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生きる

作者: ジェンガで積み木

 牛はなぜ、草ばかり食べて肉の塊になれるのだろうか?

 人間は草だけ食べて生きていくことはできない。ベジタリアンや僧侶でも、いろいろ工夫して栄養のバランスをとっている。だが牛や馬は、食物繊維しか無さそうな草から、肉、骨、脂肪、皮膚、血、毛などを、見事に作り出している。これはすごいことではないか? 

 こう考えることができよう。家畜は、植物を食肉や衣類に変える装置である、と。

 人間は何を作り出す装置だろうか? 

 文化か? 文化は誰の為に存在するのだろうか。人間か? しかし人間は、生きて、子孫を残していくのに、必要以上の文化を持っているのではなかろうか。ところで、そもそも人間という種が存在し続ける必要性については、ここでは考えない。既にわかっているからだ。必要性など無い。

 文化は人を殺すことさえある。人間にこれだけの知能や社会が無かったならば、2度の世界大戦のような大量殺戮は起こらなかったはずだ。

 「人類」というくくりが、そもそもばかげているのである。人は誰でも、「自分」の為にしか行動できない。それでいて、世界がなんとかやっていけているのは、たんに人間の弱さゆえであろう。弱さは世界を救っているのである。

 人間は草だけを食べて生きていくことはできない。家畜を殺し、人を殺し、社会を利用し、なんとか生きていけるのだ。

 ここに一人の弱い人間がいる。名前はサトウという。年は25。サトウは車を運転する。今まで人を轢いたことは無いが、これからも絶対に人を轢き殺さない、とは考えていない。それでも毎日車に乗っていられるのは、サトウが未来のことを棚上げにして、危険性から目を背けているからだ。サトウは人に会う。今まで他人に生命を脅かされたことは無いが、これからも絶対安全だとは思っていない。それでもほぼ毎日、人に会えるのは、人の怖さを考えないようにしているからだ。サトウには付き合っている恋人がいる。恋人といっしょにいて楽しいのは、相手の浮気を考えないようにしているからである。サトウはやがて子供を作るかもしれない。それというのも、自分のこどもがちゃんと育ってくれるという、甘い考えを持てるからである。

 こうして人の世は続いていくのである。

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