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《60》
いや待て、夢の中だとどうなんだ。
この場合俺は死ぬのか。死んだら驚くのか。焦って思考が乱れたせいで逃げるのが遅れた。
「どーん」
アニーのふざけた声に合わせて、トラックのヘッドライトが俺を照らす。
まぶしさのあまり固まってるうちにはね飛ばされて、その結果として目が覚めた。
† † †
「勇者様、そろそろ出発しますよ!」
まぶしいのはヘッドライトじゃなくて、太陽の光だった。
その光をさえぎるように、パティが顔を覗かせる。垂れ落ちた髪の先が顔にかかってくすぐったい。
つまり、状況をプレゼン資料みたいに簡潔にまとめるとこうなる。
草地に腰を下ろしての昼食が済んだ後、ついウトウトしてたところをパティに前方から押し倒された。
「どうしました勇者様、デザートのチューをご所望ですか? もう、しょうがないですねえ」
そう言いながら口を近づけてくるから、鼻骨を狙って頭突きを喰らわせる。
パティが「ギャオ」と悲鳴をあげてのたうち回ってる間に、起き上がって尋ねた。
「それはそうと、食器の件は解決したのか」




