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《95》
「勇者様の手前、今までずっとガマンしてきましたが、これ以上はもう限界です。前線に着く前に、アナタを始末してしまいましょう」
いきり立つパティに対して、アニーはへらへらした笑みを崩さない。
「あはは、ボクはピアニストさんを怒らせたつもりはないんだけどな」
「そういうところがムカつくんです!」
パティは怒鳴りながら、ローブの懐から鎖鎌を取り出した。
それを見て、アニーも笑顔でサーベルを抜く。
「いいね、その目。テンペストさんのそういう殺意がだだ漏れなところ、ボクは結構好きだよ」
「ワタクシはアナタが大嫌いです!」
「あはは、楽しいなあ」
パティを挑発しながら、アニーの目が据わる。
(まただ)
城を発つ前に見たのと同じ、何も映さない空虚な目。
彼女の目を見るたびに、俺は自分が戦ってるワケでもないのに殺されそうな気がする。
パティが良くも悪くも単純明快で裏表がないのに対して、アニーは普段のへらへらした様子とたまに垣間見える闇の部分のギャップが激しすぎる。
どっちが本当のアニーなのか。っていうより、実はどちらも偽りで、誰にも見せてない別の顔があるのかもしれない。




