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《86》
性格や立場を考えれば、あの3人が一緒に入るとは思えない。
時間の関係で俺が最初に入った際、パティは「勇者様の後にお風呂! 勇者様の入った残り湯を浴びたり飲んだりできるなんて最高です!」って頭のおかしいことを口走ってたから、おそらく3人の中では真っ先に入ったことだろう。
ちなみに俺は湯船には入ってない。
今入ってるのが誰かはわからないけど、出るまで待つしかない。どうしたものかと思った矢先、中から悲鳴が聞こえてきた。
「きゃあああああっ!」
メイドAの声だ。
王国に侵入してる帝国のモンスターは、コボルドたちだけじゃないって聞いた。
彼女の身に何かあったのかと思い、俺は慌てて中へ駆けこんだ。
「大丈夫か!」
「虫が、大きい虫が!」
「虫?」
指さすほうを見ると、天井の片隅に蜘蛛だか何だかわからないけど、とにかく大きな虫が確かにいる。
でも別にモンスターじゃない普通の虫だったみたいで、俺が何かするまでもなく、すぐに湯気を外に出す通気口から出て行った。




