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理解不能の、弱い蒼  作者: 倉木 碧
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145 《地に平和をもたらしめよ》 (18)

 

 ああ、年寄りの話はきりが無くて…申し訳ありません。

 あと少しで話は終わりますが、本当にお時間よろしいのですか…。


 私のほうは胸につかえていたものが無くなっていくようで、聞いていただいている分にはとてもありがたいことですが。



 それでは、私が宝物の力を再び感じた時の話を致します。

 残念ながら、それは最後の巫女姫である美津姫様の亡くなられた時のこととなります。

 ずいぶん前の話なのですが、未だに話そうとすると言葉がつかえてしまいそうになるのですが…。


 渡欧してからはしばらく、穏やかに過ごすことが出来ておりました。

 そうです、穏やかすぎるくらいで…思い返せば、期待以上の幸せな時間を過ごせたと申し上げても良いかと思います。


 あの日までは。




 ♣︎♣︎♣︎♣︎♣︎



 

 ヨーロッパの一地方とだけ申し上げておきましょう。


 ラインハルト様のご実家のお城はクラシカルな石造りの壮麗なもので、圧倒されました。

 手入れが行き届いているので古さを感じさせませんが、世界遺産に匹敵する、いや、それ以上の価値があるかと思います。古き良き時代の素晴らしい建造物でして。

 もしも多くの人が見ることのできる状態でしたら、きっと褒めそやすことでしょう。

 おとぎ話に出てくるようなお城、そして緑豊かな丘、ふもとの村、水車小屋、のどかに牛や羊が行き交う農園…。楽園のような素晴らしい光景が広がっていました。

 ただ残念ながら、普通の人が訪れることは不可能です。

 

 城を中心とした相当広い範囲に『結界』を施されているのが、ラインハルト様の故郷ですから。

 普通の空間との境目は魔法なのか錬金術なのかわかりませんが、その結界の魔法で上手に隠されているのです。


 結界の中には、人間だけではありません。すでに絶滅しているはずの動物、植物、そしていわゆる魔法生物と呼ばれるような、妖精みたいなものなども存在しているようです。

 それらが普通の世界にいると、捕獲されたり研究対象にされたりしてしまうなど騒動の元となるので、結界の中に封じられた状態で、なるべく良い状態の保存に努めているのだそうです。

 ただ、同じ結界の中で共存するのは大変らしく、近隣の森の先に、さらに二重、三重に結界をもうけて、ええ、あいまいな檻のような空間に、人間族の方が閉じ込められていたような格好に見えました。

 まぁ、夏美様も今度ご訪問されるでしょうから、ここでは端折りまして。



 美津姫様について申し上げますと。

 無事にお城に行くことさえも危ぶんでいたはずですが、意外なことに新しい生活に馴染んでいかれました。

 ひとえにラインハルト様たちのおかげなのです。

 どういった魔法なのかはわかりません。

 旅行も快適で、あっという間に到着致しましたし、お城には、外観の古めかしさと真逆で、日本の現在の大病院に匹敵するような設備がそなわっていたのです。


 結界の中に閉じこもって生活している彼らですが、上手に普通の社会とも行き来しておられますから。

 ドイツを始めとしたヨーロッパの最先端を学んでいる方々が多いのです。

 貴族集団と言うより、知識階級という説明が妥当ですかね。文化文明も現実の世界より先取りしていました。

 潤沢な資金で最新式のものを揃えて、その反面古き良きものであれば、中国の漢方薬などまで幅広く取り揃えて学ぶ方々がいるのです。功名心を持てば結界の外で、己の研究成果を発表し、それこそノーベル賞だって狙えたかもしれませんが、たぶん…その前に粛清されてしまいますでしょうね。

 ”ありえない存在でひっそりと、陰でこの地の平和を支える”理念の集団なのですから。

 

