方のお話をしてください、どうぞ」
「やっと、僕の番が来たぞ♪」
「お待たせしました♪」
「僕はね、夏美の夢の話が聞きたいんだ。シンプルに楽しみだからなのと、それから...。夏美が、怖い夢を見ていないか、心配なんだ。夜中に宝珠に起こされてしまった時に、まず夏美を思い出したんだよ」
「心配をかけてごめんなさい。ライさんには感謝しているんです。お守りもたくさんくれているから。だから大丈夫だと思って、私は毎晩グーグー寝てると思うんですけれども。
あ、そうだ。ライさん、ヨーロッパから来た人ですよね?
この間は、ヨーロッパ風の夢を見ちゃいました、ちょっと怖かったです」
「どんなの?」
「ええと、鎧とかに十字架マークのある騎士とか戦士とかって、やっぱり...?」
「十字軍、かな?」
「ですよね!歴史の授業で聞いたことがあるんです。
その十字軍って、キリスト教徒でしたよね、聖地奪還みたいな」
「うん」
「ちょっと変なことを聞きますが、異教徒とではなく、同じキリスト教を信じている人たちと、十字軍が戦っていたっていう記録はあるんですか?」
「うん、あるよ。詳しくは知らないけどね。
偉い教皇さまが、エルサレムの聖地を奪還してくるようにと言って送り出した軍が、異教徒と戦う前に、ちょっと道草をして同じキリスト教を信じている街になだれこんで、略奪したり、殺したりという記録は、幾つかあるはずだよ」
「そんな、なぜなんですか?最初の目的から外れているし。同じ宗教を信じているんでしょう?仲間をやっつけているみたいじゃないですか」
「国が違ったり、少し人種が違ったり。
まぁ、一番は、富の豊かさを追求したかったんじゃないかな?
戦争の原因は、経済だよ。貿易して、行き来が盛んになって、お互いに文明が進化したりしていくんだけど、そのうち、思い始める。相手は、自分よりも得をしているんじゃないかって。
自分の損は相手の得で、相手の損は自分の得だ。情報も伝わってくる。国民も気がついてくる。こっちは青息吐息なのに、相手はにこにこ富を享受している、そう考えたら、悔しいよね?
事実かどうかというよりも、自分が惨めだと思ったら、それが自分にとっての事実なんだ、検証するなんてしない、もう我慢できなくなってくる。そこを武器商人が煽る。
戦争は、意外と儲かるんだ。そして自分の国が勝って経済が豊かになると、民衆が喜ぶだろう?
国も力がついてレベルアップする。惨めな国から搾取して無双することができる。相手の損や、戦死者なんかに、わざわざ思いを馳せたりしない。良い面だけ見たい、知りたい国民に、良いことだけを伝えていれば、自国の景気はさらに良くなる。
あっちは青息吐息、安い労働力で働かせておいて、こちらは、なるべく苦労せずに安楽な生活を得られるとしたら?我慢なんてしていないだろう?
自分たちの得をもたらす為政者を、国民がほめたたえる、だから、正義なんてどうでもいい、ますますその政権はその方策を進めるんだ。
十字軍遠征は、費用がかかるんだ。最後の方は、武器商人とかにスポンサーになってもらっていたようだよ?
