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起床
翌日。
陽佳が目を覚ますと、隣に眠る志智はまだ起きていなかった。
(朝ごはん……つくろう)
のそりとベッドから這い出、カーテンを少し開ける。小雨が降っていて夏真っ只中ではあるが涼しく感じられた。
昨日は買い物をしていないし、この部屋に来るのも久しぶりであったために冷蔵庫にも手持ちにも殆ど食料はない。学生証と財布を持ち靴を履く。
(あ、そうだ)
履いた靴を一度脱ぎ部屋に戻った。
買い出しにいくことを知らせる文をメモ帳に書きテーブルに置いておく。志智が寝ている間に買い物を済ますことは初めてではないので大丈夫だろう。
もう一度靴を履き、忘れ物がないか確認をする。志智を起こさないように静かにドアを開け、廊下へと出た。