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その修学旅行で、クラスメートの井端君が「本場のたこ焼きが食べたい」とか言って勝手に班を抜け出した挙句、地元のヤンキーにカツアゲされて号泣しながら戻ってきた話はさておき、俺にはもうひとつ気になったことがある。
「この城に来てから、女の人にしか会ってない気がするんだが」
パティとアニー、そしてメイドA。
さらに部屋を出てからここまでに会ったメイドさんや衛兵、通行人といったモブキャラ感丸出しの人たちに至るまで、ことごとく女性ばかりだ。
異世界なんだから男女比が俺のいた世界みたいにほぼ半々とは限らないけど、ここまで極端なハーレム状態はさすがに異常だろう。どこのラノベだ、とツッコみたくなる。
「実はそれが勇者様を召喚した理由にも関わってくるのですが、一から順を追って説明すると長くなりますから、ショートバージョンでよろしいですか?」
「ああ、構わない」
延々説明されても困るから、手短にしてもらえるならそのほうがありがたい。
「今をさかのぼること2年前、国王陛下はこうおっしゃりました」




