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《5》
そして、気になる点はもうひとつ。
「……どこなんだここは」
痛む頭を起こして見回すと、どうやら屋内らしい。
遠くの方は暗くてよく見えないけどかなり広いのは確かで、サッカーのグラウンドも何面か取れそうだ。天井も高くて、イベントなんかで使う多目的ホールを思わせる。
そして何より不思議なのは床の上、ちょうど俺が寝ているあたりだけ、魔法陣みたいな模様が描いてあって、その模様がぼんやりと緑色の光を放ってる。
暗い屋内でも彼女の様子を観察できたのはそのせいだ。
ここがどこなのかはさっぱりわからないけど、ひとつだけ断言できる。
ここは居酒屋じゃない。こんなに暗くて静まりかえった居酒屋は嫌だ。
そう、ほんの数時間前まで、俺は居酒屋の店内にいたはずなのだ。