再会
チリンチリーン♪
このベルは…
「ちっ、また客かい?
はぁ、面倒くさい」
扉の前には誰がいることやら。
…。
はぁ、全く、私は面倒くさい事が大嫌いなんだよ…!
なんでこうも客が面倒くさいやつばかりなんだ。こないだなんて死体愛好家が来て妙な依頼をしてきたし、その前なんて…いや、よそう。これ以上思い出しても殺意しか湧いてこない。
「マスター、そろそろ開けたいんだが、良いか?」
「え、あ、あぁ、すまない。構わないよ。」
「ん、」
カラン♪
「ああ、やっと開いたね、お邪魔するよ。」
入ってきたのは
「ふふっ、お久しぶりだね、ミシェル嬢?」
「第二王子殿下、なぜここにいらしたのですか。そして、護衛はどうしたのですか…!」
そう、第二王子殿下だ。
第二王子殿下なのだ。
どれか私の平穏を返してはくれないだろうか、面倒事が起きる予感しかしないよ。
「あぁ、彼らは邪魔だったしむこうの通りに馬車と一緒に待たせているよ。実際、私のほうが強いしね」
「あぁ、君が強いのなんて重々承知の上さ、だがね、従者や護衛のあれは仕事だ。し・ご・と。そんなことされたら上に叱られるのは彼らなんだよ。何度言わせる気だ。大体君は…いや、よそう。今は怒っているときではないね、」
第二王子殿下は私の悪友に近い存在だ。バカ王子の事があったとはいえ、こいつの事は、まぁ、信用できる。
「な・ん・でこんなところにいるのか、なんて聞かないよ。場所を教えたのは私だしね、だが、まさか腹黒くて計算高い、君がなんの用もなく、なんの問題も持ち込まずに来るわけないよね?」
「あははっ、もしかしたら本当に音信不通な、冷静なくせでいて時々ひどくおっちょこちょいな君のようすを見に来ただけかもしれないよ?」
「はっ、天地がひっくり返ってもあり得ないような話はやめてくれ」
「はぁ、心配しているのは事実なんだけどな。
まぁ、冗談はこのくらいにしておこうか、今日、うちの愚弟が私を殺す依頼をしてきたんじゃないか?」
「あぁ、来たさ。全く腹立たしい。あいつの侍従だけが来たよ。私の正体にも気づかないような相変わらずのかわいそうな頭みたいだね。第一王子派は。」
なんかさっきこいつが親切なやつに見えたんだが…。疲れているのだろうか、うん、今日はこいつが帰ったらもう寝ようか。
「はぁ、やはりか。くくっ、そろそろ追い落としてもいい頃だな。という訳で、久々に手を組まないか?ミシェル」
「ははっ、これまた面倒なお誘いだね。いいよ。そろそろ頃合いだとは思っていたからね。」
そろそろ情報は揃うからね。
「? それはいったいどういう?」
「ん~?どういう事だろうね、ふふふっ
明日かそこらにでも来てごらんよ。良いことがあるかもしれないよ」
あーぁ、久しぶりにこいつとしゃべるのは楽しいね、ついつい頬が緩んでにやにやしてしまうよ。
「教えてくれたっていいだろう?というか君って私より腹黒くて計算高いよね、ミシェル。」
「さぁ?」
「ねぇ、ミシェル? 明日ならいいんだよね、」
?
「まぁ、そうだね。」
「ふーん」
ニヤニヤ
「はぁ、なんなんだいハイル」
ハイルというのはこいつ、ハイルベルトの愛称だ。
にしてもなんなんだ。ニヤニヤ笑って気色悪い。
「ミシェル…聞こえてる。
っとそうそう。俺、今日泊まるから」
「は…?
いやいや、泊まるってなんなのさ。それに、俺って…。なに素を出してるんだい。」
まぁ、客室はあるけどね…?
王子が簡単に外泊しちゃぁダメだろう。
真面目に、さぁ。
「それじゃあ、従者に伝えてくる。」
「って、おい! ハイル?!
何かってに決めてるんだい、この自由人ー!」
「羽のない天使」と「天使の微睡み」を兼ねるこの家は、なぜかいつも騒がしい。
そして、その主であるミシェルのもとには、なぜかいつも面倒事が舞い込む。