ガールフレンド
例えば学校のクラスメートの誰かのように、誰からも認められる種類の女の子はいるものだ、と僕は思う。そのような種類の女の子はハツラツとして明るく、誰に対しても平等に接することのできるタイプの人間だ。僕のような平凡な人間は、ちょっと顔の良い女の子に話しかけられるだけでその日一日を幸せに過ごすことができそうなところだが、そういう種類の人間は違う。彼女のような人間には周りのすべての男たちが平等に見えていて、僕が美人に話しかけられてやっと得ることができるような美しい世界を、彼女は既に、そして常に見ているのだ。
「大丈夫?キミ、気持ち悪いの?」
それがアユミと僕の出会いだった。僕はそれが何であるかよく分からない酒を気が付けばかなり飲んでしまっていたようで、初対面のアユミに心配されたその時には顔面蒼白だったらしい。僕はひどい顔をしながらふらふらとそこにある木の下に座り込み、ちょっと飲み過ぎたみたいだ、と答えた。
アユミはスポーツドリンクを入れた紙コップを僕に差し出すと、そのまま隣に腰かけた。
そこには静かな夜があった。向こう側ではまだ何人かの学生たちが騒いでいるようだったが、それもいつの間にかありふれた雑音へと変わっていた。足下の雑草は月明かりに照らされ、それまでに見ていたどんな植物よりもずっと植物らしく見えた。雑草は生き生きと力強く、溢れ出すほどの生命力を湛えていた。