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昔の男  作者: 岸野果絵
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誘拐

 セーラは息子のジョンを連れ、商店街で買い物をしていた。

品物の会計をするちょっとの間、ジョンから目を離した。


「ジョン?」

すぐ近くにいるはずのジョンの姿が見えない。

セーラは真っ青になって店を飛び出した。


見慣れない馬車に乗り込むジョンの姿が見えた。

「ジョン!!」

馬車を追いかけようとするセーラの腕を誰かに掴まれた。

振り向くと、体格の良い見知らぬ男性が立っていった。

「セーラさんですね」

セーラは相手をじっと見据えながらうなずいた。

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