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《28》
「え?」
直前までへらへらしてたのがいきなり豹変したから、思わず声が漏れた。
獲物を狙う肉食獣みたいなんて例えは陳腐だけど、それくらい鋭くて、しかもその瞳は何も映してない。
鎖鎌を構えて分銅をぶんぶん振り回すパティに対して、アニーは腰のサーベルをまだ抜こうともしない。
けどその手は腰の辺りまで伸びてて、いつでも抜けるって余裕が逆に不気味だ。
まさに一触即発。このままだと大変なことになりかねないけど、俺ではふたりを止められそうにない。
「――と言いたいとこだけど」
緊張した空気は、訪れたときと同じくらい唐突に消え去った。
「また今度にしない? 今は国王陛下を待たせてるから」
それを聞いて拍子抜けしたのか、パティもすぐに鎖鎌を下ろす。
「仕方ありませんね。あの方は怒るとネチネチしつこいですから」
そして俺はっていうと、自分が狙われたわけでもないのに冷たい汗がドッと噴き出るのを感じた。
アニーの口調は軽薄極まりないけど、一瞬だけ垣間見たうつろな視線。
あの時彼女は、本気でパティを殺そうとしてた。




