表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子猫ちゃんの異世界珍道中  作者: 石の森は近所です
第1章 はじまり編
32/229

第32話、連行

どの位、時間が経ったのでしょうか。


ミカちゃんが、上半身だけ起して周囲を見回します。


「にゃ、あのおじさん達は何処にいったにゃ?」


僕は、尻尾でおじさん達だったものを指し示しました。


すると――。


「子猫ちゃん、またやっちゃったにゃ。でも人を簡単に殺したらダメにゃ」


僕は、反論します。


「みゃぁ~みゃぁ~!」


僕がおじさん達を殺さなかったら、今頃、ミカちゃんは連れ去られていたかも知れないのですよ。


「子猫ちゃんが助けてくれたのは嬉しいにゃ。でもあのおじさん達はまだ人を殺した訳では無いにゃ。あの人達にも家族は居た筈にゃ」


確かに、盗賊達と違って、あのおじさん達は誰かを殺した訳ではありません。でも、ああしなければこれからもミカちゃんを狙って来るに違いありません。


「子猫ちゃんの気持は嬉しいにゃ。でも私は子猫ちゃんに――人殺しをさせたくないにゃ」


僕は、訳がわからなくなって来ました。


ミカちゃんは、自分の格好も気にせずに、ただジッと僕の目を見つめています。

すると、騒ぎを聞きつけた街の警備兵が3人、路地に入ってきました。


「おい、ここで何があった。あれは何だ!」


「おい、こっちに死体があるぞ、こっちにもだ――」


ミカちゃんは、壁の上でまだ尻餅を付いたままです。


僕は、警備兵のおじさん達からミカちゃんを守る様に前に出ます。


「子猫ちゃん!ダメにゃ」


知っています。この人達は、悪い人じゃない。それは僕にも分ります。


「おい!そこの猫獣人のお譲ちゃん。これは何だと聞いているのだ!」


「分りませんにゃ。私は――マタタビを嗅がされてここで……お陰でこんな格好ですにゃ」


ミカちゃんは、おどけたように自分のボロボロになったピンクの服を見せます。


「だが……人間がこんな姿になるなんて、俺も初めて見たものでな。悪いが、現場にいたお譲ちゃんをこのまま放置も出来ないんだ。大人しく警備隊の庁舎まで来てくれねぇか?」


「分りましたにゃ」


『おい、お前達は応援を呼んで来い。あと、台車もな』警備兵のおじさんは、仲間の人達にそう命令すると、ミカちゃんに近づいてきました。


「ん、猫?……この子猫はお前のペットか?」


「友達ですにゃ」


「そうか。このまま放置して糞尿を垂れ流されたら困る。一緒に連れて来い」


「分りましたにゃ」


ミカちゃん、僕、警備兵のおじさんは街を歩いて警備隊庁舎と言う所に行く事になりました。道ですれ違う街の人達は、ミカちゃんのボロボロの格好を見て、侮蔑の篭った視線を投げかけていました。さっきはあんなに可愛らしい子だと温かな視線を送っていたのに……。


警備隊庁舎にいく通り道に、冒険者ギルドはありました。ギルドの前を通り過ぎた時にそれは起きました。


「おい、警備の旦那。これはどうした事だ!」


警備兵のおじさんに声をかけたのは……いつもカウンターで僕達の相手をしてくれている強面のおじさんでした。


「あっ、ギルドマスター。実は……と言う訳なんです」


「はぁ?じゃ何か、うちの新人がその3人を殺したっていうのか!」


「いえ、まだそうとは決まってはおりません」


おじさんは、ミカちゃんと僕を、鋭い視線で見つめると警備兵のおじさんに言いました。


「わかった。取調べには俺も立ち会うぞ!」



お読みくださり、有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