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《59》
ここに至ってようやく、俺は自分が夢をみてるんだって気づいた。
おそるべしブラック企業。倒産して破産管財人の手に渡った今もなお、過去の記憶をフラッシュバックさせて元社員を苛むのか。
死せる孔明に脅える仲達の心境を身をもって実感してる横を、大型のトラックが通過する。と思いきや、トラックは3車線の車道をフルに使ってその場でUターンした。
何をする気だ、おい。疑問を口にするよりも早く、トラックはまっすぐこっちへ向かってくる。
運転席にはアニーがいた。
「ははは、みんな壊しちゃえばいいんだよ。そうすれば悩みも不安も、全部なくなっちゃうんだからさ」
「いや待て、落ち着けアニー?」
「ボクは落ち着いてるよ。この手で勇者さんを葬れるって思うとワクワクする」
「葬るなよ!」
俺のツッコミを無視して、へらへらと笑いながらアニーは速度を上げる。
猛スピードではははだなんて洒落にもならない。あなたが好きだから僕は死にましぇんなんて寝言は、ドラマの世界でしか通用しないのだ。