武器も売れて商人は儲かる、国も富んで、戦争に勝てば国土も広がる。
ああ、そうだね、今も一緒だよ」
「ひどい...話だわ、今もなんて」
「だって本当の話なんだよ。大きな国の、大きな軍需産業は、今も儲かっているはずだよ。
例えば、日本と日本のそばの国が仲が悪い時には、その大きな国がどっちにも親切にするんだよ。
日本と、そのどこかの国の両者が競うようにその大国から兵器を買いまくる、だから、どっちにもセールスに行って、親切な良い笑顔でこう言うんだ。
『お買い上げありがとうございます。お隣の国は、これを100機導入なさいますよ』
『良いことを教えてくれた。じゃ、うちは150機お願いします』
国策だよ。その軍需産業がその大国で、たくさん税金を納めてくれるから、大国の為政者もセールスに精を出しているし、煽るような発言をするんだね。
儲かる国と、兵器を買って安心感を得られる国2つ。まさに美しいwin winの関係だよ。
こんなことを言ったからって、僕に文句を言わないでよ」
「ううん、文句なんてライさんに言ってない。私の納めたちっぽけな税金が、その兵器の一部なのかもしれないと思うと、腹が立つけど」
「ああ、ごめん、脱線させてしまった。お願いだから、夢の話の続きをしてよ」
「あのね、蛇がね、サラダボウルみたいな、たらいみたいな鼎を支えていたんですけど、ボキッと蛇の首を折られたので、柱みたいに残っている...」
言うそばから、クイズに答えようとして、張り切って手を挙げてくれる。こういうところ、本当にクイズ好きの子供みたい。
「はい、はーい!、僕、それ、知っている。本の写真で見たもの。
《蛇の柱》ってやつだよね。イスタンブール、昔、コンスタンティノープルと呼ばれた都市にあるやつだ。真っすぐに立っている柱、蛇の頭頂部が落とされて、本来は、金の玉かたらいか何かが上にあったはず。もっと言っていい?」
「はい、すごい、ライさん。百科事典を暗記してるの?」
「ううん、そこまでじゃないけど。ちょうどつい最近、調べて復習していたんだ。デルポイの神殿のことを」
何かその言葉に閃いた。
「デルポイ...?神殿の?...女神さまと、アポロンさまがいた?」
と、うわごとのように思いつくまま、脳裏に浮かんでくる言葉を素直に夏美は言った。
ラインハルトが、瞳を輝かせている。
「そう、アポロン神殿だよ。ギリシャのデルポイの...。ねぇ、君は女神さまに...会えたかい?」
「うーん、夢で女神さまが、あ、あれ?...
でも十字軍の時には、もう女神さまはいないの。いなかった...。
不思議。十字軍がいたあそこは、ギリシャだったの?」
「違う。コンスタンティノープルは、東ローマ帝国の首都だ。ま、彫像の方は、元はといえば、ギリシャのデルポイのアポロン神殿にあったものだけど。
だから、ちょっと混乱しちゃうよね?
デルポイ神殿から奪われて、コンスタンティノープルに持っていかれて飾られていたんだ。
そこへ4回目だったかな、その十字軍が、聖地エルサレムに向かうことなく、コンスタンティノープルを攻めて陥落させた。その記念に、価値のある宝は、スポンサーのヴェネツィアか神聖ローマ帝国に持って帰るか、破壊したらしい」
「なぜ?そんな」
「だって、東ローマ帝国が貿易でも栄えていたからじゃない?それに宝を持っていたら一度国か本拠地に運んで置いてきた方が、何の憂いもなく戦いやすいし。ま、途中で換金してしまったのもあるだろうな。
それに、コンスタンティノープルが不穏なら、ヴェネツィアでの貿易が盛んになるだろう?最初の大義名分がおろそかになっていても、景気が良ければ、そんなこと問題視しなかったらしい」
「どうして・・・親和性は最後まで感じないの?」
「僕がちらっと見たところだと、《神聖ローマ帝国の教皇様は、東ローマ帝国のキリスト教を自分たちと同じキリスト教と認めてなかった》って書いてあったよ。夏美はどこに親和性を感じたの?」
「あ、変ね、つい親和性って言ってしまった。
私も、正直感じなかった。夢の中でも十字軍なんて、昔の外国の話だったし。私はね、もっとひどい人間かもしれない。
夢の中でね、そこにいた人たちより、蛇の彫像が破壊されていくのを一番に悲しんでいたの」
「そういう感覚も、あっていいんじゃない?」
「生きている人よりも、動かない彫像を尊重しているなんて。でもね、私だってそんなにひどい性格じゃないはず、もしも元々、その時代に暮らしていれば、本当はそこにいる誰にも死んでほしく・・・」
言いかけて、背中がぞくっとした。
「夏美?」
「...ごめんなさい、すごく嫌なことを思い出してしまった・・・。どうしてだろう、今まで忘れていたわ・・・。そうよ、死体がたくさんあったような・・・それも騎士や兵士じゃなくって。
夢の中での私は、みんなが歩きやすいように、聖職者や、普通の服を着ている人まで...そんな死体をどかしていた...。」
と言うだけでも、持って運んだ重さをまざまざと思い出せそうな気がした。
「夏美、それはね、歴史的事実だけど、とても気味が悪いだろう?
