104 《万物を愛し》 (8)
…?
どこだ、ここ?
光が走ってくる。
自分に向かって、索敵の光が走ってきている。
そうだ、狩られかけている野ウサギのごとく、僕は逃げているんだ。
身軽ということだけが、子供の特権かもしれない。だが、自分が望むほどには進めていない。
大人と追いかけっこして勝てることってあったっけ?距離がどんどん縮まってくるんだ。
馬を奪い返すことはまだ出来ていない。馬にさえ乗れれば、狩られかけている野ウサギの気分から逃れられそうに思うけれど。
丈の高い草が姿を隠してくれているように自分は思っているみたいだが、たぶんシールドにはなっていないだろう。
魔法に頼り過ぎてはダメだ、と教わってはいた。魔力も乏しいし…でも、我慢できないよ。
頭の中で選び始めている自分。
状況確認! 有効かどうか見極めろ!
自分の中で自分に命じる。
守ってくれる大人は、もはやいないに等しい。(叔父様は、逃げてくれただろうか?)
そして、自分のより先に。三方向から。
真っすぐに焦点である僕へと狙いを定めて発動された魔法。
囲まれている?もう遅い?
ああ、ちょっと待って。
待って欲しい。
さっき言われたことを、今考えたかったのに、、。
僕が誰かを、変質させるとか、そういう話だった...。
僕は、それをきちんと聞きたい、そう思っていたのに。今まで聞いた話と違う。
僕は今後様々な生き物と出会い、仲良くしてもらう役目なのだから。
普通に、親切に教えてくれればいいのに。なぜ僕を。
ジグザグに方向転換してよけることが出来た。一つ目はただ試しただけ…?
だが、次は違うみたいだ。
有無を言わさず自分の命を狙っている、そんな怖ろしい殺意、それを感じる。
生け捕りにしようとは思っているものの、逃すくらいならいっそ殺してしまえという意思がのった魔法がすぐに発動された気がするから。
僕を捕まえたいんじゃなかったの?
僕はもう…要らないの?
身体が震え、心が震え、僕は怯えている自分が何だか本当に野ウサギのように思える。
だけど、それよりも。
今度の魔法の美しい煌めきに、つい見とれる。本気なんだ。そして僕のより相当上だ。
魔力の量?それとも、質の違い?
僕の魔法との差はなんだ?
馬鹿だな、僕は。また、怒られちゃう。見とれている場合じゃないよね。
光が放たれてから、1秒も経っていないのだが。
「ツッ...」
すんでのところで、本能の動きが自分を引きずってくれた。
瞬時に体重をかけた足でターンし、ジャンプし、かろうじてよけたのだ。それでも、踏み切り足をかすめてきた。バカほど温めておいた紅茶のポットをうっかり触った時みたいな熱さ、…ん?
いや、大して痛んでいないぞ、治癒魔法?
ああ、フィリップに仕込んでもらっておいて良かったな、僕は微笑もうとする。だが、草むらから飛び出た僕は、思いっきり目視できる的じゃないか。
そこを考えないか、バカ!
あれ? 目の前が?
…?
