これがいわゆる朝チュンかい?
チュン チュチュチュッ チチチチッ
「う、ん…。う、うう…」
う、頭痛い。というか、鳥…? 朝…?! 朝なのかい…!?
ええと…昨日はついついワインを呑みすぎて…
…潰れた…?
コンコン
?誰だい、いったい。
「あ、どうぞ、入ってくれ。」
「あぁ。
えっと…、まぁ、その…大丈夫か?」
ハイルか…。
…。
ふふっ
「女性の寝所に入っても動揺しなくなったとは、成長したねぇ、ハイル君。ははっ」
「な…!? いい加減忘れろ! あのことは!」
「え~? そんなの、無理に決まっているだろう?
あんなに面白かったのに…っ!」
あれだけは、絶対忘れられないよ。
まさかあの腹黒が、あ~んな顔をするなんて、さ。
「俺だってまだ子供だったんだ!」
「くくっ、俺に戻っているよ、ハイル。『私』じゃなかったのかい?
それに、子供だったのなら、女性の寝所に入っても動揺したりしないんじゃないのかい? ん~? どうなんだい?」
「…っ! ~ああっ、もう! 私のことを腹黒いといっているミシェルの方がよっぽど性格悪いよね! まったく」
「ははっ光栄だよ。」
「はぁ…」
こういうところは変わっていないんだね、ハイル。コロコロと表情を変えて、一言一言に反応して。
…でも、安心してはいけないんだろうね。君はこれから、今まで以上に危険な場所にたたなくてはいけなくなる。策士を装っていても心根は純粋な君を、私は変えなくてはいけないのかもしれない、いや、変えなくてはいけないのだろうね。
君を、生かすために。
私の唯一の信頼できる君を。
君のためなら、私はなんだってするよ。
絶望の中の光、ハイル。
「私の…ーー。」