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子猫ちゃんの異世界珍道中  作者: 石の森は近所です
第1章 はじまり編
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第18話、冒険者ぎるど

僕が心配そうに、ミカちゃんを見つめていると……。


「おい、ミカちゃん。随分顔色が優れないな。もしかして馬車に酔っちまったのか?」


「そうなんですにゃ。乗りなれていないから仕方ないにゃ」


「そっか。少し休むか?」


「平気ですにゃ。街までどの位ですかにゃ?」


「ん~ここからだと半日はかかるぞ!」


「その位なら我慢出来るにゃ。このままお願いしますにゃ」


「そうか?出来るだけ揺らさない様に行くからな。ちょっとだけ我慢してな」


このおじさん、僕の名前を間違えるけど、やっぱり優しい人ですね!


ミカちゃんが震えているのは、村のお姉さん達が処刑されたから?


だよね……。


でも折角助けたのに……。


ミカちゃんは、僕が必ず守るから大丈夫ですよ。


僕はミカちゃんの頬をペロッと舐めた。


すると、ミカちゃんも僕の考えが分った様で……。


僕を抱え上げて、頬ずりしてくれました。


おじさんは、ミカちゃんの気分が優れないから結局、会話を打ち切って……。


半日、ただ黙々と手綱を引いていました。


街が見えてきた辺りで、僕とミカちゃんは、おじさんにお礼を言って馬車を降りました。

何でも、行商人の場合は物品税と人頭税と言うのが別々にかかるらしく、ミカちゃんは行商人扱いじゃなく――旅人、もしくは冒険者扱いの方が入門料は安いから、別々に入った方がいいとおじさんが提案してくれたので、それに従いました。


門では商人さんの列、旅人、冒険者の列、貴族の入り口と3つに分かれていて当然、僕達は旅人の列に並びます。


商人さんの列は、荷物の検査が細かく行われている為に、進みが遅いのだそうです。

僕とミカちゃんの番になりました。


「お譲ちゃん、この街の子かい?」


「いいえ、遠くから旅をしてきましたにゃ」


「そうか~じゃ入門料は銀貨1枚なんだが……持っているかい?」


「…………持ってませんにゃ」


「じゃ~街には入れないぞ。ただ、どうしても入りたいなら――冒険者登録をこの街で行って5日の間に稼いで支払うならこのタグを首に付けて通っていいぞ。ただし、5日経っても支払いが無ければ奴隷落ちになるから気をつけないといけないが……。で?どうする?」


「分りましたにゃ。でも10歳でも冒険者の登録は可能ですかにゃ?」


「あちゃ~10歳かぁ。冒険者の登録は12歳からだから――登録時に年齢を誤魔化せ!そうすれば問題は無い」


「年齢を誤魔化しても平気かにゃ?」


「実際は、年齢うんぬんと言うより、一応の目安が12歳って事だけなんで平気だと思うぞ」


「分りましたにゃ。冒険者になりますにゃ」


「じゃ、ちょっとだけ窮屈だが、これを首に巻かせてもらうぞ。銀貨1枚持ってきた段階で鍵は外すから心配はしなくていいからな」


「はいですにゃ」


「それと。その猫はお譲ちゃんのペットかい?」


「友達ですにゃ」


「そか――ペットに入門料は無いが、街中で糞とかしない様に飼い主が気を配ってくれ。街中で糞をしていたら罰金だからな」


「分りましたにゃ」


そう言って、首に鎖を巻いたミカちゃんと僕は、街の中へと入る事が出来たのでした。

「じゃ、子猫ちゃん。これから冒険者の登録にいきますにゃ!」


「みゃぁ~!」


沢山稼いで、早くその重そうな首輪を外さないといけませんね!


