管理人
十倉のと会話で少しずつ緊張が解れてきた頃、談話室にジャージ姿の男性が入ってきた。
「あ、陽佳、管理人帰ってきたよ」
入ってきた男性が管理人だったらしく、十倉はソファーから立ち上がりお茶を飲む管理人に近づいていった。
「眞尋さん、おかえりなさい。編入生が来てますよ」
十倉が声をかけると、管理人、眞尋は目線だけ陽佳たちに向け「ああ」と思い出したように声を上げた。
「今日だったな、申し訳ない」
「忘れてたんですか?」
「朝までは覚えてたよ」
眞尋はお茶を再度注ぎ、十倉を連れ陽佳たちの方へ歩いてくる。
十倉も十分背が高いが、眞尋はそれ以上に背が高かい。眼鏡をかけジャージを着たラフな格好だが、だらけた印象はあまり抱かなかった。
「待たせて悪かったな。俺はこの寮の管理人の眞尋、聞いたかも知れないがこっちは寮の2年生代表の十倉な。」
陽佳は志智を起こさないように立ち上がった。
「陽佳といいます。私は夏休み前に編入してますが、こっちの志智は今日からお世話になります。よろしくお願いします」
直角にお辞儀をすると、眞尋の苦笑が聞こえてきた。
頭を上げてみると、十倉も揃って笑っている。
「えっと……??」
「ああ、悪い。いい子だな。でもそんな畏まらなくていいよ。」
「これからよろしくな」と眞尋が頭を二度軽く叩いた。
「えっと、はい。よろしくお願いします」
眞尋はまた苦笑して、「まだ固いぞー」と陽佳の頬を摘まむ。むにむにと弄りまくった。
陽佳が困惑していても、眞尋は十倉に止められるまで陽佳の頬を摘まんでいた。
「セクハラですよ」
「おっと悪い」