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部屋を作ろう 3


「アリス、そっちの木のブロック運んでおいてー」

「あいあいさー!」

「あと、通路の幅がちょうど1メートルになるように、さっき注文しといた石を積み上げて舗装しといてー」


そんなこんなで、少しずつ作業も進んできた。


ある一定の長さを掘ったらアリスに頼んで換金してもらって、そしたらまた作業に戻っての繰り返しで、結局今は幅1メートル弱の通路が20メートルほど。コインも1200を4セット分ということで、4800コイン稼ぐことができた。


しかし支出もある。

生活用品やしばらくの食料などを含めて、2000コインを使っているし、壁の舗装用やダンジョンの雰囲気を出すためのアイテムにこれまた500コイン使ってしまっている。

ということで、現在の資金は25グラヒノと2300コインだ。


「んー、今何時くらいかな……」


窓などもちろんあるわけがないので、正確な現在時間は分からないが、めちゃくちゃ遅い時間というほどでもないだろう。夕暮れ時か、もしかしたらもう少し遅い時間かもしれない。


「……ご飯、どうしようかな」


既に注文していた生活用品は木箱に入って届いている。が、今はまだそれを出せる状況じゃないので、満足に食事も作れない。となると…………


「迷宮デリバリーサービス使ってみるかな……」

「お、マスター! 早速豪華ですね!」


言ってしまえばデリバリーサービスはその名の通りだ。

管理者権限スキルを使って所定の金額を支払えば、本部の調理場で作られた料理が熱々ホカホカのまま届けられる。

少し割高だが、料理する手間がかからず普通に美味しいので人気は高いサービスらしい。


「なんにしようかな……メニューメニュー……」


スキルを使うとさまざまな料理が視界いっぱいに表示された。

特に今日のおすすめは迷宮上階の方で採れた[フレイムフィッシュ]を焼いた料理らしい。


「ん、お米もちゃんと栽培されてるんだなぁ」


やっぱり魚にはお米だ。

あとは追加で[ギャンルベツ]と[ディアマト]のサラダも頼んでおく。


2人分で800コインかかるが、おいしいと噂なのだからここは思いっきり使ってしまおう。

そう決心し、ユオンは注文を終了する。


「アリスー、あと少しでご飯だよー」

「やったー! マスター、初めて食べる料理……私楽しみです!」





しばらくゴミの掃除をやったり、2人で雑談をしているとダンジョンの扉がノックされた。

それとともに漂って来るよい香り。

食欲が刺激される。


「ご注文の料理です〜。お代金の方はダンジョン資産から引き抜かせていただきますねーって、もしかして出来たばかりのダンジョンですか!?」


ドアを開けた先にいたのは、頭に大きなリボンをつけた、黒髪に青い瞳が綺麗な女性の宅配サービス係の方。

名札に「リュアン」と書かれてある。


「うあぁ、いいなダンジョン!! 夢がありますよね!! 確か頂上までたどり着ければ神に邂逅できるとか!」

「は、はい……神さまに憧れて私、ダンジョンキーパーになったんです。……見ての通りまだまだですけど」


ユオンはリュアンのやや高めのテンションに気圧されながらも、なんとか言葉を紡ぎ出す。

そんな慣れない様子のユオンを見て、リボンを揺らしながらリュアンは笑った。


「夢があるのはいいことですよ! だから人間に私は憧れるんです……」

「え? 人間じゃないんですか? エルフ……には見えませんし、かといってドワーフでも……」

「ふふ……なんでもありませんよ。私、このダンジョン応援してます! 何かあったらコレ……」


そう言ってリュアンがバックから取り出したのは、小さなヘアピンだった。花が一輪、柔らかい色彩で描かれている。


「使う時はこれに魔力を込めると、私と通話ができるんです! 何か困ったらいつでもお願いしますね」

「え、いいんですか? ありがとうございます!」


こうしてリュアンと仲良くなったユオン。

木のブロックの切れ端を積み重ねて作った簡易テーブルでご飯を待ちわびていたアリスと対面席に座りつつ、ユアンは先ほどの女性について考える。


「なんか、不思議な人だったなぁ」

「マスターなんか嬉しそう」

「そう?」


そんなこんなで始まる食卓。

ダンジョン生活はまだ1日目だ。


--------------


「あー、やっぱり人間っていいなー!」


その頃リュアンは、世界樹から少し離れた場所でそんなことを呟いていた。

そんな彼女の顔を、バチバチと紫電を散らす電気が優しく照らしていた。


そう、電気が。


「ったく、オーディン父さんは私が人の世で暮らすことを許してくれないしさぁ……どう思う? ミョルニル」

『さぁーねー』


頭の上のリボンから、やる気のなさげな少女の声が響いた。

ミョルニルと呼ばれたリボンは、風もないのにピクピクとリュアンの頭の上で蠢くと、言葉を続ける。


『でもさ()()()。私はアンタについてくから』

「ん、ありがと」


ここ世界樹は平和だ。

神さまも人間もエルフもドワーフも他の種族も、みんなここでは手を取りあって生きている。


少なくとも、今のところは。


「ユオンちゃん……か」


どこかで雷神さまが、呟いた




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