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「雑魚がいちいちうるさいですね、所詮あなたたちは捨て駒なんです。あなたたちの代わりなんて、掃いて捨てるほどいるんですよ」
「あはは、ボクも今回ばかりはフラスコさんに同意かなあ。だってキミたち弱いもんね」
サーベルの剣先をチラつかせながら、アニーが笑う。
彼女の内面を知った今では、その笑いがいっそう空虚に見える。
「ヤダヨ、死ニタクナイヨ」
「ココデ死ンデモ労災下リナイヨ」
パティたちの無法な言い分を呆れながら聞いてたけど、命乞いするコボルドの1体がもらした『労災』の一言が、俺の心をとらえた。
「待て、敵地に侵入するのはおまえらの仕事だろ。なのにケガしたり、最悪死んだりしても労災が下りないっていうのか?」
俺が尋ねると、コボルドたちは当然のように答える。
「ソウヨ、労災下リナイ。ソモソモ残業代ダッテ出ナイ」
「出ナイ出ナイ。裁量労働制ダカラネ」
「裁量労働制!」
まさか異世界で聞くとは思ってなかった単語が出てきて、思わず叫んでしまった。




