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I and the flower ~僕と花~

作者: 魅肋
掲載日:2016/01/01

ある春の事。


「僕」は公園で「花ちゃん」に出会いました。


僕は花ちゃんとお話するのがとてもとても大好きでした。


雨の日だろうが、風が強かろうが僕は花ちゃんに会いに行きました。


ある日、もっと一緒にいたいと思った僕は鉢に花ちゃんを移しました。


これでいつも、一緒にいられる。


花ちゃんも喜びました。


「貴方と一緒にいられて幸せ」と笑ってくれました。


僕も花ちゃんと一緒にいられて、幸せでした。


僕は夢が出来ました。


「僕、お花になりたいな」


「どうして?」


「僕ね、君と結婚したいの」


花ちゃんは嬉しそうに笑ってくれました。


「私も貴方が大好きよ」


この上なく、幸福でした。


「花が好きだなんて、頭がおかしいんじゃないの?」


「気持ち悪いわよ」


「さっさと元に戻してきなさい」


誰に何と言われようが、僕は花ちゃんを手放しませんでした。


涙を流す僕の傍に花ちゃんはずっといてくれました。


「誰が何と言おうと、私は貴方の傍にずっといるからね」


僕は、もっと泣きました。




二人で過ごして数年。


ある日、花ちゃんの身体に異変が起きました。


葉っぱが、花びらが、腐っていくのです。


お医者さんは相手をしてくれません。


手遅れだと僕に言いました。


「嫌だ、花ちゃん、いなくなっちゃやだ」


僕が駄々こねると、花ちゃんは言いました。


「大丈夫だよ。私は貴方の傍にずっといるから。だから、笑って?泣いた貴方を見ていると、私ね、とても悲しくなっちゃうの」


お願い、と花ちゃんに言われ、僕はごしごしと涙を拭いました。


それからずっと、一緒にお散歩したり、本を読んだり、二人で好きだったことを、大好きだったことを沢山しました。


花ちゃんの綺麗な葉は、腐ってボロボロと落ちました。


「醜いよね、私」


僕はそれでも、花ちゃんに「可愛い」「綺麗だよ」「大好き」と言い続けました。


その度、花ちゃんは泣きそうになりながらも僕に「ありがとう」と言いました。


ある夜のこと。いつものように本を読み終え、電気を消して寝ようとしたときの事です。


花ちゃんが僕に「ねぇ」と語りかけてきました。


「どうしたの?」と聞くと花ちゃんは「お話しましょう?」と言った。


「私ね、生まれ変わったらヒトになりたいな」


「どうして?」


「そしたら貴方を困らせなくて済んだから」


花ちゃんの声が震えていた。


僕は「違う」と言った。


「僕は、花ちゃんだったから、大好きになったのが君だったから、一緒にいたかったから。何1つ、君といて嫌だったことなんてない」


罵声を浴びた事が幾度もありました。


それでも、僕は理解されなくたっていい、って思っていました。


「だって、僕は誰に何と言われようが、花ちゃんと一緒に居たかったから」


僕がそう言うと、花ちゃんは涙を流しました。


「ありがとう、ありがとう…。…さぁ、もう寝る時間よ。ね?寝ましょう」


「ねぇ、花ちゃん」


「なぁに?」


「大好きだよ。また、明日ね」


花ちゃんは笑って「また、明日」と言いました。




花ちゃんの子守唄を聞きながら、僕は眠りにつきました。




「大好きだよ」




意識が途切れていく中、花ちゃんの声が、遠くなっていきました。





目を覚ました時、僕は花ちゃんに声をかけました。


「…花ちゃん?」


返事がありません。


「花ちゃん?お薬…」


薬を渡してみるものの、反応がありません。


「…嘘だ」


僕は悟りました。


「嘘だ…!!」


僕は声を出して、泣きました。


僕の大好きだった花ちゃんは、もういない。




もう、いないんだ…。





花ちゃんがいなくなって、もう数十年。


僕の寿命も残りわずか。自分でもわかる。


花ちゃんの入っていた鉢を抱きしめました。


ああ、花ちゃん。あと少しで貴方に会えます。会いに行きます。


貴方は生まれ変わったらヒトになりたいと言っていましたね。


僕は、生まれ変わるならハナになりたいと思っていました。


でもね、きっと貴方がヒトに、ハナに生まれ変わったとしても、僕はまた貴方を見つけたいと思います。




「また、会おうね」




遠のいていく意識の中「また、会えますよ」と花ちゃんの声が聞こえた気がした。



次、生まれ変わってまた貴方に会えたら。


僕はそれだけでも、幸せ者でしょう。


誰に何と言われようが、僕は貴方と一緒にいられて幸せでした。


また、会える日まで。




「「おやすみなさい」」





~END~


前から書いてみたかった物語を書く事が出来ました。この話は1年前くらいからずっと脳内で繰り広げていたお話です。形にする事が出来て、本当に良かったと思います。この話の別バージョンとして、子供向けの絵本を以前描きました。そちらの方は、今作とは違ってハッピーエンドを迎えます。理由は「子供向け」だったというのもあるんですけどね…。しかし、この物語に出てくる「僕」も「花ちゃん」も、絵本バージョンの物と一緒で「幸せ」だった事に変わりはありません。他人に何と言われようが、二人は幸せだった。と言うお話を書きたかったので、私は満足です。


あとがきは以上になります。最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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