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《21》
俺のツッコミを聞いてるのか聞いてないのか、パティはすっかり興奮した様子で続ける。
「この世界について語るのでしたら、歴史書の編さんを指揮しているワタクシ以上に適任の者はいないでしょう。勇者様には特別に、改ざんした国民向けのではない、リアルな歴史をお話しいたします!」
「……そもそも歴史を改ざんするなよ」
この世界で魔法使いがどんな役職なのかよくわからないけど、こんなやつしか人材がいないんだろうか。
「というわけでメイドA、おまえはもう用済みです。無意味に頭部を破壊されたくなかったら今すぐ立ち去りなさい」
「かしこまりました」
メイドAは再び頭を下げると、しずしずと退室した。今はまだ中学生くらいだけど、あと5、6年もすればなかなかの美人になりそうな子だ。
「さて、と」
パティは彼女が閉めたドアの方へツカツカと歩いていくと、おもむろに鍵をかけてからこちらへ向き直った。
「やっとふたりきりになれましたね」
「へ?」