門番の人に聞いた建物を探して、少し歩きました。


この街は、お婆さんの町よりも田舎です。


だって……高い建物が奥の方に1件しか無いんですから。


大きな看板のお店?の隣が冒険者ギルドの建物です。


お婆さんの家にあった、物置小屋の様な扉を開けて中に入ります。


「いらっしゃいませ!ようこそ冒険者ギルドへ」


カウンターに座っていた、若い女性から明るい声で挨拶されました。


ミカちゃんが、そのお姉さんの目の前に行くと――。


「今日は依頼ですか?それとも登録ですか?」


「えっと……登録と直ぐにでも仕事がしたいにゃ!」


「はい。では簡単に冒険者についての説明をさせて頂きます。まず、冒険者はランクFからEDCBASと順番に強さによって上がって行きます。ただしCからSまではランクが上がるごとに昇格試験があります。F、E、Dは依頼をこなされた数で昇格します。最初は皆Fから始まります。ここまでは宜しいですか?」


「はい、わかりますにゃ」


「では続けますね。依頼は入り口扉を入って左側のボードにFからDまでの依頼が貼ってあります。逆に扉を入って右側のボードはCからAランクの依頼が貼ってあります。尚、Sランクはギルド長から直接話を聞いて頂く形になっております。依頼を受けたい場合は、ボードから剥がしてこちらの窓口に、ギルドカードと一緒にお出し頂き――受付の方で、その冒険者様が受けても大丈夫かの判断をさせて頂きます。そうしないと無茶な依頼を受ける方がおりまして……依頼を完遂出来ずに帰らない事が多いので……ご了承下さい。また、依頼に期限があるものはその期日内にこなして初めて依頼達成となりますが、期日を過ぎると、ペナルティで成功報酬の50%を支払って頂かなくてはなりません。ここまでは分りましたか?」


「大丈夫ですにゃ」


「では、どんどん続けますね!報酬は、成功報酬と魔石や素材の買い取りなどの報酬があります。素材や魔石は商業ギルドでも買い取りを行っておりますが、そちらですと10%位安く買い取られる場合が殆どなので、出来るだけ冒険者ギルドで販売される事をお勧めします。また最悪の事態で亡くなられた場合は、当ギルドは一切の責任を負いません。各自、自己責任と成りますのでご了承下さいませ。万一、依頼内容に虚偽が有った場合は当ギルドの責任において、依頼者を罰しますので安心して依頼を受けていただく事が出来ます。また依頼達成をしていないのに達成したと言われても、ギルドプレートに討伐数等の記載が魔法により自動で上書きされますので、虚偽は不可能とお考え下さい。

他に、何かお聞きになりたい事がなければ――こちらが現在、初心者の方にご紹介出来るお仕事になります」


お姉さんは、そう言ってミカちゃんの前に、文字の書いてある紙を出してきました。


ミカちゃんは村長さんの養女だったので、文字が読めるみたいです。


でもミカちゃんの表情を見ていると……あんまりいい仕事では無さそうです。


「出来れば、スライムとか討伐系の仕事がしたいですにゃ」


「討伐系の仕事は、子供には厳しいと思うので……お勧めはしませんよ?」


お姉さんが、やんわりと断わってきていますが、ミカちゃんも引きません。


「大丈夫ですにゃ。この街に来るまでに30匹はスライムを倒していますにゃ!」

「はぁ~どうなっても知りませんからね。こちらが、スライムとゴブリンの討伐依頼書になります。両方とも最低5匹からで、スライムは魔石を5個。ゴブリンは耳を5個で依頼達成になります。どちらにされますか?」


「両方お願いしますにゃ」


「えっ?あなた――死にたいのですか?本当に私は知りませんよ?」


「大丈夫ですにゃ」


「はぁ~分りました。期日は3日後までです。ではこちらがギルドプレートになります。ゴブリンは街の正門を出て、右に行った森の中で目撃情報があります。スライムはオードレイク伯爵領へ向かう林の中です。では、御武運を――」


最後は何か投げやりな態度でしたが、無理もないのでしょう。


ミカちゃん位の、女の子は普通は雑用の依頼しかしないみたいですから。


ミカちゃんと僕は、冒険者ギルドを出て再び街の外へ出て行った。

お読み頂き有難う御座います。


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