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《3》
「ああっ勇者様、気がついたんですね?」
「うわあ!」
思ったよりも相手の顔が近く、ていうか至近距離にあったせいで、思わずマヌケな声が出てしまった。
女は20代前半くらいだろうか。長く伸びた銀色の髪とワインを思わせる赤黒い瞳は、どう見ても日本人離れしてる。
そのせいもあって、普通に日本語で話しかけてきたことへの違和感が半端ない。
「あともう少し気づくのが遅かったら、キスで起こそうと思っていたんですよ。あっ、せっかくですから、キスだけでも今からしましょうか?」
「……しねえよ」
頭痛と吐き気をこらえながら、どうにかそれだけ返した。
初対面の女から出会って早々にキスされて喜ぶほど、俺も性的に切羽詰まってるワケじゃない。