「ちぇっ、なんだ…夢か。あやうくやられるところじゃないか」
ラインハルトはむくっと頭を起こし、顔をこすった。メモ紙が頬に張り付いている。
どうやら机に突っ伏したまま仮眠していたらしい。居室にマルセルが入ってきた気配で目が覚めたのかもしれない。
「お待たせしてしまいましたね、ただいま、戻りました。」
「…うん、お疲れ様。夏美を送ってくれてありがとう」
「マス…、いえ、ラインハルト様こそお疲れ様でした。
こちらでは何も起こりませず、真凛と共に終始なごやかな楽しいひと時でしたよ」
「それは良かった。
事態がある程度落ち着いたと思ったら、うたた寝しちゃったよ。
僕は、疲れてないよ。何も大したことはしていない。
ここからだと…何もしてあげられないね、」
ラインハルトは、デスク横のPCを覗き込む。
「なんだ、寝ている間に、もっと情報が来るのかと思ったのに。何も来ていないな。『その後、異常なし』ばかりだ」
「何よりでございます」
「詳細は、聞いた?」
「いえ、まだ。その後の全ては把握しておりません。お召しだと聞いていたので、メフィストにも会わずにまっすぐにこちらへ参上しましたから」
「とりあえず、安心して。あと、メフィストは疲れたみたいだから、休ませた」
「部屋に押し込めたのですか?」
「まぁね、それもあるけど、本当に疲れていたんだからね。
それに、メフィだって納得してるんだ。日本から何か出来るわけじゃないけれども、いつも真っ先に疑われるからね。
あと僕が余計なごり押しをしたから、この後もめるかもしれないし。早めに休ませておけば痛くもない腹をさぐられないだろうし。
途中までは、連絡を手伝ってもらって、とても役に立ってたんだけど。あと少し…めそめそするからさ」
「ははあ…。
やはり、ヴィルヘルム様専用のものを外して使うように決めたのですね?」
「ああ、だって緊急事態なんだよ。最終的には、父上の賛同だけは得たんだけど。
現に使用中の薬とチューブケーブルを少しハインリヒに回すくらいじゃ、お祖父様は身体に異常なんて出ないさ。
僕とお祖父様だけは、特別にいつも多めにしていただいているわけだから、計算上大丈夫なんだよ」
「はぁ、まぁ、それでもぎりぎりの線ではないですか。
万一の場合は大ごとになるので、誰もしたがらなかったのでしょうけれど」
ラインハルトは、薄く笑った。
「ああ。そうだよね。言い出した僕ですら、まだちょっと心配はしている。
まぁ、担当者達は今、もの凄いプレッシャーの下にある。
ただでさえ、ハインリヒの装置でシビアな事故が起こった上に、僕がイレギュラーな挽回策を言い出したからね。
万一の場合は、僕が目の上のたん瘤を排除したみたいに、じじいばかりの元老院がうるさく騒ぎ立てるだろうけど。あと、僕がそれを提案したらメフィがね、めそめそ反対するのがうるさいんだ。キャラ変しすぎ。本当に悪魔の風上にも置けないから困るよ(笑)」
「まぁ、緊急事態では、そのようなごり押しも必要です。ただ、ヴィルヘルム様のお身体に差しさわりはないんでしょうね」
「うん、経過観察はしていただいている。今のところ大丈夫そうだね。お祖父様の方の装置には異常が出ている連絡は来ていないし、とりあえず、すやすやお休み中だそうだ。もうあと少しで代替のチューブを設置できるらしい。全部点検させたから、少し時間がかかったけれどね。
とにかく、無事にお目覚めになってもし怒り始めたら、『ラインハルトが勝手に決めました』と言っておけってゴリ押した。
このまま異常が出なければ大丈夫だし。今のところは申し訳ないけど、順調に動いている物をハインリヒ優先にしておいてもらわないと、」
と一度言葉を切って、ラインハルトはため息をついた。
「まぁ、とにかく安心して。
結論として、ハインリヒは命に別状はない。ただ、…まだ予断を許さない状況だ。
足を手術するかもしれないらしい。万一、機能回復しなければ、と医者が言っているんでね。
それが最善の方法だと言うのなら仕方ないよね。可哀想だけど。
もしも、足だけで済めば…」
つとめて明るく表現しているが、顔の表情は固い。
「…そうですか。やはり大変な事故だったのですね。エリザベス様はなんと?」
「それがまぁ、折あしくイギリスの城でベスも棺桶の中だったんだ。『起こすべきではない』と僕は制止したけど、今頃起こされているかもしれないな。
チューブの件は絶対に譲歩しないと主張した手前、ベスのことまでは強く言えなかった」
「ははぁ、まあ、そうですね。
仲良しのハインリヒ様の危機を知らせないというのも難しいですからね」
「ああ、実際に父上はね、すぐに知らせてあげたいと言っていたからさ。
だけどさ、ベスの身体にまで負担をかけてはいけないだろう?