 医療面では、それこそ、あちらの鉱泉や温泉などを利用したリハビリテーションの設備もあります。

 また、昨今言われているチーム医療体制もすでにありました。

 日本と比べたら、半世紀は進んでいましたかねぇ。あらゆるプロフェッショナルがチームを組んで、また我らの姉やさん、看護婦さんなどと話し合って無理をさせないようなステッププログラムを用意周到にシミュレーションした上で決めて準備をしておられたのです。

 私どもでさえ知らないような、日本の、あるいは東洋の薬なども全部試しておられたそうで、そんな方々が真摯に美津姫様のお身体をケアしてくれていました。


 そのおかげなんでしょう、美津姫様には良い変化が見られたかと思います。

 無理のない程度の筋肉ケア、トレーニング専門のリハビリの先生がつきっきりで機能訓練を重ねると言われても最初は心配で、そばで監視するような真似をしていた私どもでした。

 が、彼らは本当に徹底して最初から最後まで面倒を見てくれていました。訓練後の心肺機能、疲れ具合などにも当然のごとく心を配っているようで、そのうち私どもの古い、凝り固まった考えでものを言うのが恥ずかしい位に思いましたよ。

 特に、美津姫様ご自身の快適度を毎回、お尋ねくださいましたから、最初は遠慮気味でした姫様も、

『今日は10回目でふくらはぎが痛くなりかけたから、この訓練はやりたくないのです』

とか具体的に意見を言うようになりました。まぁ、我慢し過ぎて足がつったこともありましたから、言わなければ伝わらないと思われたのでしょうね。


 日本では和服に畳の暮らしでしたが、ベッドや椅子のある暮らしになって、姿勢が良くなっていったように思います。

 可愛らしい洋服や家具も、彼らのサイズにこだわらず、美津姫様用に快適なサイズを追求して誂えたものばかりでした。そのうちに、スタイリストさんがスタイルブックを見せてくれて、美津姫様お好みのデザインで新しい服を作ったりされていました。

 さらにラインハルト様は宝石や貴石の工芸が趣味でしたから、その服やドレスに合わせたアクセサリーを作ってプレゼントをしてくださっていました。


 生活習慣も変化しました。

 普通のお勉強だけでなく、ダンスなどを教わったりしましてね。

 お身体が弱いので、私どもはお小さい頃から運動など無理と思われることは一切させないようにしていたのですが。

 少しづつ軽めの運動を取り入れていくうちに笑顔も出て、見違えるようでした。


 お城の庭にある湖で、ラインハルト様や弟君のハインリヒ様と泳いで遊んでみたり、ヒールの高さのある靴を履いてダンスを踊り続けるなんて、とても日本でいる時は考えられませんでした。

 まぁ、お供をして一緒に学んだ姉やさんにも聞いたのですが、ラインハルト様のリードに従えば、ただ足を交互に出して歩いているだけのような感じでいても、きれいに踊れてしまうそうで、全く疲れが残らないくらいだと言ってましたね。


 西洋は紳士教育が徹底しているせいか、レディファーストというのでしょうか、美津姫様はとても大切にされていたと思います。

 ラインハルト様は…まるで妖精の女王様に仕える騎士のようにエスコートをし、手を取り、お身体を支えておられました。もちろん、他にもやることがおありで、結構お忙しそうでしたけれどもね。

 少しはにかむようにして、ラインハルト様を見上げて微笑む姿を見ることが出来て、美津姫様には意外とこの暮らしが合っているのかもしれないと希望を持ちました。

 


 随行した者の中にかなりホームシックをこじらせた数人がいるのと逆ですね。屋敷の中で暮らしていた美津姫様と私どもは、もともと違うのです。

 私どもは人生の大半を村で過ごしてから、移り住みましたからね、やはり慣れ親しんだ日本での暮らし、ふだんのルーティンが一番楽で、快適さを感じるのです。


 ラインハルト様の目の届かない所での意地悪なんてことも、全くありませんでした。こちらと同様、見なれない人種に対して偏見があるかもしれないと予想しておったのですが、ありがたかったです。

