さようなら
色々変更しました
小さいところばかりですが
時系列バラバラかもしれないです
指摘も待っています
大事な意見ですので
ーーダガーを片手に迷宮を駆ける
カッコつけて厨二臭い事を言ったが、只今絶賛逃走中
非常にカッコ悪い
昨日、武器を買い、心ウキウキで迷宮に来た
かれこれ1週間くらい迷宮漬けなので勝手たる足で迷宮を歩く
すると今まで見たことのない魔物に出会う
レイジ・ハウンド
大型犬をはるかに上回る体躯
試しに切りつけるが体毛がそれを防御する
なんて硬い毛なのか
有力な攻撃ができないため逃走に移った
しかし相手は犬型の魔物、4足歩行からなる高速機動を用いてこちらを逃がそうとしない
前にもこんなことがあったなぁと現実逃避する
こちらの世界にも慣れて来た。一時期はどうなるかとも思ったが、まあまあ上手くやっている方だろう
最近はリューラさんと言う仲の良い人も出来た
なんだか、入学仕立ての頃、友達が増えて来た時に似ている
最初こちらの世界に来た時は、あまりのことに状況を理解できず、あまりの理不尽さに言葉をうしなっていた
しかし、人間慣れるものである
自慢の適応力を用いて馴染んできている
最初の頃は辛かった貧血も最近は慣れて来た
相変わらず頭には靄がかかっているかの様な状態だがそれすらも慣れて来た
今では気にならない
体調は絶好調とまでは言えないものの、上々だろう
昨日買ったダガーもまあまあ良いものだったーーもっとも、レイジハウンドに会うまでだが…
最初の頃に苦戦したアニールアントの硬い甲殻にも傷をつけることが出来ていた
その時点で調子に乗っていたらしい
魔石の収穫率が上がる事に対して自信が湧いて出て来たからということもあるだろう
なんにせよ調子に乗っていたのだ
レイジハウンドはよく見るとLevelが7だ
これまでに倒した魔物の中で、最高のレベル値は5であった。
今の自分はレベル5である
上も上、これではなにを言われても言い返せまい
いくら走っても追ってくる犬っころに業を煮やし、相対する
毛がダメなら…
動体視力を用いて飛びかかる犬っころの目ん玉にダガーを挿し込む
飛びつかれ、押し倒される形になったがレイジハウンドの眼球内に反りの入った刃が入る
そのままグリグリと動かし、どうにかして脳みそを破損せしめようと試みる
刃は左目に入っているため左肩に噛みつかれる
ーー激痛
顔を顰めるがそのままグリグリし続ける
レイジハウンドご倒れ、黒い煙を出して消えた
ふぅ…
今のは危なかった
ステータスを確認する
名前 ショウマ・シンドウ
Level5
種族 吸…
HP 39/53
筋力 4.5 敏捷6.9 知力3.4
スキル
最適解 1.6 ポーカーフェイス3.6 体術 1.1 回避1.0
超再生4.8 ????8.0 生の呪い5.0 精神耐性(恐怖) 3.9
状態異常
記憶操作Ⅳ
貧血Ⅲ
となっている
この際HPは気にしていない
スキル、超再生により傷口が治っていく
超再生はどうやらHPは回復しないらしい
ステータスについて気がついたことがある
どうやら、育っていない数値に関しては表示すらされないらしい
MPはレベルアップでも獲得できなかったため表示を省略しているらしい
同じ理由で隠されたパラメータがあるに違いない
レベルアップで育つ事を信じよう
「今日はこのくらいにしておくか」
1人声を発する
俺は迷宮を後にした
◇◇◇
ギルドに寄る
最近の楽しみの一つだ
リューラさんと他愛もない話をする
最近街の中を盗賊が出歩いているらしい
気をつけるように注意を受ける
そういうのは死ぬ前に言って欲しい
そんな思考を少しも出さずに会話を続ける
頃合いを見て別れを告げた
ギルドからオンボロ宿まで戻る
まだ第一階層なのだから、住む環境が改善できるほどの金銭的余裕がない
ダガーも買っちゃったし
しかし、着るものはさすがに買っていた
現実世界の服やらパーカーやらは真っ赤な血に染まっていたし
身なりもすっかりこの世界の住人となっていた。
次の角を曲がれば宿屋、というところで声が聞こえる
「イタイッ!」
なんだ今の声
あまりいい台詞ではない
声の方に向かう
考えることもせず、自然と体が動いていた
そこには外套を着て、フードを目深に被った見るからに悪人っぽい男と純白の少女がいた