僕はシンプルにそう思った。メンテナンスは大切だし、途中でいきなり起こすというのもね。
ベスは快適に眠っているわけだし、邪魔しちゃいけないと思うんだよ。
ただでさえいつも、ベスに頼り過ぎなんだよ。」
「では、どなたが機械の操作の指揮を担当したんですか?」
「…僕はあまり詳しくないからね。アレコレうるさく注文をつけただけ、ほぼリチャードに遠隔操作してもらった。
あとは、父上だね。父上も僕の気持ちを汲んで指示なさってくれている。
もともとパーティにはおふたり共来られないし、メンテナンスの予定は入れずに起きていてくださっていたから。幸いなことに」
「リチャード様というのは、もしかして、あの、エリザベス様のお兄様ですか?
珍しい方のお名前をここで聞くとは思いませんでした」
「うん、そうだろうけど。
リチャードは、めったに他人の前に出てはこないが、というか、自室の外にあまりお出ましにならないらしいけれど、機械などに関して言えば、ベス以上にエキスパートなんだよ?
最近は、ネットや電波を介して研究所の仕事にも遠隔操作で参加しているようだし。
不思議なもんだね、僕は側に行かないとなにもできない気がするんだけど。リチャードにとっては、普段から遠隔操作ばかりなので、何も変わりがないんだってさ。
だから頼もしかったよ、平常心だし。てきぱきとアドバイスもくれて。
あと彼と僕は、筋肉質じゃない人間の方が事故が起きにくいんじゃないかという共通認識を持っていたから、話が早かった。
これは、勝手な話じゃなくて、以前お祖父様も認めていたんだからね。
僕やお祖父様のような弱そうな身体の方が、あの、低温冬眠装置と相性が良いみたいだという話をしていたんだよ。
結局、あの装置は術師系の大大祖父様の身体に合わせて考案されていたものだからね。僕は筋肉量か何かが関わっていると思っているけれど、残念ながら機械オンチだから、検証は出来ていない。でもさ、『筋肉質の父上やハインリヒの方にもっと心を配るべきなんだよ』って言ったら、リチャードもずっとそれを調べたかった課題だと言ってくれたんだ。
とにかく、指示系統・指揮系統を統一することに父上も賛同してくれたから話が早かったよ。
元老院にはいちいちお伺いを立てないでいいようにと、事後承認を得られるように最善の注意を払って作戦遂行と決定して、リチャードと僕に任せてくださったんだ。
あと、マルセルも何か思いついたら助言して欲しいな。今は、他に異常が発生していないか片っ端から細かくチェックしてもらっている。そちらの担当は、研究所にいるマルコのチームでね。
それから、かわいそうだが、ハインリヒのメンテナンス担当者は現在、いつものように仕事をしているわけじゃなくて、ほぼ監視の下にある」
「…仕方ないことですね。状況がある程度確定されれば、ご裁定ですか」
「まぁね、ご裁定は父と元老院の権限になる。
ハインリヒの事故時のことだけではないよ。リチャードと僕も当然、ご裁定というか、検証を受けると誓った。自分たちの行いが行き過ぎていなかったかを、きちんと立証できるくらいにしないといけないから責任重大だ。だから、メンテナンス技師の方だけではなくて、ってことなんだけれど。
だが、彼らの方が立証責任はシビアだ。一応事故ということにはなっているけれども、立場は悪い。
事件性が確実に否定されるまでは、ね。
…マルセルはどう思う?
ただの事故だろうか?
