23話 コドモドラゴン捕獲報酬受け取り
「あれっ、ソーマさん、またレベル上がりましたね?」
ギルドに戻ってクエスト報告。
ついでに不安だった『レベル測定用水晶』の使い方のおさらいをしていると――
そういう発見があった。
俺は疲れ果てた顔で答える。
「……苦労したからね」
どこかの誰かが、寝ているドラゴンを起こすから。
ちなみにその『誰か』はギルドに併設されている俺の職場で、ホデミやナギと一緒に、俺がクエスト達成の報酬を持ってくるのを待っている。
「あー、そういえばヴァネッサさんと一緒でしたね?」
「有名なの、あの人?」
「最前線帰りということで、この街にいらした時には人気者だったんですよ。それはもう、どのパーティーからも勧誘が尽きることはなかったんです」
「まあそうなるか」
「一週間ぐらい経つまでは」
「……まあ、そうなるか」
「で、でもですね! お陰でこの街、魔王との最前線からかなり遠い街にしては、冒険者の平均レベルは高いんですよ!」
必死のフォローだった。
カレンちゃんの株は上がったが、ヴァネッサの株はまったく上がらない。
「それではソーマさん、これが『コドモドラゴン』捕獲の報酬です」
ズドン。
そんな音を立てて、受付カウンターの上に革袋が置かれた。
そのまるまると肥えた、中身のたっぷり詰まっていることがわかる革袋を見て、俺は――
「えっ!? なにかの間違いじゃない? モンスター一匹捕獲しただけでこんなにくれるの!?」
「いえ、竜種の中では最弱とはいえ、竜種なので、捕獲報酬はこのぐらいですよ。それに、ここからパーティー内で分配していただくので、四で割ると……えーっと、ソーマさんの暮らしむきでしたら、二ヶ月ぐらいは働かずに生きていけますね」
「はー……すげー……」
猫耳守銭奴の言葉ではないが……
たしかにこの稼ぎは、ちょっと衝撃的で、ともすれば価値観が変わってしまいそうなほどであった。
それだけ『捕獲』の難易度が高いのだろう。
たしかに、俺は苦労はすれどそう難しくないと感じたが――
それは『最前線帰り』のヴァネッサという優れた壁役と、世界に二つとない(であろう)俺の能力があってこそだ。
なんかだんだんチートっぽくなってきた。
こういうのでいいんだよ、こういうので。
あと。
金額の多さに目がくらんだわけではないが……
四で割るのは納得いかない。
三で割るか、それはダメでも三対三対三対一ぐらいの分配にしたい。
一人ただついてきただけの元神様がいるのだ。
「報酬が多いと金額の分配でもめることが多いので、気を付けてくださいね」
カレンちゃんが心を読んだかのような忠告をくれた。
というか、まあ、普通に報酬の多いクエスト後にもめたパーティーを見てきたがゆえの、テンプレートな忠告なんだろうけど……
「……気を付けるよ。まあ、一人まったく働いてないヤツと、あと守銭奴がいるから、もめそうな気はするけど」
「ケンカしないでくださいね? 一緒に死線をくぐりぬけた仲間は得がたいものですよ。冒険者という職業は、『老い』などよりも、『仲間との関係が悪化した』という理由で辞める方が多いぐらいなんですから」
「へえ、そうなんだ」
「酒場でケンカする人の主な関係性も、『仲違いした昔の仲間同士』が多いんですよ」
「へえ、そうなんだ」
感心しつつ――
『なんかネトゲみたいだな』と思った。




