説明
ちょっとずつかいてきます
「こんにちは、新入りさんッ」
太陽の様に眩しい笑顔が眼前にある
ヤベェ…惚れるわこんなん
もちろん本音はつゆほども外には出さず、その顔はまさしくポーカーフェイスであった
なんでもないように装いつつも返事をする
「こ、こんにちは…」
つっかえつつも返事をすると目の前の太陽が再びその可愛らしい唇を開くーー
「こんにちは、本日は勉強をしに来たって事で大丈夫かな?」
首を傾げつつ聞いてくる
なにこの仕草、可愛すぎるだろ
いつまでも黙ってたら怪しまれるので適当に返す
「ま、まぁそんなところです。田舎から来たばかりなので色々と詳しく聞きたいと思いまして…」
「なるほどね!承りましたッ。私の名前はリューラ、リューラ・シセル。よろしくねッ」
「じ、自分はショウマと申します。本日はよろしくお願いします…。」
なんとか怪しまれずにすんだ
しかし女性を前にしているからか、変に緊張して一人称が変になってしまった
自分て…
まぁいいか、それよりもリューラさんにこの世界の事を詳しく聞いてみることにした
1時間くらいずっと話を聞いていた
要約するとここはエスーラ大陸の中の一つの都市、ジフトと言うところらしい
この世界には突然迷宮と呼ばれるものが出現した。世界各地に迷宮は誕生し、多くの魔物をその口から吐き出したという。
それを見かねた昔の偉い人は、迷宮に戦士を送り、魔物を倒していったのだという。
数を減らした魔物達は迷宮からでることがなくなった。
それから定期的に狩りを行なって来たが、その狩りが長い時間をかけてすこしづつ変化していき、今の探索者になったのだという。
探索者は色々な職業を組み込み、あらゆる利点を生み出した。
また、探索者には様々な恩恵が生じるらしい。
身体能力上昇や、武器の扱い、アビリティ、魔法、スキル。
スキルは発現するまでが大変だが扱えるようになると迷宮探索が楽になるという。
アビリティはいわゆる必殺技の様なもので、魔法は選ばれたものにしか使えないという。
この時代の探索者は、多くが金を稼ぐために迷宮に潜る。
そんな中でも本来の目的である迷宮を殺すという事を忘れていないギルドもあるという。
しかし、そんな説明の中に聞き捨てならない言葉があった。
リューラさん曰く、迷宮の最深部に到達出来ればどんな願いも叶うという
願ってもないことだ
迷宮の最深部に行けば現実世界に帰れるかもしれない
希望が湧いて来た
大まかな説明を聞いた後、質問をする
「探索者になるにはどうしたら良いんですか?」
「探索者になりたいなら迷宮に潜ればいいのよ。特別な許可はいらないの。ただ、装備品は整えた方がいいと思うよ…?」
「なるほど、許可は要らず、迷宮にはいったならば、その時点で探索者という事ですか」
「基本的にはそういう事。」
「装備品はどうやって手に入れるんですか?」
「装備品はお金で買うのよ、この国の通貨はシルドっていうの」
そう言って銅貨と銀貨を出す
「銅貨1枚で1シルド。銀貨1枚で100シルドよ。その上にあるのが金貨、金貨は1枚で10000シルドよ」
通貨の単位を教えてくれた
銅貨100枚で銀貨、銀貨100枚で金貨1枚らしい
金の単位は相場がよくわからないため、後回しだ
あとで市でも巡って相場を確かめよう
「なら、手っ取り早く装備品を集める方法はないですか?」
「う〜ん…はやく稼ぐならやっぱり迷宮なんだけどね…。装備品がないんだから入れないし。バイトでもしてみる?」
なるほど、バイトか。
確かに安全に稼ぐならアルバイトだろう。
最低限の装備品を買える金を稼ぎ、装備品を整えてから迷宮に臨むのがあたりまえだろう。
考える
それが普通だ、この世界の常識だ。
しかしはたしてそれが本当に効率が良い方法なのだろうか
それにこの方法は普通の人がやる事だ
少なくとも俺は普通じゃない
2回も生き返っている
現実を見ろ
己の状況を理解し、最適解を叩き出せ
この状況で最も効率の良い稼ぎ方は……
◇◇◇
探索者ギルドを後にした。
あの後、この辺りで1番安い宿屋を紹介してもらった。
贅沢はしばらく出来ない。
金を少しずつ貯めながら、装備品を揃えていこう。
当分の目的が明確になった
自分のステータスを確認する。
個体情報
名前 ショウマ・シンドウ
HP31/31
種族 吸…
年齢 18
Level1
スキル
最適解1.0
ポーカーフェイス1.5
状態異常
記憶操作Ⅲ
貧血Ⅲ
となっている
混乱が取れている
そしてスキルを取得していた
これはラッキーだ
スキルには2つ種類がある
パッシブスキルとアクティブスキルだ
パッシブは常時使われている
アクティブは任意で使える
つまり、パッシブは取得した時点で発動しっぱなしであり、アクティブは使いたい時に使えるものらしい。
ポーカーフェイスはパッシブだろう
いつも使っている
最適解というのは…?
念じて見てもなにも起こらない
パッシブなのだろうか
まぁどうでもいいか
深く考えるのはやめた。
元から靄がかかったような状態であり、頭はろくに働いていなかった。
無い頭で考えたところで、結局答えは出ないのだ
こんなバカは頭で考えるより、体を使った方がいいだろう。
そう思いつつ迷宮を目指す
装備も整えず、その身一つで
まるでコンビニにでも行く若者の様に…
最適解のスキルで出した答えをそうとは気づかずに信じて……
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