もしかしたら、何か…ベスが言っていたように何か悪いことが?」
「かつての反対派が、暗躍していたりする可能性ということですか?」
「うん、さっき夢でうなされちゃったよ」
「…ああ、そうでしたか。
可能性は否定できませんし、まぁ、考慮すべきですよね。
以前大きくご一族が分裂なさった時も、ヴィルヘルム様は反対派を追撃したり、根絶やしにするということはなさっておられません。反対派も確かに存在しているでしょうね。これまでは平穏でしたが…、彼らがその後、全てを諦めているとは思いませんし。
ですが、本来はラインハルト様の承継後が最も危ないのではないでしょうか。
門外不出の杖が結界の外に持ち出されることが起こりますので」
「うん、僕もそれが一番、ありそうなことと思う。僕と杖と両方手に入れれば、あるいは壊してしまえばかなり有利だからね(笑)。僕が敵ならそうするよ。
ただ、ハインリヒだって狙われても不思議はない。さっきそう思い知らされたよ。…認めてはいけないんだろうね。僕の弱点だとは」
「ええ、いけません」
「昔の嫌な夢を見ていたんだよ。
僕がアドラー叔父を見捨てて先に逃げた時のことだよ。記憶もあいまいだというのに。
叔父様はあの時亡くなったんだ」
「そうでしたね、ただ、正確に言うならば。
あの事件の後にお亡くなりになられたんです。
アドラー様もすぐに救出されましたからね、ラインハルト様が責任を感じることはありません」
「僕は、そこのところを良く覚えていない、」
「ええ、ほぼ間一髪で。ふたり共すぐに寝かされたんですから。
そしてアドラー様は、お怪我もひどかったのですが、最終的にはそれこそ低温冬眠装置の事故でした。
お気の毒でしたが、それがきっかけでさらに整備や点検が厳重になり、そのおかげでその後重大事故は起きていなかったようです。開発も格段に進み、まぁちょこちょこと小さな事故は起こっていたと日本側の技師たちも言っておりましたが」
「うん、なんでもそうだよね。完璧とか絶対とかはありえない。
フィリップにもさっき釘を刺されたから。
『あまり神経質になるな』と」
「ええ、その通りです。まぁ、検証はしっかりとすればいいのです。
何か気になる点でも?」
「うん。いや、別に。
なにか証拠が出てくるまでは、無罪の推定をすべきだからね、と思っている。
ただ僕は、正直言うと、怒りのマグマみたいなエネルギーを無理やり抑えつけていたんだ。
成功していたかどうかわからないけれど。
つい、興奮してゴリ押ししている自分に対しても不信感を持っている。吐き気がするくらいに。
さっきの夢もね。叔父様のことを心配する以上に、僕は自分のことを気になっているせいで見ていたんだと思うよ。
僕が誰かに悪い影響を与えるとか、変質させてしまうとか、望まなくてもね。
ずっと気にかかっているから。
そんな話を正面からしてくれたのは、僕を誘拐しようとしていた反対派の人が初めてだったように記憶しているようだ。
実際、僕が母上のお身体に悪影響を与えてしまうということも自分では知らなかったんだ。マルセルに倒されるまではね」
「ええ、そうでした。そして、周囲も良くわかっていなかったんです、申し訳ないことに。事態が表面化して、対処が後手後手になったのですから。
でも、今は違います。バランスが取れていると思いますよ。あなたはご自分でコントロールが出来ているのです」
「そうかな?
謙遜しているんじゃないよ、自分を客観視してもわからないこともあるんだ」
「ええ。大丈夫です…冷静でしたよ。緊急事態ということは、夏美様にも悟られませんでしたしね」
「うん、シャンデリアが明滅していたのには気づいていたみたいだけどね」
「はい、さすがに勘の良い方でいらっしゃいます。そして、気にはなさっていたようでしたが、邪魔をしてはならないと節度を保ってくださっていたようでした。よろしゅうございましたね」
「うん…そうだね。あまり夏美に心配をかけたり、巻き込んだりはしたくないけれど。
自室に戻ってから、ハインリヒのことを聞かされた時、…。
本音を言えば、…気が狂いそうだった」
「ええ、でもすぐに抑え込んでおられましたね」
「…さすが。見ていたんだ?、なんとなく感じたけれど」
「もちろん、緊急事態ですからね。
ご立派に振る舞っておられましたよ」
「万一の場合は、迷わないでよね?」
「はい、まさか私が迷うとでも?