 

 お城の庭の空いたスペースに芋や()()の苗なども植えさせてもらったりもしたのですが、水も硬度が違いましたしね、日本で食べていたそばを再現するのは難しゅうございました。

 そんな、ちょっとしたことも彼らはホスト側の責任感で改善しようとしてくれるのですが、そういう面倒をかけるのが嫌で、態度に出すまいとした者ほどつらかったみたいですよ。


 そのような日々の中、まれに美津姫様が落ち込んだりすることもありました。

 やはり、霊的なものに敏感な体質なのでしょう。

 城や中庭、池などを散策されると魔法生物や妖精の類の気配を感じるようでした。フレンドリーな雰囲気で近づいてくる、妖精などもいたようですが、良い影響ばかりではなく夢に出てうなされることもあったようです。

 人間も異文化、異物はなじみにくいと感じることもあるじゃないですか、それと似ているかもしれませんねぇ。

 そのような時は、お部屋にこもって泣いておられたりしました。

 ですが、日本にいた時より少しお気持ちが強くなったのか祈りを捧げたりまじないをなさって自分で気持ちを引き立てておられることも増えました。

 賢くても幼い姫様から、背丈だけでなく、さらに見違えるような成長を遂げておられたのです。

 それでつい、私どもも美津姫様の自立のお気持ちが強くなったと安心しきっていたのです。

 ですが後に、隠れてご無理をなさっていたことを知ることになりました。

 そう、ご自身の本心を隠すことも上手になさっていたのかと思います。


 湖は、もはや無くなっておりますし、日本から遠く離れて巫女姫のおつとめもなさらないで良いはずなのですが、朝晩、東洋の方角に向かって祈っておられたことは、姉やさんから聞きました。


 また…たぶんご自分のお部屋で一人、月に一度祈りや占いなどの儀式をなさっていたのではないかと思います。

 ご自身のことのみならず、愛する人のため、そしてその人の願いである、世界の安寧を祈ったり占ったりすることは、実は魂を削っているのです。神ならぬ身なのですから、削った魂や、欠落した部分を自分で回復させたり補完したりすることはかないません。普通は、神様におすがりし、お願いすることもあるのですが、ご自身の幸せや命さえも捧げるような祈りの気持ちでおられたようです。


