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箱入り姫は樽の中  作者: 葵・悠陽
プロローグ
1/4

箱入り姫は樽の中 民話版

新連載です。

民話版との表題の通り、世界観をちょろっと公開な感じです。

面白いかは分かりませんけどほんわかできる作品に仕上げたいなと思っています。

エイプリルフールじゃないよ!?

樽姫さ~まは樽のなか~♪

お外が怖くて樽の中~♪

わ~るい奴らに狙われて~♪

樽~の中から出られない~♪



樽姫さ~まは樽のなか~♪

お外に出るにも樽の中~♪

食事をとるのも樽のなか~♪

ねむ~る時にも樽の中~♪


(唱歌『樽姫様は樽の中』より抜粋)




          ◆


挿絵(By みてみん)


『樽の中のお姫様』

          ヒストリア・ライアーズ著


  



むかしむかしのお話しです。



エルガイア大陸東部にある小さな国ブロッサムベル王国。

魔法王国として有名なこの王国に、一人のお姫様が生まれました。


ルミナリア・エル・ブロッサムベル王女です。


末の姫として生まれた彼女は好奇心旺盛でとっても元気。

周囲からもとてもとても愛されて育ちました。


そんな姫がもうすぐ4歳になるある日の事です。

お城の御用商人が王妃様にある豪華な首飾りを売りにやってきました。


王妃様はすごく欲しいと思いましたが高くて困りました。

それでも、隣国の王妃様もそれを狙っていると聞かされて

ついついその首飾りを買うことを決めてしまいます。


その時でした。


「おかあさま、その人はうそをついています。

そのくびかざりはにせものです」


妖しく瞳を輝かせたルミナリア姫が、その商人が嘘をついていると言うのです。


御用商人は、王妃様の信頼をいいことに、偽物の首飾りを売りつけて

大儲けを企む悪人だったのです。


「ああ!なんということでしょう!」


悪い奴に騙されずに済んだ王妃様でしたが、

この話は瞬く間に世界中の悪者たちに広まってしまいます。


「ルミナリア姫は危険だ!」

「大人になって他国に嫁に行けば、その国では悪さができなくなるぞ!」


そう、悪人たちは嘘を見破ったルミナリア姫がとても恐ろしかったのです。

お姫様は第三王女だったので、他国にお嫁に行く可能性がありました。

そうなればきっとその国は姫の力を使って悪者たちを退治しようとするでしょう。

困った悪人たちは、こう考えました。


「今の内に殺してしまおう!」と。


こうして罪のないルミナリア姫を殺そうと、

たくさんの悪者たちがあの手この手で姫様を殺そうとしました。


お城に忍び込んだり、商人や侍従に化けたり、他国の使者に紛れたり、

食べ物に毒をいれたり、贈り物に罠を仕掛けたり…。


姫様を護ろうと、たくさんの騎士や侍従達が死んでいきました。

姫様の目の前でバタバタと死んでいく大切な国の人たち。


小さな姫様にはとてもとても辛い事でした。

あまりにも悲しくて、姫様はどんどん元気をなくし、

とうとうお部屋から出てこなくなってしまいました。



「おお、ルミナリアのなんと哀れな事よ!」


王様は小さな姫が心に大きな傷を負ったことを悲しみ、

如何にかできないものかと悩みました。


誰にもなんともできないまま時は過ぎます。


王妃様は自分の迂闊さが娘を追い込んでしまったと気を病み

病に倒れてしまいます。

ルミナリア姫も限られたお付きの者以外が近寄ろうものなら

気が狂ったように叫び、暴れ、泣き出してしまう程に心の傷は悪化していました。


あんなにも明るかったお城は活気を失い、ずっと暗いままです。


悩み苦しんだ王様は、神様に祈りました。


「罪もない我が娘をどうか救いたまえっ!」



そんなある日の事です。


お城の人達、姫様を愛し、案ずる者たちは揃って同じ夢を見ました。



『幼き姫を案ずる者たちよ。

汝らの祈り、叫びは確かに聞き届けた。

姫に祝福と試練を。

真に姫が勇気を抱きて救いを求める時にこそ、

正しき道は開かれよう』


それは神様のお告げでした。



朝になって人々は慌てて姫の元に集います。


するとどうしたことでしょう?


小さく愛らしい姫の姿は、何とも珍妙な樽…文字通りの、「樽」です、

に変化しているではありませんか!


樽の様なおデブちゃんになったわけではありませんよ?

本物の樽です。

しかも、何故か手足が生えていて、冠までかぶっているではありませんか。


「……!?」


目覚めた姫様は、突然たくさんの人が押しかけてきてびっくり仰天です。


ですが、同時に自分が奇妙な『樽』の中にいることに気づいてさらにびっくり。


あまりに驚きすぎて呆然としている姫様(樽)を王様が抱きしめ、

夢の中で神様が告げた事を姫に伝えると、


「……よくわからないけど、これでもう怖い人も平気なの?」


そう言って姫様は首を傾げつつも喜んだようでした。


こうして姫様はお部屋の外に出ることができるようになったのです、が。





「うぅ…、でも樽の外にはどうやったらでられるのかな?

お外怖いからまだ出られなくてもいいけど…」


そう、今度は樽の外に出られなくなってしまったのでした。


それでもいつかは出られるよね?と

少しづつ元気を取り戻していったルミナリア姫。


そんな姫様の事を、国の民たちはいつしか信愛を込めて

『樽姫』様と呼ぶようになったのでした。



話の続きは樽の中。




前作「笑顔の果てのディストピア」も興味があったら見てね?

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