《37》
パティはそう言って国王の手をやんわりと、でもはっきりと振り払った。
「んー、それはパトリシアちゃんの頼みでも聞けないなあ。だってたくさんの子猫ちゃんに囲まれて毎日をハピーに過ごすのはオレのロマンなんだからさ」
国王は芝居がかったしぐさで肩をすくめてかぶりを振り、髪をバサッとかき上げる。
服装が違えば、昔の学園ドラマに出てくる担任教師みたいな仕草だ。余談だけど、「人」という字はどう見たって片方しか支えてないと思う。
「何がロマンですか。陛下のロマンのせいで、帝国の侵略を許しているんですよ。……ですが」
「ですが?」
俺が聞き返すと、パティは毅然とした顔で国王を見据えた。
「今回ばかりは、勇者様を召喚するという陛下のご判断に感謝いたします。おかげで生涯の伴侶に出会いました」
「誰が伴侶だ、おい」
俺のツッコミも聞かず、パティは一方的に抱きついてくる。国王の前で、何を考えてるんだこいつは。
「あはは、チェストさんってば情熱的だなあ」
アニーと国王も止めてくれればいいのに、どっちもヘラヘラ笑ってパティの狼藉を容認してる。
「ヒューヒュー、ユーたち付き合っちゃいなよ」
「元よりそのつもりです(キリッ)」
「ふざけんじゃねえ!」
国王が国王なら、臣下も臣下だ。
不敬罪にはならなかったものの、事態はそれ以上に悪化したかもしれない。




