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《78》
「知りませんよあんな放浪者。勝手な行動で団体の規律を乱すようなやつは、誰も見ていないところで野垂れ死ねばいいんです」
「あいつは放っておいても死にそうにないけどな」
パティやアニーは俺と較べて強すぎる。メイドAだってメイド拳とやらの使い手で俺より強いし、何よりパティが、自分以外の女性が俺と接触するのを許さない。
結果として、一番力量が近くてかつ同性のコボルドたちに手伝ってもらってるんだけど、この調子だと彼らに追いつくのもまだまだ時間がかかりそうだ。
「この後もう1回訓練、いいか?」
尋ねると、コボルドたちも応えてくれる。
「おっけー、任セテ」
「ウチラモ頑張ルヨ」
学生時代はずっと文化系だったからこういうスポ根的なノリは久しく理解できなかったけど、いざ当事者になってみると案外悪いものでもないみたいだ。
以前読んだ自己啓発書にも書いてあった。
人は決まった役職に生まれるんじゃない。就いた役職がその人を変えるんだって。
だとすれば俺も、勇者として成長すればもっと強くなれるのかもしれない。
つい先日まで社畜だったとは思えないほど、今の俺は充実してる。