少女は首や手首、足首に枷をはめられ、鎖で繋がれていた
鎖を持つのはもちろん男
男がこちらを見やり少女を伴って路地裏に消えていく
純白の少女がモノ言いたげな瞳でこちらを見た
心が痛む
2人の姿が視界から消える
「ーーっ!」
ハッとし後を追いかける
そこには2人の姿はなかった
今のはなんだったのだろう
折角帰れるのに、胸糞悪い
それ以上にあの状況で、何もできなかった自分に嫌気がさす
気持ち悪い、嫌悪感が増す
こんなんじゃだめだ
少年は決意を新たにしたーー。
◇◇◇
翌日、迷宮探索を終え、いつも通りにリューラさんの所に寄る
カウンターの後ろにリューラさんを見つける
「リューラさんッ」
声をかける
「あっ!ショウマくん、おかえりなさい。無事で何よりです」
女神の様な笑顔と共にちょっとふざけて答えてくれる
「た、ただいまです…」
若干声をうわずらせながら答える
その後、世間話しをしているとリューラさんがいきなりこんなことを言ってくる
「ねぇ、ショウマくん。明日、時間ある…?よければ買い物に付き合って欲しいんだけど…」
なんとデートの誘いか
お姉さんポジのくせに上目遣いとか卑怯である
「マジっすか?自分でよければ行きますよ」
お姉さんの頼みとあらばしょうがない
断る理由がない…。
待ち合わせ場所と時間を決める
「じゃあ明日、噴水広場でまってるね」
ギルドを後にする
どうしよう…
めちゃくちゃ楽しみだ…
◇◇◇
明くる朝
午前は迷宮で潰し、午後は早めに切り上げ、準備をする
いくらお姉さんーーショウマの中では既に自分の姉ーーとデートだからといって、適当な服装で行くのはどうかと思う
かといってどのような服装が好まれるのかわからない
街行く人々を眺め、服屋でそれらしいものを買う
黒いシャツに黒いズボン
センスの欠片もない
噴水広場で待っていた
ツンツン
背中をつつかれる
振り向くとそこにはリューラさんが立っていた
「こんにちは、ショウマくん。またせちゃったかな?」
漫画だったら「テヘ」とでも書いてあるだろう、顔の横あたりに。
そんな表情で申し訳なさそうに怒らないで〜とか言ってる
別に怒ってない
「自分も今来たところです。怒ってないので気にしないでくださいよ」
笑いながらそう話しかける
すると今度はリューラさんが怒ったような顔をする
本当に表情がコロコロと変わる人だな、と感じた
「ちょっとショウマくん、もしかして、プライベートまで敬語使う気なの?」
問題はそこなのか
てかそんな大事か?
でも納得できないのだろう
仕方なく従っておく
「い、いや…。そういうわけじゃないんですけ…ないよ?」
「ウフフ。ショウマ君面白いね」
ちょっと敬語の混じったタメ口を聞いて機嫌を直すリューラさん
可愛い、流石は我が姉
かくして、デートは開始される
リューラさんの案内で色々な所を見て回った
美味しい料理屋、良い装備屋、安い道具屋、etc…
あっという間に時が過ぎた
正直なかなか緊張してあんまし覚えていない
1つわかることがあるとしたら今日1日はとても楽しくて、過ぎるのが早すぎた
夜も暮れ、そろそろ解散になろうとしたところでリューラさんが急に話し出す
「最近さ、盗賊が街を出歩いてるって言うじゃない?だからショウマくん、その…」
どうやら1人で帰るのが怖いらしい
送って欲しいようだ
断る理由がない
2人で夜道を歩く
リューラさんはずっと笑顔だった
俺が非常識な事をしても
田舎にいたんだからしょうがないよ!
とフォローしてくれた
本当によくできた人だ
姉に欲しい
路地裏に入る
どうやら辺鄙な場所に住んでいるようだ
慌ててリューラさんが説明する
「ち、ちがうんだよ?こんなところに住んでるのは家賃が安いからであって…」
なにが違うか分からないがとりあえず可愛いから許すことにする
リューラさんは普段は大人な女性だ。
しかし、時折見せる少女の様な仕草に胸が踊る
本当に可愛い
「ショウマくんそこを曲がってもう一個曲がったらすぐ私の家だよ」
リューラさんが言う
中心部からだいぶ外周の方に来た
ここまでくるとスラム街なんかも近いのではないのだろうか
さすがにそんなところに夜1人で帰るのは怖いだろう
角を曲がる
月が妖しく光っている
なにか違和感を感じる
その正体はすぐに分かった
ーー鉄の匂い
濃厚な鉄の匂いが辺りを漂っている
なんだこれは?