幸か不幸かメフィストとは違うようです」
「それを聞いたら、落ち着けるよ(笑)」
「はい、安心してください(笑)。
とりあえずラインハルト様は、自分をきちんと制御なさっています。感情が大きく揺れ動くことは悪いことではなくて、その中でも自分を保ち、制御できるかどうかですから、自信を持ってください。
とにかく、私は安心して過ごせました。
夏美様と真凛の雑談に一緒に混ぜていただいて、楽しんでおりましたから」
ラインハルトは、ようやく笑顔になった。
「いいなぁ、夏美も今日は少しイライラしていたみたいだったけど」
「それは、ラインハルト様のおかげで解消したみたいですよ?」
「そう言ってくれたけれど、まぁ、素直に受け取っておこう。
他にどんな話をしていたの?」
「ああ、ドレスの話などですかね。衣裳が出来上がってきているので、女性陣はそわそわしているようですよ。今朝は、試着をしてから来てくださったので。色違いのドレスの話とか、白鳥の湖の話とかの続きで盛り上がっていました。
そういえば、おとぎ話の王子様がお姫様を選び間違える話が多いねとか以前、お話されていたみたいでした。そこから白いドレスと黒いドレスの話になっていたような、」
「うん、脚本の段階でね。そんな案が出たんだよ。
僕は白いドレスと黒いドレスの話なんて、あまりしては欲しくない気がしたんだ。
僕だって以前は、二者択一的に善と悪がきちんと切り分けられるってことは、論理的に良い気がしていたんだけど、違ったと知ったからね。
そう、タロットカードの『女教皇』の柱みたいに両方なくてはならないんだよ、『神の試練』と『神の慈愛』両方共に。
そういえば、夏美も、正義とか正当性をどう判断するかってすごく気にしていたんだった。パーティの役柄もそんな感じだものね」
「はい、またラインハルト様は、夏美様の敵ですから(笑)」
「ああ、だけど別に僕は、悪役じゃないんだからね(笑)。
最終決戦をまくら投げ大会に変更してくれたら、今度こそ夏美にぼこぼこ投げて勝ってやる!」
「脚本の意味が、思いっきり変わりますのでやめてください。遥様のロマンティックな演出が台無しになります」
「それに、翔太たちが最後まで居残りたくなっちゃうからね。やめておくよ。子供たちは先に帰して寝かせてやらないと」
「はい、それに夏美様がまた子供たちに大人気で、取られてしまいますからね」
「うん、本当にそこが大事だよ。あ、」
PCに新しいメッセージが来た。
読み終わった2人は、がっちり握手をした。
「ミッション、完了!」
「全て、正常に戻りましたようですね。
日本でのパーティを優先させるようにとのことですから、リチャード様、ラインハルト様は、共に褒められることはあっても、呼び出しはなさそうですね」
「うん、このまま行って欲しいね。
ハインリヒのことはまだ楽観視できないけれど」
「そうですね、でもほぼ死にかけていたアルベルトを助けてくださったお医者さまたちがついていますから」
「うん、そうだね、本当にそうだ。
マルセルも疲れただろう? お休み、良い夢を」
いずれにしても、自分の手で出来ることなんて、本当に少ないのだ。
『分をわきまえよ』が骨身にしみる位、自分の器の小ささを呪いたいくらいだが、まぁ呪うのを我慢するくらいのことだけは、出来る。
そして、自己嫌悪に陥らないようにして、自分を寝かしつけてやるくらいのことだけは。