なんで夢で、そんな光景まで出てきちゃったのかな、サクッと忘れようか」
「...」
何か言いたいけれど、言葉が出てこない。...忘れる?...無かったことに?
でも、あれは、本当のことなのに...?
ラインハルトが、そんな夏美をじれたようにたしなめる。
「あのさ、そんな嫌な感じのことなんて、君に関係ないだろう?
昔の歴史上の悪夢みたいな出来事まで『忘れたくない』とか、まさか君、思っているの?
どうにもならないじゃないか。悲しくて怖い夢なんて、捨ててしまいなよ」
「そうなんだけど...『忘れていいのかな?』って思ったんです。誰かが何かを伝えようとしている気がしてならないんです」
「えぇ?そうなの?」
「はい、だって。お姫様を助けようとする夢もね、頑張ればいつか助けられるのかもしれないって思って。希望を捨てないでいたので、ずっと」
「勇者になって?」
「はい、何度も同じ夢を見ているうちに、たまに時系列が狂って、ちょっと先の場所と時間の夢にジャンプしていたりするんです。そういうこと、ないですか?
だって、今はもう、金の鼎と、蛇の頭の無い柱があるのかもしれないですけど、私、蛇の柱の上に金色の鼎が載っている状態のところに夢の中で行けたんですよ?もうちょっとそれより前に行けたら。」
「死んでいた人たちがまだ生きているところに戻って助けるってこと?
僕は、もう諦めた方がいいと思うよ?」
「ライさん...?」
「歴史的事実は、もう確定しているんだ。変わりようがないじゃないか?
夏美は、歴史を変えて回りたいって言っているみたいだよ」
「・・・」
「ごめん、キツイ言い方をしたかもしれない。とりあえず、夢の中で勇者をやったり、歴史を学んだりすることは、悪いことじゃないよ。未来を一生懸命良い方向にと願うことに役立つとは思う。
でも、ごめんね。過去の事実というものは変えられないと思う」
「魔法でも?」
「そうだね、僕が魔法使いでも、無理だと言うしかない」
「お姫様が...。もしも、ライさんの...」
「僕の...何?」
「いえ、ごめんなさい、なんでもない」
ライさんが、美津姫さまのためにどれだけ嘆いていたか知っているから、安易なことは言えない。
ライさんには、今さっきの微かな声が聞こえなかった、のね?
先日、聞こえたみたいに。
宝珠が呼びかけているみたいなのに。
貴方のそばに戻りたい...
貴方を助けたい...
そう言っているみたいなのに。
「夏美、ごめんね。気を悪くしたよね。
君が希望を持って夢で活躍する話を、叩きつぶしたりして」
「ううん、大丈夫です。ちゃんと現実世界で生きているだけの人間ってわかっていますから。
私、妄想癖がすごいから。なんだか魔法の世界で活躍しちゃいそうな...」
「夏美のエネルギーがすごいから、本当に何かしちゃいそうで、逆に心配だよ」
「大丈夫です!自制心も、めちゃくちゃ育っている気持ちがしますし、夢の中で暴れる時は、ライさんを呼び出しますから」
「本当?忘れないで、ちゃんと呼んでよ?僕の自制心も夏美に貸すから」
「貸してくれるだけの自制心、あるんですか?」
「僕に聞いてくれたら、『yes』って言うからね、ちゃんと。
でも、お願いだから、その質問を、僕の知り合いには聞かないで欲しいな(笑)」