なんの匂いだ?
頭の奥深くでは理解していたのかもしれない
しかし理性がそれを全力で否定している
まさか、そんなこと、ありえない、あるわけない
きっと何かの勘違いだ
しかし現実を目の当たりにする
路地裏にポッカリと空いた広場
そこだけくり抜かれたような空間に3人の男が立っていた
いや、正確には3人の男が立っているのは、数えるのも億劫になるほどのおびただしい数の死体の上だった
あるものは腕がない
あるのもは頭がない
あるものは両目がない
あるものは…あるものは…あるものは…あるものは…
あるものは…あるのもは…
強烈な吐き気
なんだこれは
背筋を虫が這うかの様な錯覚に、鳥肌が立つ
心臓を鷲掴みにされた様な気分
やばい
ヤバイ!!
ヤバイヤバイ!!!
頭に警告が響く
正気じゃない
いますぐ逃げろ1人で逃げろ女など置いていけ
様々な感情を抑えつける
リューラさんはこの命に代えても守る
リューラさんをかばう
男がこちらを向く
注視する
表示が出る
名前 キリス
HP82/82
種族 人族
職業 盗賊(狂気)
年齢 30
lev 7
名前 エテオ
HP88/88
種族 人族
職業 盗賊(狂気)
年齢 32
lev 8
名前 エスカー
HP91/91
MP13/13
種族 人族
職業 盗賊(狂気)
年齢 36
Level11
俺をぶち殺してくれやがったクソ野郎共だ
しかし様子が変だ
狂気…?
そんなことはどうでも良い
早くここから逃げなくては
しかし相手は3人
どうする…。
後ろ腰からダガーを抜き放つ
エスカーが話しかけてくる
「また会ったな坊主。大人しく女を寄越せ、そうすれば痛い思いをしなくて済むぞ?」
「それはできない。"リューラ"は俺の大事な友人だ」
「アッハッハッ!そいつは傑作だ。逃げられると思うなよ?」
3人が同時に動き出す
と同時に俺は叫ぶ
「逃げろッ!"リューラッ"!!」
戦闘が始まる
最初に飛びかかって来たのがキリスだ
しかし俺もあの時と同じではない
片手剣を受け流しつつ回し蹴りを叩き込む
エテオがリューラに掴みかかろうとする
リューラは腰が抜けて歩けないようだ
すぐさまもどりエテオの首根っこ掴んで思い切り地面に投げつける
筋力に物を言わせた攻撃だ
相当のダメージのはず
しかし、その隙だらけの攻撃をエスカーは見逃さなかった
両手剣がせまる
バク転で避けつつ距離を取る
常にリューラとエスカーの間に陣を取り、構える
後1人…
エスカーの大上段からの斬りおろしは避ける訳にはいかない
俺が避けたらリューラに当たる
ダガーと両手剣があたり鍔迫り合いになる
エスカーが下卑た笑みを浮かべている
俺は叫んだ
「リューラッ!!頼む!逃げてくれ!」
リューラが我に帰る
「で、でも…」
「いいから逃げろよ!はやく行け!!」
「ーーつ!!」
悔しそうに後ろに向かって走り出す
よし、これで後は時間を稼ぐだけだ
彼我の戦力差は歴然
あっちはレベルも対人技術も高い
1対3で勝てるわけがない
思えば短い人生だった
しかし、最期くらいは華々しく散ることが出来そうだ
女を守って死ぬ。悪くない
最後の悪足掻きでもしよう
エスカーを弾き飛ばす
キリスとエテオを軽くさばく
剣の受け流し方と器用さ、敏捷はこちらに分があるようだ
3人の攻撃をさばく
耐える。耐えて耐えて耐えきる
一筋の光明が見えた
なんとか耐えられる
隙を見て逃げれば
なんとか逃げられーー
ドスッ
背中に衝撃
前につんのめる
胸に刃が生えている
は?
なんだこれ?
体から鉄の刃が生えている
笑うしかない
ーー何かの"はずれる音"がしたーー
後ろを振り返る
「ウフフ…」
そこにはリューラがいた
ブックマークくれた方々、ありがとうございます
あなた方が書くモチベーションです
ここまで長いようで短いですがまだまだ序章です
本番はここからです
よろしくお願いします
最後の最後で大どんでん返し
面白いと感じてくれたなら幸いです