 私は考えたりすることを放棄しておりましたが、美津姫様はたぶんご自身を戒めること、反省と共に祈ることを欠かさなかったのでしょう。

 私どもは、ご自身の今後のお幸せだけを考えていただきたいと思い、とにかく余計なことを美津姫様のお耳に入れないように注意をしていても、必ず見透かされてしまうのです。

 随行の者がホームシックになったことも伏せておりましたが、お耳に入りまして…ずいぶん気に病んでおられました。



 ラインハルト様は、最初から私ども随行員メンバーのためにも色々と工夫してくれていました。

 メンバーが集会室と呼んでいた部屋を改装して和室にしてくださったのです。個々人の部屋にも畳の貼った長椅子(ベンチ)などがあったりしましたけれども。

 日本の古武道にも関心を寄せておられて道場を作ってくださったついで、畳が余っちゃったんだよという説明でしたが、お心遣いだったのだと思います。


 また、その集会室の奥には木造の収納庫を特別に設けてくださいました。

 そこはまさに、日本で《鏡》を保管していた倉庫にそっくりにしてありました。

 そして、その倉庫の一番奥の棚は、龍ヶ崎神社のそばの木材を取り寄せて作られていました。

 そこに、宮司様からラインハルト様にお預けしてあったはずの《鏡》の木箱も同じような状態で保管されてありました。


 驚く私に、

「美津姫には内緒で、ここに保管しておくから…取り計らいをよろしく頼む。

 なるべく、以前と同じように丁寧に扱っておくれ。

 やはりね、お気の毒だし、泣かれたりすると心が痛むけれども、こればかりは宮司様に注意されたことだから、あまり近づけないようにしたいのだけれど。

 いざという時は、やはり昔と似たような快適な状態を目指したいし。

 遠めに捧げてご覧に入れる、しか方法が無さそうでね。

 美津姫を僕の部屋に通すこともあるんだけれど、どこに《鏡》を保管しているのか、探しているんだよ。先日は…

『意地悪しないで、私に《鏡》を見せて』と泣かれてしまって…」

と、ラインハルト様は言ってました。


 頻度が落ちていましたが、美津姫様は落ち込むとやはり《鏡》を恋しく思われるようでした。

 普段は大人しい美津姫様ですが、執着心に火がつくとなかなか難しい所がありまして。


「君たちが美津姫に陥落しそうだと言っていたこと、良くわかるようになったよ。

 美津姫のためなら、僕も何でもしてあげたいけど、そういうわけにもいかない。

 だから、ここに保管しておくことにした。今まで通りと思って共に管理して欲しい。

 ただ、普段は知らぬ振りをしておいて?

 今まで通り、僕が保管しているということにしておいてね」


 有難い、と思いました。

 ラインハルト様がご不在の時に有事があれば、私どもで対処出来るように融通をきかせてくださったのです。祠に納められなくて残念に思っていたのですが、巫女姫様のおいでになる所、そして私どもがお仕えしている所に以前のように宝物がある、という安心感は格別でした。

 かわいそうに、ラインハルト様は意地悪となじられようが、恨まれようが…頑固な振りをしてくれていました。


 そうして日々が過ぎていき、お二人が望んでおられたはずのご婚約がととのった頃に、一番厄介な問題が発生しました。



 黒竜です。

 あの地方の昔からのおとぎ話の中でも何度か登場し、恐れられている生き物です。

 大変やっかいで、昔から人間に害をなす生き物の中で最も大きいものでしょう。

 英雄が討伐するなどして、滅び去ったことにはなっています。いや、今ではただの幻想かおとぎ話の中のフィクションと思われています。


 ただ、結界の中ではきちんと存在しておりました。

 たぶん、もちろん今でも存在しておるかと思いますよ。

 厄介この上ない生き物ですのに。種の保存を優先しているとかで。


 あの一族には驚かされますよ。

 ご先祖様より伝わる戒めで決められていることを、今でも忠実に大真面目に守っているのです。

 普通の社会では、人間重視、効率重視ですが。

 神様がすべての生き物をこの地上にお作りになったのですから、自分たちを脅かす存在さえ保っていこうということです。


 それでも、やはりそのような生き物と共に生きて行こうというのは難しいものですね。

 言葉が通じ合っているはずの人間でさえ、共存共栄は難題ですのに、言葉が通じない生き物相手ですから。

 美津姫様がお城に滞在するようになって以来、黒竜の被害を聞くことが増えたそうです。

 もしかしたら、日本古来の龍神様の気配みたいなものが彼らを刺激したのでは?と美津姫様はかなり気にされたご様子でした。私どもも、そう思いました。ですがそういうことも、それまでの前例が無いようですので、確かなことはわかりません。


 ラインハルト様は、そんなことは気にしない方がいいとおっしゃいました。

 誰が大げさに伝えたのかは知らないが、黒竜が暴れるのはこれまでも多くあったことだ、と一笑に付したのです。

 共存策としての保護が上手くいき過ぎて、逆に数が増えたのかもしれないから、と。

 黒竜の群れも増えたり分裂したりすれば、新しい縄張りが必要なのだということでした。


 城の近郊には、一族と共に生きてきた者たちの暮らす村がいくつか存在し、その村なども壁や結界などできちんと守られてはいるのだよ、でもね…それを乗り越えて黒竜が押し寄せてくることも過去に数回あって、もちろんその都度きちんと対処しているのだと言われたのですが…。


 でも、竜ですよ?しかも肉食らしいんです。

 家畜や馬だって食われることはある、と説明されましたから。大変じゃないですか。

 まるで猪や熊と同程度に考えているみたいですが、サイズは桁違いですから。

 私どもは、かなり不安になりました。


 もちろん私どもは龍神様にお仕えしてきた身でして、何も黒竜を滅ぼしてほしいと思ったわけではないのです。

 むしろ不安があると告げた私に、すぐに『竜殺し』の制度や武器というものについて、ラインハルト様から真顔で説明を受けた時には、嫌な気持ちがしました。

 退治するとか討伐するとかいう話は、落ち着かないものですから。


 そんな、私のなんだかどっちつかずの曖昧さがたぶん伝わらなかったようでしたね。

 私の表情をいぶかしげに見ておられましたよ。

 端的に言えば…どうしたいのかはっきり決めて言ってほしいと思っておられるような。


 そういう小さな感覚の違いは、あらゆるところで出ていました…。

 お互いにそうだったんじゃないですかね?

 伝わらない、理解してもらえない、逆に言えば…説明が足りない、わからない、理解できないから共感できない、などなど。

 まれに話が空中分解するような虚しさを感じることもありました。 


「申し訳ありません、とりあえずお任せします。

 …皆様の方針に異議を唱えているわけではないのです。

 私どもには、黒竜についての知識がありませんので、」

みたいなことを…さらに曖昧に、もごもごと申した記憶がありますよ。

 


 ある日、少し離れた村の牛舎が襲われたという知らせがもたらされました。

 それと同時に他の駐留施設より、大きな群れが大移動を始めたようだという情報も届きました。

 大移動しつつ、暴れているとのことでした。個体数が多いので手に負えず、報告だけ伝えてきたのです。縄張り争いなのか、同士討ちのようになって、地響きで近隣の村の結界の一部が破損、入り込んだ竜に、家畜は可哀想に食い荒らされたとか。

 村人たちは、無事でした。

 家畜をあきらめて素早く逃げたおかげで助かったとか。


 一気に緊張感が増したのです。

 個体数が増えたら、エサが乏しくなるのも道理、また野生のけものよりも肥え太らせた家畜の方が美味しいと覚えれば、本格的に村に突進してくるのは間違いないと、事態はにわかに悪化したのです。


 ただ、非常にタイミングが悪い時期でした。

 ドラゴンキラーの第一人者であると称された、お父上様と、それから騎士団筆頭に匹敵すると言われる弟君のハインリヒ様もちょうど低温冬眠(コールドスリープ)装置で休みに入った時だったのです。

 本来ならお二人のお休みは重なることは避けるでしょうに、美津姫様とラインハルト様がご婚約するとのことで、確かその披露パーティのための調整でした。他にもお休みの方が多くおられました。 



 万一の場合に指揮を担うのは、ラインハルト様しか考えられません。

 もちろん騎士などの訓練は一通り受けられておられましたし。私はよくわかりませんが、武闘派の同僚が褒めてましたから相当お強いのでしょう。


 ですが、本来は魔法を使われる方です。

 魔法や術をこなすのが得意で素晴らしいのですが、物理的な攻撃をするタイプではありません。どうしても筋力、膂力(りょりょく)ではお父上、弟君のお二人に劣後なさるようにお見受けしました。

 実際、緊急に行われた元老院会議でも、問題視されました。

 もう少し粘って持ちこたえつつ、人間や家畜の避難を優先して、お父上様のお目覚めを待つ方がいいという話に傾きつつあったくらいですから。

 ラインハルト様は、自分が出ると強く主張しておられたそうですが、

『確か予定では3日後に国王陛下は復帰なさる。それだから、少なくともそこに2日ほど足せば良いじゃないか』という意見をヴィルヘルム様もご支持になり、適任であるお父上様を待つべきだとの決定が下されたのです。

 

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